どのくらい臭い?台湾の定番グルメ「臭豆腐(チョウドウフ)」の楽しみ方

公開日 : 2019年12月21日
最終更新 :
夜市では必ず見かける ©iStock
夜市では必ず見かける ©iStock

小籠包(シアオロンバオ)、牛肉麺(ニュウロウミエン)、魯肉飯(ルーロウファン)、タピオカなど、おいしいものを目当てに台湾を訪れる人も多いはず。ところが、あまり「臭豆腐」を好んで食べている観光客は見かけません。「臭い豆腐」……。字面からしても、ほかの食べ物に比べてハードルがグンと上がります。「歩いていたら突然異臭を感じて、見回すと臭豆腐の屋台があった」、なんて声も。でも台湾の人はみんなおいしそうにほおばっています。臭豆腐、本当においしいのでしょうか?

臭豆腐とは?

臭豆腐とは?
見た目はとってもおいしそうだが…… ©iStock

●起源
臭豆腐とは、植物性の発酵液につけた豆腐を揚げたり蒸したりしたもので、もともとは中国湖南省が発祥。現在はおもに中国南部や香港、台湾で食べられています。台湾には第2次世界大戦後、上海からの移民によってもたらされたといわれています。
 
●臭豆腐の作り方
臭豆腐の臭いの元となる発酵液は野菜や塩、豆腐などから作りますが、魚介類や動物性たんぱく質を加えるところも。この発酵液がおいしさを決める最大のポイントで、お店によってさまざまなレシピがあります。

半年ほど寝かせて発酵液が完成したら、豆腐を入れ臭いをつけます。発酵液につける時間が長いほど臭い臭豆腐になるのだとか。臭豆腐を作るのには手間ひまを要するため、わざわざ家庭で作ることはまれで、地元の人も専門の屋台やレストランで食べることが多いようです。

ポピュラーな調味料として、スーパーで売られている
ポピュラーな調味料として、スーパーで売られている

●豆腐乳(トウフルー)
同じく独特の臭気を放つ豆腐の発酵食品に、「豆腐乳(腐乳)」があります。豆腐と麹を塩水につけて発酵させたもので、チーズのような濃厚な味わい。沖縄にもこれと類似する「豆腐よう」がありますが、豆腐ようは塩の代わりに泡盛で作ります。豆腐乳はスーパーなどで瓶詰めで売られていて、おかゆと一緒に食べたり、調味料として使用します。女性に人気の酸菜白肉鍋(酸っぱい白菜の鍋)のつけだれに入れたりもします。

臭豆腐はどのくらい臭いのか?

臭豆腐はどのくらい臭いのか?
あの独特な臭いは、いつも議論の的となる ©iStock

豆腐の特徴は何といっても独特の発酵臭。世界的に有名な臭い食べ物は、だいたい発酵食品です。なんでも、たんぱく質を分解する菌は悪臭物質を作りやすいからなのだとか。臭いの元を化学的に分析すると、「インドール」という化学成分で、その特徴は、糞尿臭、大便臭、おなら。日本では、2016年に臭豆腐が原因の異臭騒ぎが起こり、JR関西線の運行が打ち切りになったという“伝説”もあります。

さて実際どのくらい臭うのかというと、臭豆腐そのものより臭豆腐を調理している屋台が臭気を発している気がします。むわっとする、生ごみのような強烈な口臭のようなにおいです。臭豆腐自体は、いざ食べてみると「あれ?そんなに臭くない」という人と、「臭すぎてありえない」という人に分かれます。

たしかに、夜市などにある安い臭豆腐の場合、食べたあと、歯が臭くなっているような気がします。食べられなくはないけれど、わざわざ選んで食べる必要はない、という感じでしょうか。「臭くて絶対無理」と思って食べるとよけいに臭く感じられる気がします。逆に納豆のように「臭いけど発酵食品で健康にいい」と思えば、臭いは気にならないかもしれません。

ただ、台湾のグルメ通によると、現在は冷蔵保存技術が発達し、臭豆腐は年々臭くなくなってきているそうです。確かに、10年くらい前は町角に臭豆腐の屋台があると、周辺にものすごく強烈な臭いを放っていたものですが、最近はそこまで臭気を感じることもありません(慣れてしまったのかもしれませんが)。

今回改めておいしいと評判の店を取材すると、全然臭くなかったり、おいしくて、また行きたいと思う店もあったりしました。臭豆腐が臭いかどうかは、はっきりいって、「店」と「食べる人」によるといえそうです。

臭豆腐の定番メニュー

臭豆腐の定番メニュー
夜市で食べる臭豆腐は格別?

●炸臭豆腐(ジャーチョウドウフ)
油で揚げた臭豆腐。夜市でよく見かけます。台湾では泡菜(パオツァイ)という白菜の酢漬けをのせて食べるのが定番。泡菜のおいしさも重要なので、人気店は手作りしていることがほとんど。

厚揚げにそっくりでビールにも合います。臭いのほうは、屋台の周りは厳しい所もありますが、食べてみるとそれほどは気になりません。ただ、ちょっと歯に臭いがしみついて、食後は自分が臭くなった感じがしました。

見た目も食感も厚揚げそっくり ©iStock
見た目も食感も厚揚げそっくり ©iStock

●脆皮臭豆腐(ツゥイピーチョウドウフ)
香港スタイルの揚げ臭豆腐。高温でカリカリに揚げた臭豆腐の外皮を破り、しょうゆベースのタレを入れ、食べるときはさらに泡菜を突っ込んで、3つのハーモニーを楽しみます。揚げているので臭いは控えめ。

パリパリの豆腐とジューシーな漬物が合う!
パリパリの豆腐とジューシーな漬物が合う!

●烤臭豆腐(カオチョウドウフ)
豆板醤を塗って炭焼きにする臭豆腐。こちらも屋台で見かけます。豆板醤の味で臭いはほとんど感じられません。

片手で気軽に食べられそう
片手で気軽に食べられそう

●清蒸臭豆腐(チンヂェンチョウドウフ)
シンプルな蒸し臭豆腐。その分ごまかしがきかず、臭いは揚げ臭豆腐に比べるときつめ。レストランで食べることができます。

もちろん臭くない場合もある
もちろん臭くない場合もある

●麻辣臭豆腐(マーラーチョウドウフ)
唐辛子を加えて煮込んだ臭豆腐。辛さが臭い豆腐の臭いを消してくれますが、辛いものが苦手な人にとっては臭いがダブルパンチになることも。

煮込み系ではポピュラー
煮込み系ではポピュラー

おすすめの臭豆腐の店

おすすめの臭豆腐の店
おいしい店を探し求めて、町歩きするのも楽しい @istock

地元の人々が足しげく通う人気店なら、臭い臭豆腐に当たる確率はグンと減ります。

■彭記臭豆腐(ポンジーチョウドウフ)
MRT市政府駅から徒歩約3分のところにある店。注文を受けてから揚げる脆皮臭豆腐(50元)は、外側は香ばしく、中身はしっとり。臭みはまったく感じられません。サイドメニューの蚵仔麺線(45元~)もかなりおいしい! 18:00頃には売り切れてしまうことが多いので早めに行きましょう。

・住所: 台北市永吉路30巷177號
・電話: 0953-152-305
・時間: 11:30~20:00(売り切れまで)
・休日: 日曜

地元の人々に人気の彭記臭豆腐
地元の人々に人気の彭記臭豆腐

■泉臭豆腐(チュエンチョウドウフ)
塾が集まる南陽街にある小さな店。台北駅に近く、遅くまで営業しているので、利用しやすいです。パリッと揚がった臭豆腐(55元~)を特製のにんにくだれで味わいます。台湾女子にも大人気。

・住所: 台北市南陽街5號
・時間: 7:00~23:00
・休日: 無休

■臭老闆現蒸臭豆腐(チョウラオパンシエンジェンチョウドウフ)
台北南西部の南機場夜市にあり、ミシュランのビブグルマンに選ばれた店。ほんのりピリ辛の現蒸臭豆腐(70元)は、辛さを選べます。臭豆腐以外のメニューも充実。

・住所: 台北市中華路二段313巷6號
・電話: (02)2305-2078
・時間: 11:30~22:30
・休日: 水曜

辛さを調節できるのがうれしい
辛さを調節できるのがうれしい

■戴記獨臭之家(ダイジードゥーチョウヂージア)
台湾で唯一、生臭豆腐が食べられる店。ニューヨークタイムズ紙で紹介され一躍有名となりました。自然製法にこだわった臭豆腐を使ったさまざまなメニューを味わえます。臭豆腐マニアにはぜひ訪れてほしいです。

・住所: 台北市永吉路120巷3弄2號
・電話: (02)2760-7661
・時間: 11:30~22:00
・休日: 火曜

臭豆腐の町がある!?

臭豆腐の町がある!?
赤れんがの街並みが残る深坑老街

台北市街から南東へ約10kmほどの所に位置する深坑(シェンクン)は、きれいな水が豊富なことから豆腐づくりがさかんな町。ノスタルジックな町並みの深坑街には臭豆腐レストランが並び、店頭でぐつぐつ臭豆腐が煮込まれています。新鮮な豆腐を使った臭豆腐は発酵度も控えめで、初心者にはうってつけ。老街はフォトジェニックで観光スポットとしてもおすすめです。

●深坑へのアクセス
MRT木柵駅から660、666路バスで「深坑」下車。

■王水成(ワンシュイチョン)
深坑老街の近くにある大型店。臭豆腐(70元)は麻辣、ニンニクの2種類。日本語の説明もあり、注文しやすいです。

・住所: 新北市深坑區北深路二段204號
・電話: (02)2662-4645
・時間: 10:30~20:00(土・日~20:30)
・休日: 火曜

まとめ

まとめ
臭豆腐を制覇してさらに台湾通に! ©iStock

とにかく臭い!といわれがちな臭豆腐ですが、おいしい臭豆腐は臭くないというのが実感です。納豆をおいしそうに食べる外国の方に親近感がわくように、臭豆腐をおいしく食べられるようになれたら台湾の人との距離をグッと縮められるかもしれませんね!

文: 谷口佳恵
写真: iStock、谷口佳恵

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地球の歩き方書籍編集部

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