パリの素顔に出会う映画『パリのどこかで、あなたと』

公開日 : 2020年12月04日
最終更新 :
隣り合うアパルトマンで独り暮らしのふたり
隣り合うアパルトマンで独り暮らしのふたり

『猫が行方不明』(1996)『スパニッシュ・アパートメント』(2002)のセドリック・クラピッシュ監督の最新作『パリのどこかで、あなたと』が公開されます。『おかえり、ブルゴーニュへ』(2017)で姉弟役を演じたアナ・ジラルドとフランソワ・シヴィルが再び共演し、SNSでは埋められない不安や孤独を抱えながら都会に暮らす現代人に共通した影と葛藤しながらも自身の過去を受け入れ、前進していく姿を丁寧に描いています。都会の喧騒に疲れた心を温かく包み込んでくれる作品です。

パリに暮らす不器用な男女の出会いを描く

パリに暮らす不器用な男女の出会いを描く
心に痛みを抱えたメラニーとレミーはいろんな場所ですれ違う。それでもお互いを「特別な人」と認識できる余裕はない

パリの18区、隣同士のアパルトマンに暮らす30歳のメラニーとレミー。がんの免疫治療の研究者であるメラニーは、かつての恋人との恋愛を引きずったまま、目前に迫る研究発表を前に仕事に追われ、いくら寝ても寝足りない過眠症に悩まされていた。一方、 倉庫に勤務するレミーは、大規模なリストラで同僚たちが職を失うなか、自分だけが会社に残り昇進することの後ろめたさにストレスを感じ、メラニーとは逆に不眠症に悩まされる日々が続いていた。そんなふたりは、同じ電車で隣り合わせても、同じ薬局で薬を買い求めても、同じスーパーで買い物をしても、声を掛け合うこともなく、お互いを意識することもなく、何度もすれ違いを繰り返す。はたして、ふたりの人生が交錯するときはあるのか…。

◎アナ・ジラルド:私はメラニーを背負い、メラニーが私を背負った
◎アナ・ジラルド:私はメラニーを背負い、メラニーが私を背負った

過去の失恋から立ち直れずに落ち込むメラニーは、仲のよい女友だちからマッチングアプリを勧められ、出会った男性と一夜限りの関係を繰り返すが、心に空いた穴を埋めることはできない。精神分析医からのアドバイスは「過去を受け入れ、現実と向き合いなさい。人を愛するには、まず自分を愛すること」。

◎フランソワ・シヴィル:今まで演じたなかで最も内面的な役だった
◎フランソワ・シヴィル:今まで演じたなかで最も内面的な役だった

リストラされた元同僚に対する罪悪感と孤独を抱えたレミーは、眠れぬ夜を過ごしていたが、メトロの中でパニック発作を起こして倒れてしまう。医者からは、ストレスと軽いうつ病と診断され、精神分析医のカウンセリングを受けること勧められる。一歩踏みだそうと新しく配属された職場で知り合った女性をデートに誘うが、うまく距離を縮めることができない。

もうひとつの主人公パリ18区 ©iStock
もうひとつの主人公パリ18区 ©iStock

18区のランドマークであるサクレクール寺院と鐘楼が、ふたりが暮らすアパルトマン越しの映像として、幾度となく挿入される。白亜の聖堂はふたりの運命を見守るかのように、モンマルトルの丘の上にそびえている。

パリ18区、ロケーションに込められた思い

パリ18区、ロケーションに込められた思い
『アメリ』や『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』などのロケ地ともなった18区を舞台に新しい名作が生まれた

クラピッシュ監督は、しばらくパリでの撮影から離れていましたが、本作で描きたかったのは、現代のパリのリアルな姿でした。ロケが行われたスターリングラードとその周辺(18区、19区)は、近年大きく変貌を遂げており、「私の知らないパリが作られていて、それを訪ねるのが興味深かった」と、監督は振り返っています。また、レミー役を演じたフランソワ・シヴィルも「国際色豊かで、多文化が共存するのが現在のパリであり、多くの顔を持つパリは、そこに住む人たちによって形作られています」と、今回の映画のロケーションの持つ意味について語っています。

◎地球の歩き方『パリ』編担当の編集者坂井彰代さんから寄せられたコメント。
とても繊細で、コロナで疲れきっている心にそっと寄り添ってくれるような、優しさに満ちた作品でした。ロケーションのほとんどがスターリングラード~ラ・シャペルの界隈なのですが、かつては有名な観光地もなく、初心者にはあまりおすすめできないエリアだったのですが、最近はおしゃれなナイトスポットができたりして、雰囲気が変わりつつあります。多種多用な人たちが共存していて、ある意味パリらしいところかもしれません。

恵比寿&代官山で、映画公開を記念したコラボメニュー販売やパネル展示を開催中

恵比寿&代官山で、映画公開を記念したコラボメニュー販売やパネル展示を開催中

映画公開を記念した飲食店でのコラボレーションが、2020年12月1日(⽕)〜12月20日(日)の期間で開催中。恵比寿のカジュアルレストラン「Hearth恵比寿」と代官山のカフェ&ダイニング「Weekend Garage Tokyo」では、フランスにちなんだコラボメニューを提供する。「Hearth恵比寿」では、期間限定の「ガレット」の販売、「Weekend Garage Tokyo」では、コラボの「パリブレスト」を販売するほか、『パリのどこかで、あなたと』の 予告編映像放映 やパネル展示を行う。先着で、イラストレーターWALNUTさんのコラボステッカーがもらえるキャンペーンも実施中。

■『パリのどこかで、あなたと』
・原題: Deux Moi/2019/フランス
・英題: SOMEONE, SOMEWHERE
・監督・脚本: セドリック・クラピッシュ
・脚本: サンティアゴ・アミゴレーナ
・出演: アナ・ジラルド、フランソワ・シヴィル ほか
■ 配給:シネメディア
■ 公式サイト
・URL: https://someone-somewhere.jp

★2020年12月11日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ ほか全国順次公開!

© 2019 / CE QUI ME MEUT MOTION PICTURE - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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