アイルランドを舞台にした映画『サンドラの小さな家』が4月2日から公開!

公開日 : 2021年03月10日
最終更新 :
サンドラの再生の物語
サンドラの再生の物語

『サンドラの小さな家』が2021年4月2日(金)から新宿ピカデリーやヒューマントラストシネマ有楽町などにて全国公開。主演・脚本のクレア・ダン氏へのインタビューとともに紹介します。

サンドラの小さな家

サンドラの小さな家
家を建てる仲間たち

どこにでもいるひとりの女性が、周囲の人々と助け合いながら、自らの手で小さな家を建てる──。この物語は、アイルランドを舞台にシングルマザーの貧困や家庭内暴力、住宅問題……といった現代社会にはびこる問題に鋭く斬り込み、かつ希望の物語として瑞々しく描き出す作品です。

『サンドラの小さな家』の企画は、主演のクレア・ダン氏が3人の子供がいる親友から受けた“ホームレス状態になってしまった”という一本の電話からはじまりました。
大きな衝撃とともに怒りを感じたダン氏は初めて脚本を執筆。その脚本が、プロデューサーであるシャロン・ホーガン氏と、『マンマ・ミーア!』や『マーガレット・サッチャー鉄の女の涙』で知られるフィリダ・ロイド監督、エレメント・ピクチャーズに強く響き、制作にいたりました。
ロイド監督は“彼女は天性の脚本家”とダン氏を高く評価します。

クレア・ダン氏
クレア・ダン氏

ダン氏は、子供を守るために奮闘するサンドラ役を力強くも繊細に演じています。自身で書いた脚本をひとりの女優として見事に演じ切ったダン氏の演技は、観客の感情を激しく揺さぶり、“驚くべき才能の出現”(IndieWire)、“眩ゆいほど熱烈な演技”(The Times)と高い評価を得ています。
本作は、2020年サンダンス映画祭に正式出品。批評家・観客から高い評価を得て、ロッテントマトの満足度評価では 93%を獲得(2021年1月22日時点)しています。

サンドラとガリー
サンドラとガリー

【STORY】
シングルマザーのサンドラ(クレア・ダン氏)は、暴力をふるう夫ガリー(イアン・ロイド・アンダーソン氏) のもとから逃げ出し、ふたりの幼い娘たちと3人で生活をしています。女性支援グループの支援を受けてホテルに仮住まいをしていますが場所は勤め先から遠く、公営住宅の順番を待っていたら何年かかるかわかりません。サンドラは掃除婦やパブの仕事を掛け持ちしながら、肉体的にも精神的にもギリギリの日々を送ります。

ある日、娘の話を聴くうちに自分で家を建てようと思い立ちます。インターネットで、ある建築家が提唱する€3万5000で建てられる家を発見。サンドラはその設計図をたよりに調べ始めますが、土地や資金、人材……足りないものだらけで途方に暮れます。

サンドラも絶賛する演技を見せたふたりの子供たち
サンドラも絶賛する演技を見せたふたりの子供たち

しかし、周りの人々の助けを得て、次第に夢は現実へ。素人ばかりの家造りはなかなか順風満帆には進みませんが、汗をかきながらみんなで共同作業をしていくなかで、仲間たちの間には着実に信頼関係が生まれていきます。昔のアイルランドに伝わる“メハル=皆が集まって助け合うこと”の精神で、協力者たちもかけがえのないやりがいを見つけていきます。

順調にいき始めた建設のさなか、サンドラにはさらなる苦難が目の前に。元夫ガリーとの親権争いに焦るばかりのサンドラは窮地に立たされてしまいます。果たして彼女は自分の人生を再建することができるのでしょうか……

クレア・ダン氏のインタビュー

クレア・ダン氏のインタビュー
サンドラを助ける雇い主のペギー

──フィリダ・ロイド監督との仕事について教えてください。
フィリダとは、舞台の仕事で何度も組んでいましたし、親しい関係なのでとても仕事がしやすかったです。脚本の執筆中も草稿を読んでもらい、いろいろ話し合っていたんです。
彼女は、本作にかける私の思いがどれだけ熱いかをすごくよくわかっていました。撮影現場でも、彼女はどんな意見にも耳を傾けてくれて、まるでテレパシーでつながっているようでした。
それはものすごく贅沢だし、すばらしい時間でした。脚本と主演を兼任できたこと、そして同じ考えの監督がいて、いつでも相談しながら進められたことは幸運でした。

家を探す親子
家を探す親子

──ホームレスやセルフビルドについてのリサーチはどのように?
ホームレスなどの社会問題のリサーチについては本やネットでもたくさん調べましたが、最も参考になったのは出会った人々です。撮影が始まる前、フィリダと一緒に英国ウェールズでセルフビルドのコースを受講し、環境に優しい、二酸化炭素排出量の少ない家の建て方を学びました。短期間で新しいスキルが学べてワクワクしました。セルフビルドからは多くのことが学べます。やってみるまで、自分にこんなことができるなんて思いもしませんでした。

経済学者のピーダー・カービーに会いにエコビレッジにも行きました。そこでは住民が一丸となり気候変動や住宅危機の解決に取り組んでいたんです。彼らは太陽光発電や天然資源、そして地元の食べ物を活用していました。ピーダーからは、社会問題の解決のためにどんな意識を持つべきかという姿勢を学びました。
この作品を思いついたとき私は正気を失ったのかも、と彼に言ったら、「いや、君は正気を取り戻したんだ」って言われました。

喜びを分かち合う仲間たち
喜びを分かち合う仲間たち

──この作品をどんな人におすすめしたいですか?
この作品の主人公は人生を変えるために、自分自身のヒーローになろうとしています。希望が欲しい人、人は立ち直れると信じたい人はぜひ観てください。
また、植民地化される前のアイルランドでは、私たちは家族のために家を建てました。そこには共同体意識がありました。人生にはさまざまな周期が巡ってきます。ときには誰かに手を差し伸べる必要がありますし、人生は何度でもやり直せると信じなくてはなりません。
この作品を観ることで、住宅危機の問題に留まらず、他者とのかかわりや人間は本来どうあるべきかということについて考える機会になればと願っています。

読者プレゼントのお知らせ
音楽をかける親子

アイルランドの静かな土地で起こる家族の問題。普段は見えることがないこの問題はきっと身近なところで起きている出来事です。ラジオから流れる音楽が親子の楽しい時間を演出し、サンドラが思い出す暴力のフラッシュバックとの対比が観る者を引き込みます。
焦燥感や希望にグッと胸をつかまれながら、きっと私たちの背中をも後押ししてくれる映画です。サンドラの再生の物語を映画館でぜひご覧ください。

■サンドラの小さな家
・上映: 2021年4月2日(金)から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開
・URL: https://longride.jp/herself/
・監督: フィリダ・ロイド(おもな作品『マンマ・ミーア!』『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』ほか)
・共同脚本: クレア・ダン、マルコム・キャンベル(おもな作品『リチャードの秘密』ほか)
・出演:クレア・ダン、ハリエット・ウォルター(おもな作品『つぐない』ほか)、コンリース・ヒル(おもな作品『ゲーム・オブ・スローンズ』ほか)
・詳細: 2020年/アイルランド・イギリス/英語/97min/スコープ/カラー/5.1ch/原題:herself/日本語字幕:髙内朝子/提供:ニューセレクト、アスミック・エース、ロングライド/配給:ロングライド

©Element Pictures, Herself Film Productions, Fís Eireann/Screen Ireland, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute 2020

子供が建てた家
子供が建てた家

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新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、上記記事内で紹介した映画において、公開日・上映館の変更、中止・延期の可能性があります。最新情報は、公式ウェブサイト(URL)などで確認してください。
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※当記事は、2021年3月8日現在のものです

筆者

地球の歩き方ウェブ運営チーム

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