江戸時代にタイムスリップ!浴衣で歩く 世界遺産の町・山口県萩市(松下村塾・松蔭神社・菊屋家住宅)

公開日 : 2018年05月29日
最終更新 :
白いなまこ壁が美しい
白いなまこ壁が美しい

 山口県初の世界遺産が同時に、5ヶ所誕生した山口県萩市。現在も江戸時代の地図が使える萩城下町には、往時の面影をとどめた町並みが残っています。町筋は碁盤目状に区画され、中・下級の武家屋敷が軒を連ねていした。参勤交代の際、殿様が通った御成道に面して江戸屋、伊勢屋、菊屋の商家が並んでいたため、横町には、それぞれの名が残されています。

町全体が世界遺産!江戸期と現代を行き来する時間旅行

町全体が世界遺産!江戸期と現代を行き来する時間旅行
菊屋家住宅は、現存する商家としては最古の部類

 和服を着て歩くと町の風景に馴染み、自分も風景の一部に溶け込んだかのようです。まるで、江戸時代にタイムスリップしたかのような気分になります。

 白いなまこ壁の美しい、この横町は「日本の道百選」の一つにも選ばれています。徒歩圏内に藩の豪商「菊屋家」をはじめ、幕末の風雲児「高杉晋作の誕生地」、第26代総理大臣「田中義一の誕生地」などが並んでいますので、ゆっくり散策してみてはいかがでしょうか。

鍵曲は敵の侵入などに備えるため鍵手形に作られた城下町特有の道
鍵曲は敵の侵入などに備えるため鍵手形に作られた城下町特有の道
「日本の道百選」にも選ばれた白壁の美しい町並み
「日本の道百選」にも選ばれた白壁の美しい町並み

■菊屋横町
・住所:758-0072 山口県萩市呉服町1丁目1番地
・URL: http://hagishi.com/search/detail.php?d=100036

山口県萩市は現代日本の礎を築いた偉人の故郷

山口県萩市は現代日本の礎を築いた偉人の故郷
明治維新の原動力となる精神が育まれた松下村塾

 幕末期に吉田松陰が主宰した私塾「松下村塾」は、1857(安政4)年、松陰が28歳の時に叔父の玉木文之進から引き継ぎました。当時、この地域が松本村と呼ばれていたことから「松下村塾」という名がつけられたのだとか。

久坂玄瑞や伊藤博文など総勢92人の塾生を輩出
久坂玄瑞や伊藤博文など総勢92人の塾生を輩出

 松陰は身分や階級にとらわれず塾生として受け入れ、わずか1年余りの間に久坂玄端、高杉晋作、伊藤博文、山県有朋、山田顕義、品川弥二郎など92人の塾生を指導し、明治新政府に活躍した多くの逸材を育てました。

 当初からあった八畳の講義室や後に増築した4畳半一室、3畳二室、土間一坪、休憩室として利用したという中二階(屋根裏)は現在も残り、無料で外から見学できます(中に立ち入ることはできません)。

 実際に近くで見ると想像よりも小さく感じます。ここで明治維新の原動力となる精神が育まれたのだと背筋が伸びる思いでした。

吉田松陰が詠んだ歌
吉田松陰が詠んだ歌

■松下村塾
・住所:〒758-0011 山口県萩市椿東1537(松陰神社敷地内)
・URL: http://hagishi.com/search/detail.php?d=100009

今もなお学問の神様として信仰を集める松陰の魂

今もなお学問の神様として信仰を集める松陰の魂
吉田松陰を祀る松陰神社

 松陰神社は、1890(明治23)年に吉田松陰を祀って建てられました。学問の神として信仰が厚く、とくに正月には初詣の参拝客で賑わいます。山口県出身の私も子供の頃から何度も足を運びました。

 この松陰神社、当初は松陰の実家である杉家により私祠としてほこらが建立されましたが、その後塾生の伊藤博文・野村靖などが中心に神社を公に創設する運動をはじめ、1907(明治40)年に神社創設が許可されました。

 現在の社殿は、昭和30年に新しく完成したものです。御神体は、松陰が終生愛用した赤間硯と父兄宛に書いた文書が遺言によって納められています(旧社殿は「松門神社」として塾生の霊を祀っています)。

 境内には旧宅もあり、吉田松陰が謹慎していた三畳の幽囚室も外から無料で見学できます。

蝋人形などで吉田松陰の一生をわかりやすく学べる
蝋人形などで吉田松陰の一生をわかりやすく学べる

 「吉田松陰歴史館」では、吉田松陰の生涯を70体の蝋人形で再現し、松陰の一生が分かりやすく紹介されています。

 また、平成21年には「松陰神社宝物殿 至誠館」が開館しました。遺墨や遺品類などの展示や企画展なども開催され、オリジナルグッズなどの販売もあります。

隣接する旧宅では吉田松陰が謹慎していた三畳の幽因室も見学可
隣接する旧宅では吉田松陰が謹慎していた三畳の幽因室も見学可

 歴史館の前には、「明治維新胎動之地」と記された石碑があります。これは、1968(昭和43)に明治維新100年を記念して建立されたもので、揮毫は故佐藤栄作元首相です。

 松下村塾は松陰神社境内にあり、一歩足を踏み入れると激動の時代に多くの意見が活発に交わされた力強いエネルギーを今も感じる、見どころの多い神社です。

「明治維新胎動之地」と記された石碑。揮毫は故佐藤栄作元首相
「明治維新胎動之地」と記された石碑。揮毫は故佐藤栄作元首相

■松陰神社
・住所:〒758-0011山口県萩市椿東1537
・URL: http://shoin-jinja.jp/

歴史に触れたあとは甘酸っぱいひんやりスウィーツでクールダウン

歴史に触れたあとは甘酸っぱいひんやりスウィーツでクールダウン
萩の名物「夏みかん」が練りこまれた夏みかんソフト

 松陰食堂では、松陰団子やうどんなどを楽しめます。私は夏みかんソフトをいただきました。萩の名物夏みかんの果汁がたっぷりとコクのあるソフトクリームに練りこまれています。

 一口頬張ると酸味のある爽やかな香りとバニラのコクが広がり、松陰の厳しくも優しい教えを表現しているかのようなソフトクリームです。

松陰団子や文団子、うどん・そばなどが楽しめる
松陰団子や文団子、うどん・そばなどが楽しめる

■松陰食堂
・住所:〒758-0011 山口県萩市大字椿東松本市1537
・URL: http://shoinshokudo.com/

<萩の町並みは静かに時の流れを見守る歴史の生き証人。>

 日本史の教科書で目にした人物所縁の家や町筋が点在する萩市の町並みは歴史の生き証人。町筋を歩くと激動の時代を生きた幕末の志士たちの熱い想いを感じます。世界遺産や志士たち所縁の史跡を眺めて、故郷を愛する心を改めて思い出してみてはいかがですか。

記事:清水のぶよ
※本記事は、「日本の歩き方」内、「おでかけガイド」に2015年8月12日に掲載されたものです。

筆者

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