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映画『ブータン 山の教室』が4月3日(土)に公開! 「幸せ」の意味を問い直す心温まる注目作

2021年03月15日

映画の舞台は、ブータン北部、ヒマラヤ南麓に広がる標高4,800mの高地にある秘境ルナナ郡の村

アジアの小さな国、ブータンから、息を呑む雄大な自然を背景に“幸せに生きる”ことの意味を、瑞々しい映像で静かに問いかけるシンプルで力強く、心温まる映画が届きました。

ヒマラヤの麓、“国民総幸福量”を理念に掲げるアジアの小さな国

スクリーンいっぱいに広がる、ヒマラヤ南麓の雄大な自然の美しく澄み渡る映像が圧巻。
スクリーンから爽快な風が吹いてくるよう。

中国とインドに挟まれた小さな国、ブータン。
日本の九州と同じほどの面積に、約75万の人々が暮らしています。
国の北側にはヒマラヤ山脈の高峰が聳え立ち、国土の約半分は標高3,000m以上の高地です。
(一方、南部の亜熱帯地方は海抜300m前後と国全体では標高差が大きい地形であり、地域ごとに気候もかなり異なります)

ブータンについて、よく知られるのが“国民総幸福量(GNH)”というユニークな理念。
(今回ご紹介する映画でも、冒頭、主人公の青年が来ているTシャツに「Gross National Happiness」とプリントされています)
GNHは、約40年前、当時の国王によって提唱され、GNPだけでは測れない、より重要な国の指標として掲げられているものであり、憲法にも「国家はGNHの追求を可能とする諸条件を促進させることに努めなければならない」と規定されています。
それは、経済のみに偏ることなく、伝統的な社会・文化を尊重して、国民ひとりひとりの“幸福の実現”をめざす考え方。
「持続可能で公平な社会経済開発」「環境保護」「文化の推進」「良き統治」をその4本柱とし、その政策の一環として、医療費と教育費は基本的に無料となっています。


今どきの“町の若者”である青年教師が、辺境の村の子どもたちとの交流により「幸せのあり方」を問い直す姿を、ヒマラヤの大自然を背景に描き出す

教え子となる生徒たちは全員、実際にルナナの村で暮らす子どもたち。
演技を超えた真っ直ぐな瞳と健気なしぐさに魅了される。クラス委員役の女の子の豊かな表情!

そんなアジアの小国から、注目すべき映画が届きました。
1983年生まれの新鋭パオ・チョニン・ドルジ監督の長編デビュー作『ブータン 山の教室』。
ブータンの北部、ヒマラヤの麓の秘境の村を舞台に、都会からやって来た青年教師が、昔ながらのヤクの牧畜や冬虫夏草の採取を生業とし伝統文化を守って慎ましく暮らす56人の村人、とりわけ教え子となる9人の小学生たちとの交流を通して「幸せのあり方」を問い直していく姿が丁寧に描かれます。

教室で飼われているのは、村人たちから青年教師にプレゼントされたヤク。ヤクも重要な役を演じる。
村になじんできた青年教師が「僕の前世はヤク飼いだったかも」と冗談をいうと、
村長が真面目な顔で「先生はヤクでした」と断言するのが可笑しい。

【STORY】
ブータンの北部、標高4,800mの高地にある秘境ルナナ郡の村。
この間近にヒマラヤ山脈を望む小さな村に、首都ティンプーからバスを乗り継ぎ、最寄りの町ガサからはガイドと共に数日かけて険しい山道をひたすら歩き、青年教師が赴任してくる。
教師の仕事にやりがいを見い出せず、実はミュージシャンを夢見る彼は、上司の指示で渋々この辺境の地にやって来たのだ。
人口わずか56人。電気もガスも通らず、インターネットも携帯電話もない村の様子に、片時もスマホを離せない今どきの“町の若者”である教師は戸惑い、1日も早くティンプーに帰りたいと弱音を吐く。
しかし、この村には、純粋に“学ぶこと”に瞳を輝かせて、先生の授業を楽しみにしている9人の子どもたちがいた。
子どもたちの真摯な姿が、やがて青年教師の心の中に少しずつ新しい変化をもたらしていく……

自分にとっての幸せは何なのか――新しい世界の体験が価値観の変化をもたらす

ヒマラヤの大自然に、ブータンで広く知られる伝統歌「ヤクに捧げる歌」が響き渡る。
シンプルな歌詞に、ブータン人の生活、人生へのすべてのおもいが詰まっているという。

たとえば、映画『ライムライト』のなかでチャップリンは「人生を素晴らしくするのに必要なものは、勇気と、想像力……そして少しばかりのお金」と言いました。
「人生を素晴らしくする」を「幸せになる」と置き換えられるこの言葉を、正解と思う人もいれば、そうではないと考える人もいるでしょう。

幸せのあり方は、まさに人それぞれです。
自分が今、そうだと考えている幸せのあり方が、その通りなのか――未知の新しい世界を体験することで、それまでの価値観が揺さぶられ、生き方に変化がもたらされることがあることも、この映画は、心に響く小さなエピソードを重ねつつ、こまやかに伝えています。

村の子どもたちの輝く笑顔や村人たちが穏やかに暮らす姿は、主人公の青年の心に、幸せのあり方に対する新しい意識を芽生えさせますが、映画は、それを「答え」としているわけではありません。
映画のラスト近く、村長が「ブータンは世界でいちばん幸せな国と言われているそうだが、なぜその国の若者が外国に行こうとするのだろう」と主人公にともなくつぶやくシーンは、深い印象を残します。

映画の本分は「答え」を出すことではなく「問い」を発することだと言います。
グローバリズムが世界中で価値の画一化をもたらしている今だからこそ、自分にとっての幸せは何なのか、人々に幸せをもたらす国のあり方とはどういうものなのか――この映画は、私たちから見ての“辺境”の国の、そのまた片隅の地から、その場所からでしか発せられない、私たちそれぞれの心に優しく届く、静かで力強い問いかけをしています。



■ブータン 山の教室
・上映: 2021年4月3日(土)から岩波ホールほか全国順次公開
・監督・脚本: パオ・チョニン・ドルジ
・出演: シェラップ・ドルジ、ウゲン・ノルブ・へンドゥップ、ケルドン・ハモ・グルン、ペム・ザムほか
・URL: http://bhutanclassroom.com/

日本語字幕: 横井和子 字幕監修:西田文信 
後援: 在東京ブータン王国名誉総領事館 協力:日本ブータン友好協会 
配給: ドマ  宣伝:VALERIA
2019年/ブータン/ゾンカ語、英語/110分/シネスコ
英題: Lunana A YAK IN THE CLASSROOM ©2019 ALL RIGHTS RESERVED

第93回アカデミー賞国際長編映画賞ブータン代表作品

*ルナナ郡については『地球の歩き方 ブータン編 2018~19年版』P.142に記載しています。

地球の歩き方 ブータン編』プロデュ―サー 河村保之

※当記事は、2021年3月15日現在のものです。

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