神戸「ノスタルジックコーヒー」巡り 老舗~シアトル系まで
明治時代、日本の玄関口としていち早く西洋文化を取り入れてきた神戸港。当時、ハイカラな飲み物として神戸の街に広がっていったのがコーヒーです。街の至る所に佇む老舗の珈琲店は、開港当時から船乗りや商人の憩いの場所でした。人々の暮らしに根付いた老舗珈琲店に、至福の一杯を味わいに出かけませんか。
昭和にタイムスリップ 老舗純喫茶「エデン」
昭和23年創業。老舗純喫茶「エデン」。外国船のキャビンをイメージし、船舶メーカーが内装を手がけたといいます。
70年前、この界隈で有名な洒落者だったという先代が始めた喫茶だといいます。コーヒ一杯50円だった時代、エデンは当時から100円で出していた高級店だったそうです。
2代目が切り盛りしています。創業当時から変わらないのは、深煎り粗挽きのちょっとほろ苦いコーヒーの味です。
歩くとギシギシと音がなる床や飴色をしたテーブルも趣深く、温かみのある店内で飲むコーヒーはどこかノスタルジックな気分にさせてくれます。
■喫茶エデン
・住所:〒652-0812 神戸市兵庫区湊町4-2-13
登録有形文化財のスタバ!?「神戸北野異人館」
NHK朝の連続ドラマ「風見鶴」の登場人物のモデルになった人が住んでいたという北野坂沿いにある洋館です。1995年の阪神淡路大震災の被害を受けた後、取り壊される予定でしたが、市が建物の寄贈を受け、解体、部材保管し、2001年に現在の場所に再建されました。
全6室の部屋には、当時さながらの調度品が置かれ、コーヒーの香りと趣に思わずうっとり。自分で選ぶ特等席でお馴染みの珈琲を楽しむことができます。
■スターバックスコーヒー 神戸北野異人館店
・住所:〒658-0054 兵庫県神戸市東灘区御影中町3-2-1
・URL: http://www.starbucks.co.jp/store/search/detail.php?id=940
灘の名水で淹れる1杯「神戸にしむら珈琲店」
昭和23年創業。現在、本店が立っている場所の一部で、たった5坪のスペースに3セットのテーブルを置いての営業が出発だったそうです。今では全国にその名が知られた「神戸にしむら珈琲」は、コーヒー専門店として、日本で初めて確立された店といわれています。
アンティークな美術品が至る所に装飾された店内に一歩足を踏み入れると、コーヒーの香ばしい香りに包まれます。
店の入口付近にコーヒー焙煎所が設けられています。日本ではじめて自家焙煎コーヒー豆をつかったストレート珈琲を提供した店としても知られています。地元住民に愛され、珈琲でゆったりと寛ぐ常連客が多くみられます。
使われている水は、清酒の原料、灘の名水・宮水です。その昔、ご主人がキャンプに出かけた際に、湧き水で入れたコーヒーが美味しかったことから、良い水でコーヒーを淹れることへのこだわりがはじまったといいます。冷めにくいように厚めのマグカップで出されています。
一杯のコーヒーに、ご主人の細やかな心遣いが伝わってきます。
■神戸にしむら珈琲店
・住所:〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通1-26-3
・URL: http://www.kobe-nishimura.jp/
日本唯一のコーヒー専門博物館「UCCコーヒー博物館」
大手コーヒー会社(UCC)が本社を構える神戸。
「コーヒーの素晴らしさを一人でも多くの人に」という創業者の上島忠雄の思いを実現させたいと、1987年に博物館が誕生しました。
コーヒーの歴史や文化をはじめ、コーヒーの淹れ方、楽しみ方まで、見て知るだけでなく体験することもできる博物館です。
自宅で美味しいアイスコーヒーを作るために、アイスコーヒー専用豆で作ったものとホットコーヒー専用豆でつくったアイスコーヒーの味の違いをテイスティングしました。「アイスコーヒー用の方が酸味が薄くて苦味が強いかな・・・。」
アイスコーヒー用の豆は、氷を注ぐ前提にしていますので、豆はやや深煎り加減にしてあるそうです。
■UCCコーヒー博物館
・住所:〒650-0046 兵庫県神戸市中央区港島中町6-6-2
・URL: https://www.ucc.co.jp/museum/
~編集後記~
取材を終え、神戸のコーヒー老舗店が文化の発信の役割を担ってきたことに納得しました。神戸のオシャレな街並みを歩き、ちょっと疲れを感じたら、趣ある老舗珈琲店をみつけこだわりのコーヒーをゆっくり頂く。そんな優雅な時間を過してみてはいかがでしょうか。
記事:渡邉結城
※本記事は、「日本の歩き方」内、「おでかけガイド」に2015年8月17日に掲載されたものです。
筆者
地球の歩き方ウェブ運営チーム
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