女性に大人気、アジアンBBQとデザートの店「ファット・ルルズ」

公開日 : 2016年10月18日
最終更新 :
とってもお茶目なサムシェフ。ユーモアあふれるトークも魅力
とってもお茶目なサムシェフ。ユーモアあふれるトークも魅力

インド系シンガポール人、サム・チャブラニ(Sam Chablani)シェフが率いる、アジア風バーベキューとスイーツの店、ファット・ルルズ(Fat Lulu's)。日本の備長炭でこんがりと焼き上げた野菜や魚、肉などと、見た目の楽しい、ひんやりとしたデザートが楽しめるお店です。

ニューヨークの料理学校で料理を勉強したサムシェフは、シンガポールに戻り、シンガポール植物園内のレストラン、ハリア(Halia)などでキャリアを重ねます。
元々マレーシアの一部で、マレー・インドネシアの食文化を持つシンガポール。
シティーホールにあるインドネシア風バーベキューの店でコンサルティングシェフをしていた際に、バーベキューに魅せられたのだそう。「他の炭と比べて黒煙が出ず、純粋な味が楽しめる」という、備長炭で焼き上げたアジアのアクセントを利かせたバーベキュー。

まずは、今シンガポールで、上質な野菜の産地として注目の、マレーシア・キャメロンハイランド産の有機栽培のスイートコーンを使ったバーベキュー。ほんのりオレガノを利かせた香ばしい焼きトウモロコシといった印象で、そのまま食べてもおいしいのですが、酸味と辛みがコーンの甘さを引き立てる、スモークサワークリームと共に提供され、二通りの味が楽しめます。



バーント・コーン(Burnt Corn、S$11)
バーント・コーン(Burnt Corn、S$11)

ローストポテトも、子羊のあばら肉を焼く際に出る脂と、ラムと相性の良いローズマリーをメインに、オレガノやタイム、スターアニスなどと共に焼き上げていて、ラムの香りと脂の甘味に、野菜がメインなのに、ついついビールやワインがほしくなるコクがたっぷりの一皿に仕上がっています。
しめじやケールも添えられていますが、あくまでも主役はしっかりとした味わいのポテトです。

ローステッド・ポテト(S$12)
ローステッド・ポテト(S$12)

スペインのイベリコ豚の端肉を使って、「アジア風バーベキュー」らしく、自家製のサンバル(シンガポールでよく食べられる、唐辛子を使ったペースト)
に丸一日漬け込んでから串に刺し、サテ(シンガポール風の串焼き)風に仕上げたのが、サテ・テ。
じゅわっと脂がしみ出し、やや甘め、スパイスの効いた味のバランスが、とってもシンガポールらしい一皿。
そしてイベリコ豚ならではの臭みのない味わいも堪能できる、ワンランク上のサテ。脂の乗り具合がちょうどよく、ビールがほしくなる味です。
スパイスの効いたサンバルも、自然塩を使って作った本格派。

サテ・テ(Sataytay、S$12)
サテ・テ(Sataytay、S$12)

個人的に、とっても気に入ったのがアスパラガス。サムシェフは、ちょっと焼きすぎ?と思うくらい、大胆に焦げ目をつけていくのですが、
生をそのまま焼いているせいもあるのか、外側は香ばしく、内側は水分を含んでジューシーに仕上がっています。
アスパラガスと卵は定番の組み合わせですが、こちらは自家製のすましバターと卵のソース、ベアルネーズソース(Sauce Bearnaise)を添えて。
バターのまろやかさとコクが加わって、本当に絶品でした。

バーント・アスパラガス(S$14	)
バーント・アスパラガス(S$14 )

スパイシー・バーベキュー・フル・ラック・ポーク・リブス(Spicy BBQ Full Rack Pork Ribs、S$28)
大きなポークリブだけに、真空低温調理で77℃で11時間程火を入れてから自家製の甘辛いソースを塗って焼いていきます。
ここでも登場するのが、ケチャップ・マニス(ketchap Manis)と呼ばれるインドネシアのソース。甘辛い醤油のような、独特の味わいは、
さらに、唐辛子の粉や米酢などを加えたソースは、日本人にも親しみやすい味。するりと外れて食べやすいポークリブです。

巨大なポークリブも人気料理の一つ
巨大なポークリブも人気料理の一つ

塊の肉類は、火からの距離を三段階に調節できるグリルがあるため、少し遠火で休ませたりしながら、じっくりと焼いていきます。
こちらは、オーストラリア和牛のスカート(内ハラミ)と呼ばれるハラミに近い部分。柔らかくて、しっかり旨味がありますが、
サムシェフはさらに隠し味にタイの魚醤を使い、まろやかな味を引き出しています。
イベリコ豚は、サテ・テに使った肉の内側部分。同じくサンバルに漬けてありますが、脂身が少なめで、ヘルシーな味わいです。
ローカルの青野菜、カイランを添えて。

ダー・ミートボード(Duh Meat Board、S$28)
ダー・ミートボード(Duh Meat Board、S$28)

マレー語で焼き魚、という意味のイカン・バカー。
釣りのブダイを、ターメリックやカシミール産の唐辛子などのスパイスやガーリックペースト、チリオイルに漬け込んで焼いてあり、
結構辛いです。炭火の香りとあいまって、どこかタンドール窯で焼いた魚のような印象。
シンガポール風の野菜のピクルス、アチャー(Achar)を添えて。

イカン・バカー(Ikan Bakar 、S$28)
イカン・バカー(Ikan Bakar 、S$28)
おいしいスイーツで食べる人を笑顔にしたい、と語るソンシェフ
おいしいスイーツで食べる人を笑顔にしたい、と語るソンシェフ

デザートは、サムシェフとボタニックガーデンにあるレストラン、ハリア(Halia)で一緒に働いていた、中国系マレーシア人のパン・ジ・シュアン(Pang Ji Shuang)、通称ソン(Song)シェフが担当。
カウンターの横にある巨大な液体窒素のタンクから液体窒素を入れて、みるみるうちにグラニテなどの冷たいデザートを作り上げる様子は、迫力満点。

まずは、シンガポール風かき氷、アイス・カチャンを現代風にアレンジしたデザート。パイナップルのグラニテとココナッツのアイスクリーム、ココナッツの泡、もっちりとした食感のナタ・デ・ココ、ニッパヤシの実などで作った、エキゾティックなデザート。シンガポールではかき氷をはじめ色々なデザートについてくる、バニラのような香りのパンダンで香りをつけたゼリーものっています。

パイナップル・ココナッツ・アイスカチャン(S$14)
パイナップル・ココナッツ・アイスカチャン(S$14)

アップルタルト・タタンは、元々アップルパイのフィリングを加熱しすぎてしまい、フィリングと生地を逆にして焼いた、失敗を逆手に取ったデザート。「実は、もうひとつこのデザートには失敗から生まれた部分があるんだ」とソンシェフ。
バニラアイスクリームを作っている際に、砂糖をとかそうと火にかけたものの、焦がしすぎてしまったソンシェフ。
「そのまま冷凍庫に入れて、凍らせてみたら、香ばしいアイスクリームが出来上がった。それを、同じくキャラメリゼされた味で、失敗から生まれたタルト・タタンと合わせたのだそう。アップルフィリングの層と合わさると、とても香ばしくて、バーベキューが中心のお料理からそのままの流れで食べられるデザートです。

アップル・タルト・タタン(S$14)
アップル・タルト・タタン(S$14)

シンガポールでも親しまれているチョコレート菓子、Kinder Buenoを高級にアレンジした再構築デザート。ヘーゼルナッツのクリームに、
ミルクチョコレートクリーム、チョコレートバーは、ホワイトチョコやヘーゼルナッツ、キャラメルなどにチョコレートリキュールのベイリーズを加えた大人味。
チョコレートのスポンジや、ビターチョコレートのソルベ。冷たいソルベは、カカオ含有率の高い72%のダークチョコレートで、濃厚な味が楽しめます。


ワイルドなバーベキューと、プレゼンテーションもかわいい凝ったデザートというコンビネーションが珍しいせいもあるのか、
私が訪れた時は、店内は女性客で満席。気軽においしいものを食べて、しっかりデザートも味わいたい、そんな時にぴったりです。

アタス・キンダー・ブエノ( S$16)
アタス・キンダー・ブエノ( S$16)

ベリー類とホワイトチョコレートのデザート(Berries & White Chocolate 、S$16。写真下)は、ホワイトチョコレートがなんと30%も入ったアイスクリーム、カシスのグラニテ、カシスのフォーム、エルダーフラワーのシロップに一晩漬け込んだ苺。カシスのコクと酸味に、エルダーフラワーの優しい香り。ホワイトチョコレートのまろやかさと苺のフレッシュさが加わり、個人的にとても気に入りました。

液体窒素で目の前で仕上げるデザートは美しいだけでなく迫力満点
液体窒素で目の前で仕上げるデザートは美しいだけでなく迫力満点
クラッシックなショップハウスが立ち並ぶ一角にある
クラッシックなショップハウスが立ち並ぶ一角にある

【データ】
■ ファット・ルルズ(Fat Lulu's)
営業時間:ディナー 18:00~23:00(日曜、火曜~木曜)、~深夜(金曜、土曜)ブランチ 11:00~16:00(土曜・日曜)
住所:297 River Valley Road, Singapore 238338
電話: +65 9236 5002
定休日:月曜休
最寄駅:MRTサマセット駅徒歩約7分

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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