海外旅行・観光情報の「地球の歩き方」TOP >ニュース&レポート >エンターテイメント >アジア >香港 >ホンコン(香港) >香港中が涙した映画『淪落(りんらく)の人』ストーリーとそのロケ地とは?

香港中が涙した映画『淪落(りんらく)の人』ストーリーとそのロケ地とは?

2020年02月04日

NO CEILING FILM PRODUCTION LIMITED © 2018

2018年、香港アジアフィルムフェスティバルのオープニングを飾り話題を呼んだ映画『淪落(りんらく)の人』。観客をあたたかい涙で包んだ話題作です。主演は『インファナル・アフェア』でウォン警部役を務めたことでもおなじみのベテラン俳優アンソニー・ウォン。彼はこの脚本に惚れ込んでなんとノーギャラで出演を決めたのだとか。さらに香港映画好きならば、サム・リーの才能を見出しデビュー作を撮ったフルーツ・チャンが製作を担当し、再びサム・リーを起用したというのもムネアツ‼ 「香港映画は詳しくないんだけど…」という人も無問題(モウマンタイ)! 香港アカデミー賞をはじめとする数々の国際的な映画賞に輝いたこの作品は、国籍関係なく心打たれるヒューマンドラマ。そのうえ映像も美しいので、開始すぐに物語に引き込まれること請け合いです。

香港の美しい四季に重ねて描かれる主人公ふたりの絆

半身不随という難役を演じきったベテラン俳優アンソニー・ウォン
NO CEILING FILM PRODUCTION LIMITED © 2018

「淪落の人」とは「落ちぶれた人」の意味。その言葉通り、失意の底にいる人たちの物語です。ストーリーは、突然の事故で半身不随になり、車椅子生活を余儀なくされることになったチョンウィン(アンソニー・ウォン)が主人公。チョンウィンは妻と離婚、息子とは離ればなれになってしまい、そして実の妹(セシリア・イップ)との関係もうまくいっていない。話し相手といえば元同僚で友人のファイ(サム・リー)くらい。

そんな孤独な彼のもとに、ある日、フィリピン人のエヴリン(クリセル・コンサンジ)が住み込み家政婦として送り込まれてくる。広東語が話せないエヴリンに最初はイライラしながらも毎日片言の会話を交わすうちに心を通わせるように。

そしてチョンウィンは、エヴリンが生きていくために泣く泣く夢をあきらめていることを知り、力になりたいと思い始め…。失意の底にいるふたりがお互いを尊重することで夢を見る力を強めていく姿が観客の心を大きく揺さぶります。

ヒロイン役のクリセル・コンサンジはこれがスクリーンデビュー作
NO CEILING FILM PRODUCTION LIMITED © 2018

この映画の見どころはたくさんありますが、大きく言うとふたつ。ひとつは、まるで実話のようなリアリティがあること。というのも、作品のベースになっているのは、新人監督であるオリヴァー・チャンの実体験だから。監督が実際に見てインスピレーションを受けた光景や、母親の介護体験などを組み合わせ、ていねいに創られているため、主人公たちの繊細な心の動きが現実的な温度をもって伝わってくるのです。

ラストで花の綿の種子が舞うシーンは主人公の心情と重ねてホロリ
NO CEILING FILM PRODUCTION LIMITED © 2018

ふたつめの見どころは、香港の美しい四季と共にストーリーが展開するところ。「香港に四季なんてあるの?」と思う人も多いでしょうが、香港にも春夏秋冬が存在します。それは咲く花だったり、食べ物だったり、伝統行事だったり、もちろん服装などにも表れます。

失意の底にいたふたりが次第に心を通わせ、希望を見出すまでの時間を、四季の風景のなかで映し出すことで、物語のあたたかみを効果的に伝えます。

旅の際には生活感あふれるロケ地ものぞいてみよう

チョンウィンとエヴリンが車椅子に乗って下るシーンを思い出す坂道

映画の主な舞台は九龍半島の何文田(ホーマンティン)にある「愛民邨」。1970年から1975年にかけて造られた住宅団地です。このエリアはひと言でいえばかなりローカル。観光客の姿はまずありません。団地沿いの道を歩いていると、映画の世界さながら、フィリピンやインドネシアから来たメイドさんたちの姿を見かけます。

ちょうど見かけたメイドさんたち。映画そのままの世界

かつてはバスやミニバス、タクシーでしか行けないエリアでしたが、2016年より香港地下鉄MTRの観塘線(クントンライン)が延長し何文田駅がオープンしたことで、ぐっとアクセスしやすくなりました。香港旅行をする際には生活感あふれるこのエリアをのぞいてみてくださいね!

エヴリンが家政婦仲間と休日を過ごすシーンは香港のいつもの日曜日の光景 
NO CEILING FILM PRODUCTION LIMITED © 2018

ちなみに香港の家庭で外国人の家政婦を雇うのは一般的なこと。日曜日は家政婦さんたちの休日なので、あちこちの公園や広場がフィリピンやインドネシア、タイなどから出稼ぎにきた人たちでにぎわいます。旅行の際はそんな香港ならではの風景にもぜひ注目を!

フルーツ・チャン監督作品で俳優デビューしたサム・リーも好演!
NO CEILING FILM PRODUCTION LIMITED © 2018

■タイトル:『淪落の人』
■原題:淪落人(英題:STILL HUMAN)
■公開:新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開中
■製作:フルーツ・チャン
■監督・脚本: オリヴァー・チャン
■出演:アンソニー・ウォン、クリセル・コンサンジ、サム・リーほか
■配給:武蔵野エンタテインメント
■URL:http://rinraku.musashino-k.jp/

地球の歩き方編集室 清水真理子

お気に入り

※この記事が気に入った方はクリック

関連書籍

地球の歩き方 ガイドブック D09 香港 マカオ 深圳 2019年~2020年版

地球の歩き方 ガイドブック D09 香港 マカオ 深圳 2019年~2020年版

地球の歩き方編集室
定価:本体1,700円+税
発行年月: 2019年06月
判型/造本:A5変並製
頁数:524
ISBN:978-4-478-82357-6

詳細はこちら

このニュースに関連する他のニュース

香港の現地ツアー