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マルグリット・デュラスの自伝的映画『あなたはまだ帰ってこない』命日特別企画:パリ、デュラス巡礼記

2019年03月01日

命日特別企画:パリ、デュラス巡礼記

愛とは歓びなのか、苦しみなのか、あるいは待つことなのか?すべての女性に突き付けられる、愛の葛藤。フランスの作家マルグリット・デュラス原作の映画『あなたはまだ帰ってこない』が2019年2月22日(金)より、Bunkamuraル・シネマ他にて全国順次公開中。本作は、第2次世界大戦下に、レジスタンス活動で逮捕された夫の安否を心配し、帰還を待つマルグリットの苦悩を描く作品です。来る3月3日はマルグリット・デュラスの命日。特別企画、『あなたはまだ帰ってこない』パリのデュラスゆかりの地を紹介します。

映画『あなたはまだ帰ってこない』紹介

映画『あなたはまだ帰ってこない』紹介

20世紀フランス文学を代表する女流作家であり、音と映像の関係を極限まで追求した先鋭的で独創的な映画作家でもあるマルグリット・デュラス(1914年―1996年)の原作『苦悩』を映画化した『あなたはまだ帰ってこない』が、いよいよ公開。1984年に発表されたデュラスの前作『愛人/ラマン』は、ゴンクール賞を受賞し世界的なベストセラーとなり、ジャン=ジャック・アノー監督によって映画化され、空前のデュラス・ブームが巻き起こりました。

▷【関連記事】【劇場招待券】『愛人/ラマン』のマルグリット・デュラス自伝的原作の映画『あなたはまだ帰ってこない』

その翌年、1985年に刊行された『苦悩』は、デュラス自身が「私の生涯でもっとも重要なものの一つである」と語っているほど、作者自身が深い愛着を抱いていた作品です。特にデュラス自身が1940年代半ばに書いた日記や手記をそのまま、ほぼ削除せずに載せていたことも大きなスキャンダルとなり、話題となりました。

パリ、デュラス巡礼~サン=ジェルマン・デ・プレ篇~

サン=ジェルマン・デ・プレ

遺稿『これでおしまい』が真実ならば、死の3日前まで執筆していたという、20世紀を代表する女流作家、マルグリット・デュラス(1914年4月4日 - 1996年3月3日)。デュラスというと、ノルマンディーに暮らしたイメージが強いですが、執筆や生活の本拠地はやはりパリ。彼女が20代後半から81歳で他界するまで長きに渡り居住したアパルトマンは、パリ6区の人気エリア、サン=ジェルマン・デ・プレ界隈にあります。

デュラスが毎日のように食事をしたビストロも。

19世紀創業のアシェット社の成功に刺激をうけ、この辺りにはたくさんの出版社が生まれました。デュラスの著書の殆どは1911年創業のフランスを代表する出版社ガリマール、あるいは1941年に対独レジスタンス活動から生まれたLes Éditions de Minuit社から出ていますが、これらの本拠地もこの地域にあります。

デュラスが住んでいたアパルトマン

サルトルとボーヴォワールを筆頭に、多くの芸術家や知識人が愛し集ったことで知られ、映画『あなたはまだ帰ってこない』にもデュラスとゲシュタポ協力者との密会場所のひとつとして登場するカフェ・ド・フロール(1985年創業)。サン=ジェルマン大通りの象徴であるこの老舗カフェの角を北へ曲がり、ジャコブ街に突き当たるまでの短い街区が、デュラスが居を構えたサン=ブノワ街です。

デュラスが住んでいたアパルトマンは、サン=ブノワ街5番地に現在も残っていて、壁面には1942年から1996年まで彼女が住んでいた旨を記したプレートがさりげなく掲げられています。第二次大戦中のナチス占領下で帰らぬ夫を待ち続けたのも、『愛人 ラマン』などの数々の代表作を執筆したのも、1980年に出会い亡くなるまでの16年間を共に生きた38歳年下の恋人ヤン・アンドレアに介護され息を引き取ったのも、此処だったのだと思うと、深い感慨を覚えます。

古き良き下町ビストロ、ル・プチ・サン・ブノワ

アパルトマンの向かいには、デュラスの部屋からも見え、毎日のように食事をしたという古き良き下町ビストロ、ル・プチ・サン・ブノワ(1901年創業)があります。かつてデュラスがくつろいだル・プティ・サン・ブノワの屋外テーブルで歓談する地元の方々の姿が見えました。

デュラスのポートレイト

デュラスのアパルトマンを臨む窓辺の壁の一角には、『愛人 ラマン』当時の10代のデュラスのポートレイトや、この店の屋外テーブルに座りくつろぐ40代半ばのデュラスの写真(1958年撮影)、映画『二十四時間の情事(Hiroshima mon amour)』(1959)関連の書面コピーが、額装され飾られています。達筆すぎてフランス人でも解読不能ですが、アルレット・ジェルヴェという人物にデュラスが宛てた文章で、2行目に「私たちのサン・ブノワ通り」とあるそうです。

ル・プチ・サン・ブノワのお料理の数々

ちゃきちゃきの女性陣が接客をきりもり、注文は彼女たちが紙のテーブルクロスの上に直接書いて勘定するというカジュアルなスタイル。定番だけど一工夫あるお料理の数々がボリュームたっぷりかつリーズナブルで、前菜とデザートを二人でシェアしてメインを各自とり、ワインとコーヒーも一杯ずつやって、ひとり30ユーロ強といったところ。メインだけ(10ユーロ台)や日替わり定食にすればもっと安くあげられます。

サン=ジェルマン・デ・プレ教会

サン=ブノワ街から歩いて1分もしない場所にあるのが、とんがり屋根が特徴のパリに現存する最古の教会、サン=ジェルマン・デ・プレ教会。1996年3月3日に亡くなったデュラスの葬儀はここで同3月7日に執り行われ、棺の左右にはヤン・アンドレアとデュラスの1人息子のジャン・マスコロ(本作で夫を待つデュラスを支えるディオニス・マスコロが父親)が脇侍し、彼女の死を悼む人々は教会の外まで溢れたそうです。不意の冷たい雨が降りしきる中、柩はモンパルナス墓地へと運ばれ埋葬されました。

フランス文学棚にはデュラスのコーナーも

サン=ジェルマン大通り沿いには高級ブティックも並びますが、カフェ・ド・フロールの横には大きめの書店があり、フランス文学棚にはデュラスのコーナーも。彼女の著作は永遠に生き続け、今も多くの人々に影響を与え続けています。

パリ、デュラス巡礼 ~モンパルナス墓地篇~

パリ、デュラス巡礼 ~モンパルナス墓地篇~

パリ市内には3つの大きな墓地があり、一番大きな墓地はペール・ラシェーズ墓地、次が14区のモンパルナス墓地、3番目がモンマルトル墓地。そのうち、マルグリット・デュラス(1914年4月4日 - 1996年3月3日)が眠るモンパルナス墓地は、モンパルナスタワーも一望できる一等地にあり、各界の著名人が埋葬されている場所で、日本でいう青山墓地とか谷中霊園のような存在でしょうか。

モンパルナスには出版社が多く、フランスを代表する出版社3社の創業者のお墓もあるそうです。墓地というとちょっと不気味なイメージですが、オブジェのような個性的な墓標も目に愉しく、パリの墓地を公園感覚で散策するのはアクティビティとして浸透していて、平日でも地元の老夫婦や子連れファミリー、カップル、観光客の姿をよく見かけます。入場は無料、毎日8時から17時半まで出入り自由です。

エドガー・キネ大通りに面した中央門近くにあるデュラスのお墓

エドガー・キネ大通りに面した中央門近くにあるデュラスのお墓(18区画内)では、ちょうど地元のおじさんが丁寧に掃除しているところでした。ファンなのか遺族なのか、訊ねてみたかったですが、ずっとスマホで話をしているので話しかけられず謎のままです。墓碑手前の地面には薔薇の花びらが撒かれていて、死してなお、彼女の人気や魅力、色気が立ち上るよう。

お墓の手前には、イニシャルのMDが刻まれています

彼女の文才にあやかりたいのか、たくさんのペンが供えてあるのが印象的でした。何故かヘアゴムも供えられているのですが、由来不明です。最後の恋人だった、ヤン・アンドレアも2014年に亡くなり、一緒に埋葬されています。デュラスが1996年に亡くなったので、約18年ぶりにまた一緒になったふたり。お墓の手前には、イニシャルのMDが刻まれています。

デュラスのお墓の近くに埋葬されているのは、「契約結婚」という独自のスタイルでパートナーとしての生活を送り、今は隣同士で埋葬されているジャン・ポール・サルトル(1905-1980)とシモーヌ・ド・ボーヴォワール(1908-1986)のカップル。墓碑にはキスマークがたくさん!タイミングによっては綺麗に拭かれてしまっていることもあるようです。

劇場招待券プレゼントのお知らせ

抽選で5組10名様をご招待!

今回、『あなたはまだ帰ってこない』2019年2月22日(金)より、Bunkamuraル・シネマ他にて全国順次公開を記念して、この記事をご覧いただいた方の中から抽選で5組10名様をご招待!この記事の「お気に入り」をクリック、タップしてからご応募ください!

ご応募はこちらから。
※応募期間:2019年2月27日(水)~3月10日(日)
※ご当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせて頂きます。
劇場情報はこちら

■『あなたはまだ帰ってこない』
URL:http://hark3.com/anatawamada/
2019年2月22日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開
配給:ハーク
©2017 LES FILMS DU POISSON – CINEFRANCE – FRANCE 3 CINEMA – VERSUS PRODUCTION – NEED PRODUCTIONS
監督・脚本: エマニュエル・フィンケル
出演: メラニー・ティエリー『ザ・ダンサー』『海の上のピアニスト』、ブノワ・マジメル『ピアニスト』、バンジャマン・ビオレ『パーソナル・ショッパー』、グレゴワール・ルプランス=ランゲ『キリマンジャロの雪』、エマニュエル・ブルデュー
原作:マルグリット・デュラス「苦悩」(河出書房新社刊) 原題:La Douleur

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