「ヨーロッパ博物館の夜2018」 5月はヨーロッパの美術館で夜更かしをする!

公開日 : 2018年04月17日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき
ルーブル美術館近くの地下鉄の看板 ©iStock
ルーブル美術館近くの地下鉄の看板 ©iStock

2018年は、ヨーロッパ文化遺産の年です。ヨーロッパの文化ユニットなるものを再確認する目的で定められ、さまざまな文化イベントが各国で開催されています。そのうち、2018年5月19日(土)に予定されているのが、「ヨーロッパ博物館の夜(La nuit européenne des musées)」というイベントです。今回は、普段なかなか観ることのできない、閉館後の博物館や美術館が楽しめる「ヨーロッパ博物館の夜」を紹介します。

「ヨーロッパ博物館の夜2018」とは!?

「ヨーロッパ博物館の夜2018」とは!?
「ヨーロッパ博物館の夜2018」のポスター

「ヨーロッパ博物館の夜(La nuit européenne des musées)」は、その名の通り、普段は閉館となる時間から夜中まで、無料で博物館・美術館を開放しようというものです。普段通りの展示見学のほか、この日だけ企画されるコンサートやアトリエ、パフォーマンスなども盛りだくさんで、いつもと違う博物館・美術館の表情を楽しむことができます。

昨年2017年は、フランスだけで1,200の博物館・美術館が参加し、一晩で延べ200万人の入場を記録しました。そのうちパリの主な美術館から、今年の開館時間やイベントを紹介しましょう。

【ルーヴル美術館】

【ルーヴル美術館】
ルーヴル美術館 © Paris Tourist Office - Photographe : © Sarah Sergent

まず、パリの美術館といえば、ルーヴル美術館でしょう。今年5月19日(土)は、18:00から深夜24:00まで門戸を開きます。

【オルセー美術館】

【オルセー美術館】
オルセー美術館 © Paris Tourist Office - Photographe : Amélie Dupont

パリでルーヴル美術館の次に有名なのが、オルセー美術館です。こちらも18:00から深夜24:00まで開館します。今年のテーマは「モネの夜」です。また、音楽イベントも予定されています。ジャンルはスウィングジャズで、21:00、22:00、23:00と毎時ごとに、雰囲気を盛りあげてくれます。

【ケ・ブランリー美術館】

【ケ・ブランリー美術館】
ケ・ブランリー美術館 © Architecture de Jean Nouvel

ケ・ブランリー美術館は、エッフェル塔の近く、セーヌ川のほとりに建つ美術館です。アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカの文化、芸術を集めており、2006年に開館しました。

建物をデザインしたのは、ジャン・ヌーヴェルです。彼は、パリのアラブ世界研究所や、フィルハーモニー・ド・パリ、最近では、アラブ首長国連邦のルーヴル・アブダビ美術館を設計した建築家です。

実はこのケ・ブランリー美術館では、現在「アジアの妖怪展」(2018年4月10日~7月15日)を開催中です。夜の美術館で、おどろおどろしい妖怪展を見る勇気のある方は、ぜひ訪ねてみてください。ほかではできない体験になること請け合いです。

【グラン・パレ】

【グラン・パレ】
グラン・パレ © Paris Tourist Office - Photographe : Marc Bertrand

グラン・パレは、向かいに建つプティ・パレ同様、1900年のパリ万国博覧会のために建てられました。なんと言っても印象的なのは、ガラス張りの天井です。いまでこそ歴史的建造物の指定を受けていますが、1960年代には、建築家ル・コルビュジエの企画により、グラン・パレを壊す計画も持ちあがったことがあったそうです。

現在は、国立グラン・パレ美術館として、多くの展覧会が開かれる場所となっています。ただいま開催中なのは、抽象画のパイオニアである『クプカ展』と、機械で作ったアートを展示する『アーティスト&ロボット展』のふたつです。

今年の5月19日(土)は、グラン・パレも深夜24:00まで開館しています。先述した展覧会に加え、オーディトリウムでは、エレクトロニックミュージック『It’s Alive』(Superpoze)が、5月19日(土)の21:00~22:00、22:30~23:30のほか、翌20日(日)午後にも演奏されることが決まっています。

【プティ・パレ】

【プティ・パレ】
プティ・パレ © Petit Palais Musée des Beaux Arts de la Ville de Paris

19世紀の美を集めたような建物だといわれるプティ・パレも、1900年のパリ万国博覧会のために建てられたものです。今はパリ市立美術館の役目を果たしています。5月19日(土)は、18:30から深夜24:00まで開館し、展示品見学のほか、ダンスやパントマイム、コメディ、音楽のパフォーマンスなど複数の催しが予定されています。

【パリ工芸博物館】

【パリ工芸博物館】
パリ工芸博物館 © namphoto Charlotte Compan

パリ工芸博物館は、科学とテクノロジーをテーマにした博物館です。高等教育機関であるフランス国立工芸院に属します。発明品のコレクションが飛躍的に増えた19世紀には、それらの搬入を容易にするために、博物館敷地に鉄道まで敷かれました。その跡は今も見ることができます。建物は、元サン・マルタン・デ・シャン王立修道院だった歴史的建造物で、そこに、人智の限りを尽くした発明品が並ぶのを見るのも、おもしろいものです。

今年の「ヨーロッパ博物館の夜」で焦点があてられるのも、それらの発明品の数々です。たとえば、最初の飛行機といわれるクレモン・アデールのアヴィヨンや、世界初の自動車といわれるキュニョーの砲車などが挙げられます。ちなみに、アデール発明の「アヴィヨン」は、そののち、フランス語の飛行機(avion)を指す単語になりました。

また、この日は、かの有名なフーコーの振り子のデモンストレーションも予定されています。これは、1851年に、地球の自転を証明するためフーコーが行った実験の再現です。

ここで紹介した以外にも、2018年5月19日(土)には、ヨーロッパの多くの博物館・美術館で夜の光景が楽しめます。どうぞこの日ばかりは夜更かし覚悟で、美の世界に浸ってみてください。

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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