世界遺産・アンコール遺跡群巡礼ガイド(カンボジア)

公開日 : 2019年10月22日
最終更新 :
アンコール・ワットの夕景 ©iStock
アンコール・ワットの夕景 ©iStock

カンボジア観光のハイライト、アンコール遺跡群は、1992年12月にユネスコの世界遺産に登録されたました。9世紀初頭から約600年もの間、現在のカンボジア・シェムリアップを支配していたクメール王国(アンコール朝)が残した建造物が点在するアンコール遺跡群の主要スポットを紹介します。

初心者必見! アンコール3大遺跡

初心者必見! アンコール3大遺跡
上空から見たアンコール・ワット ©iStock

1860年、フランス人博物学者アンリ・ムオによって発見されたアンコール・ワット。今から約150年前には、その存在すら知る人はいませんでした。

そのアンコール・ワットを含むアンコール遺跡群は、広大なエリアに700を越える石造寺院や都城を有します。未発掘のものを含めると、その数はなんと1,000を下らないといわれています。

アンコール遺跡群のなかでとりわけ有名なのが、アンコール・ワット、アンコール・トム、タ・プロームの3つです。

クメール建築の最高傑作と評されるアンコール・ワットは、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神を祀る寺院です。12世紀前半、スーリヤヴァルマン2世によって、約30年の歳月をかけて建造されました。

城砦都市遺跡と呼ばれるアンコール・トムには、アンコール・ワットが祀ったヒンドゥー教とは異なり、仏教の教えが根づいています。東西南北の4面には、観世音菩薩の彫刻が施されています。

ガジュマル(榕樹)の根が遺跡に絡まり、神秘的な雰囲気を醸しだすタ・プロームは、12世紀末に仏教寺院として建立され、後にヒンドゥー教寺院に改築されたことで有名です。西塔門には、創建当時に彫られた観世音菩薩像が残っています。

「寺院のある都」を意味するアンコール・ワット

「寺院のある都」を意味するアンコール・ワット
アンコール・ワットの外観 ©iStock

アンコール・ワットは、クメール語で「寺院のある都」を意味し、年間300万人もの観光客が訪れる世界三大仏教寺院のひとつです。12世紀初頭、スールヤヴァルマン2世によって創建されたと考えられています。南北約1,300m、東西約1,500mの塀で囲まれた敷地に、ピラミッドのような階層状の寺院がそびえます。

アンコール・ワットのレリーフ ©iStock
アンコール・ワットのレリーフ ©iStock

アンコール・ワットには、絵巻物のように読み進められる第一回廊のレリーフ(浮き彫り)をはじめ、200体以上のデバター(女神像)が掘られた第二回廊、クメール王国の王だけが見ることができた第三回廊まで多くの見所があります。なお、北の聖池前は、「逆さアンコール・ワット」が撮れるおすすめのフォトスポットです。

「美しい塔」を意味するアンコール・トム

「美しい塔」を意味するアンコール・トム
アンコール・トムの外観 ©iStock

アンコール・トムは、アンコール・ワットの建設から遅れること半世紀、ジャヤヴァルマン7世によって創建されました。クメール語で「大きな町」を意味するアンコール・トムは、高さ8m、周囲約12kmのラテライト(熱帯地域に分布する赤褐色の土壌)の壁に囲まれた都城です。

「クメールの微笑み」と呼ばれる塔 ©iStock
「クメールの微笑み」と呼ばれる塔 ©iStock

アンコール・トムの見所は、都城の中心に位置するバイヨン寺院です。クメール語で「美しい塔」を意味するバイヨン寺院では、観世音菩薩が彫刻された中央祠堂や「クメールの微笑み」と呼ばれる4面に彫られた人面像が有名です。また、バイヨン寺院の周辺では、ゾウ・ライドを楽しむこともできます。

「梵天の古老」を意味するタ・プローム

「梵天の古老」を意味するタ・プローム
タ・プロームの外観 ©iStock

タ・プロームは、創建時はジャヤヴァルマン7世が母を弔って造った仏教寺院でしたが、後にヒンドゥー教寺院に改築されました。クメール語で「梵天の古老」を意味するタ・プロームは、創建当時、5,000人強の僧侶と600人強の踊り子が住んでいたのだとか。仏教からヒンドゥー教の寺院に変わったことで、壁面に彫られた仏教色の強い彫刻の多くが削り取られました。

ガジュマル(榕樹)の根が張る祠堂 ©iStock
ガジュマル(榕樹)の根が張る祠堂 ©iStock

タ・プロームの見所は、ガジュマル(榕樹)の根が絡みつく塔や祠堂です。樹齢300~400年と考えられている巨木が遺跡を浸食する様子は、「自然の芸術」ともいえます。今にも押しつぶされそうな塔や祠堂に這うガジュマルの根は、生き物のように見えるから不思議です。

いかがでしたか。カンボジア観光のハイライトであるアンコール遺跡群の主要スポットを紹介しました。クメール王国の栄華が垣間見えるアンコール遺跡群へでかけてみませんか。

筆者

地球の歩き方ウェブ運営チーム

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』のメディアサイト『地球の歩き方web』を運営しているチームです。世界約50の国と地域、160人以上の国内外の都市のスペシャリスト・特派員が発信する旅の最新情報をお届けします。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。