徹底解説! アルザス・ワイン街道でワインを100倍おいしく飲む方法(フランス)
アルザスは、フランス北東部に位置する歴史ある地域です。ワインの名産地として知られ、およそ170㎞にもわたるアルザス・ワイン街道(Route des Vins d'Alsace)では、繊細で透明感のある白ワインを味わうことができます。アルザス・ワイン街道を旅しながら、自分好みのワインを見つけてみませんか。
アルザス・ワイン街道とは!?
ボルドー、ブルゴーニュに並ぶフランス三大ワインのの銘醸地として知られるアルザス。その中心をなすアルザス・ワイン街道(Route des Vins d'Alsace)は、北はマーレンハイム(Marlenheim)から南はタン(Thann)まで続きます。
ライン川沿いの丘陵地やヴォージュ山脈の東斜面には、ブドウ畑がどこまでも連なり、その長さは約170㎞にもおよびます。街道沿いには100を超える村が点在し、900あまりのワイナリーがあるといわれます。
アルザス・ワインとは!?
アルザスは、白ワインで有名です。ボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュとは異なり、個人で営む小さなワイナリーが多いことが特徴です。
アルザス・ワインは、ブドウの品種ごとに味わいが違うのはもちろんのこと、ブドウの収穫地の土壌によっても風味が異なります。さらに、ワイナリーごとに味の個性もあり、ビンテージといわれる年代では、それぞれの味わいの違いがより一層際立ちます。
アルザスで既定の生産基準を守って造られた「Vin d'Alsace(フランス語でアルザス・ワイン)」は、「AOC Alsace(Appellation d'Origine Contrôlée Alsace)」と表記されます。AOCとは、日本語で「原産地統制呼称」など訳されます。フランスにおける法律に基づいたワインの産地を示す呼び名です。
アルザスでは、ボルドーのように混醸せず、1種類のブドウ品種のみでワインを造るのが一般的です。各品種によって味の性格が異なるアルザス・ワインの特徴を紹介しましょう。
アルザス・ワインに使われるブドウの品種
アルザス・ワインに使われるおもなブドウは、次の7品種です。
ピノ・ブランやピノ・グリ、シルヴァネール、リースリング、ミュスカ、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・ノワール。このうちピノ・ノワールだけが黒ブドウで、おもに赤ワインの原材料になります。それ以外は白ブドウで、白ワインの原材料になります。
(1)アルザス・ワインの特徴 フレッシュ系
●リースリング
アルザス・ワインの代表格であるリースリング。エレガントで繊細、フレッシュな味わいが特徴です。ひとくち含めば、レモン、グレープフルーツなどの柑橘系やモモ、洋ナシ、フルーツコンポートなどの香りが広がります。リースリングを使ったアルザス・ワインは、記念日のような特別な食卓に最適です。手の込んだ一皿の味わいをさらに引き立ててくれるでしょう。
(2)アルザス・ワインの特徴 辛口系
●ピノ・ブラン
ピノ・ブランは、ライトでデリケート、なめらかな飲み心地が特徴です。毎日の食事のお供に最適といわれます。
●シルヴァネール
シルヴァネールは、喉を潤すのに最適なライトな飲み心地が特徴です。料理に合わせやすい白ワインで、やわらかな口当たりがしっかりした料理をさっぱりと感じさせてくれます。
(3)アルザス・ワインの特徴 甘口系
●ミュスカ
ミュスカは、一般的な言葉でいえばマスカットです。アルザスのミュスカは、新鮮なマスカット果実の香りを大事にしています。マスカットをそのまま絞ったような、甘くてみずみずしいジューシーさが人気です。フレッシュチーズやフルーツ、デザートに合わせるのがベスト。
●ピノ・グリ
ピノ・グリは、とても複雑で、スモーキーな香りがするのが特徴です。グラスを傾けると、下草をはじめ、焼いた若枝やコケ、キノコ、ドライフルーツ、アプリコット、ハチミツなど、さまざまな香りが楽しめます。まろやかながら、力強くて高貴な味わいがします。
●ゲヴルツトラミネール
ゲヴルツトラミネールは、ドイツ語で「香辛料」を意味するぐらいその香りに特徴があります。ロピカルフルーツ系(ライチ、パッションフルーツ、パイナップル、マンゴーなど)や花(特にバラ)、柑橘類(オレンジの果皮)、スパイス(パン・デピス、ペパーミント、チョウジ、コショウ)などリッチな香りがします。
(4)アルザス・ワインの特徴 フレッシュ系(赤)
●ピノ・ノワール
ピノ・ノワールは、白ブドウが主流のアルザスで唯一認められている黒ブドウの品種です。新鮮な果実を使うことで、軽やかでフレッシュな赤ワインやロゼワインを生み出します。最近では、樽で長期間熟成させた重厚なタイプのワインも徐々に増えてきているそうです。
なお、紹介したこの7品種のうち、「グラン・クリュ(Grand Cru:特級畑=高品質なワインを生産する畑)」では、リースリング、ミュスカ、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネールの生産が認められています。
アルザス・ワインには、51種類の「グラン・クリュ」と呼ばれる卓越したテロワール(土壌)があります。「グラン・クリュ」産のワインは、全体の4%しか生産されていない、貴重なワインです。
アルザス・ワイン街道でテイスティング
それでは、アルザス・ワイン街道へテイスティングの旅へ出かけましょう。
ワイナリーでは、通常、予約がなくてもテイスティングをすることが可能です。カーヴ見学などスタッフの対応が必要な場合は事前予約をしておく方がよいですが、小さな村のほとんどのワイナリーでは、「門は開いているよ!」という気持ちで待っていてくれます。
実際に、ワイナリーによっては本当に門が開いているところがあります。また、外に「試飲できます」という看板を出しているところもありますので、近所に遊びに行くような感じで、ふらっと立ち寄ってテイスティングをすることができます。
「レ・オスピス・ド・ストラスブール」でカーヴ見学
アルザス・ワイン街道沿いにある町、ストラスブール。この町にはブドウ畑がありませんが、ひとつだけワイン・カーヴがあります。
ストラスブールで唯一のワイン・カーヴである「レ・オスピス・ド・ストラスブール(Cave Historique des Hospices de Strasbourg)」は、ストラスブール市民病院内にあり、稀有な歴史をもつカーヴです。
こちらのカーヴは1395年から始まっており、1472年もののヴィンテージワインも存在します。施設の中には販売店舗もあり、その場でワインを購入することもきます。通常、テイスティングはできませんが、年に7回だけ試飲会が開かれます。
「レ・オスピス・ド・ストラスブール」は、1716年に大火災が起こり、その後に被害から免れた酒造の基礎部分の上に現在の建物が再建されたといいます。大火災を経験しながらも、このホスピス(病院)を中心にコミュニテイーが根づき、ワイン文化を現代に引き継いできました。
クリスマスマーケットでアルザス・ワイン三昧
時間や移動の関係でアルザス・ワイン街道には行けないけれど、おいしいワインが飲みたいという方には、ストラスブールのクリスマスマーケットをおすすめします。世界的にも有名なこのクリスマスマーケットでは、アルザス・ワイン街道のワイナリーが出店されます。
アルザス・ワイン街道のワイン共同組合によって、毎年3つのワイナリーが順番に出店されます。ボトルでの購入も可能ですので、クリスマスの時期にフランスに訪れた人は、ぜひストラスブールのクリスマスマーケットを覗いてみましょう。
いかがでしたか。ワインの名産地として知られるアルザス・ワイン街道を紹介しました。素朴な田舎道を旅しながら、珠玉の白ワインを見つけてみませんか。
筆者
フランス特派員
Coquelicots
アルザス地方のカフェ巡りとワイナリー巡りが好きで、アルザスワインPRの仕事をしつつ、アルザスの魅力をお届けできればと思っています。
【記載内容について】
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