ココ・シャネルに愛され、オードリーを見出した実在の小説家。キーラ・ナイトレイ主演の映画『コレット』
フランス文学界で最も知られている女性作家シドニー=ガブリエル・コレット。稀代のファッションデザイナーであるココ・シャネルとも親交があり、自著の「ジジ」舞台化の際には、当時無名だった新人女優の頃のオードリー・ヘプバーンを主役に抜擢するなど、今なお語り継がれるコレットの波乱に満ちた半生を映画化した『コレット』は、5月17日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。
『コレット』ストーリー
【ストーリー】
フランスの片田舎サン・ソヴールで生まれ育ったコレット。豊かな自然と心優しい両親に囲まれながら平穏な日々を送る一方で、14歳年上の人気作家ウィリーと出会い、激しい恋に落ちていた。1893年、大人の女性へと成長したコレットは、結婚を機にそれまでとは別世界のパリへと移り住む。
”ベル・エポック”真っ只中の活気にあふれていた1890年代のパリ。コレットは夫のウィリーとともに芸術家たちの集うサロンへ足繁く通うことになる。
初めは馴染めなかったコレットも、少しずつ新しい環境へ順応していき、いつの間にか享楽の世界に浸っていた。しかし、派手な暮らしの裏では、ウィリーの浪費癖が原因で借金はかさんでいくばかり。さらに、ウィリーは編集の勉強会と称して、ほかの作家たちに自分の作品を書かせていたのだった。
そんななか、コレットの才能にいち早く気が付いたウィリーは、自身のゴーストライターとして彼女に自伝的な小説を書かせることに。その後、コレットが執筆した「クロディーヌ」シリーズは、社会現象を巻き起こすほどの一大ブームとなる。革新的な商才のあったウィリーは、本の出版にとどまらず、舞台化やブランドを立ち上げることで幅広く商品を展開することを思いつく。
これらの成功によって時の人となり、世間もうらやむようなセレブ夫婦として注目されるウィリーとコレット。しかし、成功の裏にある、コレットの思いや葛藤、次第に束縛していくウィリーとの関係、新たな出会い、それらがコレットをどう変えていくのか。
激動の時代に流されることなく、心の声に従って愛と自由を手にしたひとりの女性。ありのままの自分でいるため、あらゆる困難と闘いながらも、最後まで自分自身に正直であり続け、作家としてだけでなく、舞台に立つことで表現の幅を広げていったコレットが、自らの力で切り開いた道の先に見つけた”希望”とは。
というストーリーです。
シドニー=ガブリエル・コレット
ブルゴーニュ地方ヨンヌ県出身の女性作家。「シェリ」や「夜明け」など、彼女の作品は現代フランス文学界において傑作とされており、その数は30冊を下らない。小説や短編小説のほか、演劇台本や映画記事、レビュー、人生相談コラム、旅行記、調査資料なども執筆しました。コレットの書いた数々の作品は、演劇やミュージカルとなり、テレビ放映され、映画化もされました。1944年に発表された「ジジ」はブロードウェイで舞台化され、後にハリウッドでミュージカル映画にもなり、アカデミー賞®では、作品賞を始めとする9部門を受賞しました。
コレット役はキーラ・ナイトレイ
本作でコレットを演じるのは、日本でも数々の映画で馴染み深い、美しい女性ヒロインの代名詞ともいえるキーラ・ナイトレイ。ウェストモアランド監督は、今回のキャスティングについて、「彼女はすばらしい知性とウィットを兼ね備え、時代物のキャラクターを演じることを根っから理解している。それに19歳から34歳までを演じるのに年齢的にもふさわしいし、作家であるという説得力も出せる。コレット役の必要な資質をすべて兼ね備えている女優は決して多くないが、キーラはその一人だ」とコメント。コレット役を快諾したキーラは、「だってコレットはかっこいいでしょ。とても興味深い女性だと思ったの。それにウィリーとの関係にも強く惹かれ、そこに真実があるように思えた。男性との力関係や一緒に働くことについて、女性として私も共感する部分があり、物語に入り込めたわ」と答えています。
パリの華やかな文化と時代”ベル・エポック”
Jules Chéret [Public domain], via Wikimedia Commons
フランス語で”良き時代”を意味するベル・エポック。主に1890年代から1910年代の、パリが繁栄して華やかとされていた時代や文化を指します。この時代の再現をするにあたり、本作では、ハンガリーのブダペストでロケを敢行。ウェストモアランド監督は、「(ブダペストには)歴史的な環境が整っていた。19世紀後半、ブダペストはパリの街を熱心にまねていたんだ。例えば、アンドラーシ通りはブダペストのシャンゼリゼ通りとして知られている。しかもハンガリーは経済的に苦しかったため、多くの建物が修繕されたり、改装されたりすることなく残っていた。これはきわめて重要なことだ。だからこそ、かつての貴族の邸宅だった建物を見つけ、そのままの内装を使って撮影することができた」
「ブダペストにはなんとムーラン・ルージュもあった。パリの本物そっくりだったが、大きさは半分だった。だが、パリで再撮影する必要はなく、そのままで完璧に使えたよ」とコメントしています。古き良き”ベル・エポック”のパリを探訪しに、ハンガリーを訪れてみるのもまた、ありかもしれません。
※ムーラン・ルージュ:1889年にフランスのパリ市内で誕生した、キャバレーのこと。
公開情報
昨今の#MeToo運動をはじめ、女性の自立や事由が叫ばれる現代において、まさに先駆け的存在ともいえるコレット。男性優位の時代でも慣習やジェンダーにとらわれることなく、あらゆる分野で才能を開花させたコレットの姿に誰もが心を揺さぶられるはず。これから新時代を迎える日本において、時代が移り変わる今だからこそ観るべき新たな傑作が誕生したかもしれません。映画『コレット』は、5月17日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーです。
■『コレット』
URL:https://colette-movie.jp/
5月17日(金)TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
© 2017 Colette Film Holdings Ltd / The British Film Institute. All rights reserved.
筆者
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