一生に一度は訪れたい、ベトナムの世界遺産8選!

公開日 : 2020年07月04日
最終更新 :
いちばん有名なベトナムの世界遺産、ハロン湾 ©iStock
いちばん有名なベトナムの世界遺産、ハロン湾 ©iStock

ユネスコ世界遺産に登録されているベトナムの世界遺産は、8ヵ所あります。日本のメディアでもよく取り上げられる「古都ホイアン」や「ハロン湾」はもちろん、ディープな古城や神秘的な鍾乳洞までその内容はさまざまです。ここでは、一生に一度は訪れたいベトナムの世界遺産をご紹介します。

【はじめに】2020年7月4日現在、観光目的の海外渡航は難しい状況です。『地球の歩き方ニュース&レポート』では、昨今の世界情勢をふまえ観光地情報の発信を抑制してきました。しかし、2020年5月31日で「期間限定の電子書籍読み放題サービス」が終了したこともあり「近い将来に旅したい場所」として、世界の現地観光記事の発信を2020年6月以降、再開することにいたしました。

世界各地のまだ行ったことのない、あるいは再び訪れたい旅先の詳しい情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス禍収束後は、ぜひ旅にお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを、心より願っています。 

文化遺産

文化遺産
中国の紫禁城を模して建てられたグエン朝王宮 ©iStock

●フエの建造物群 Complex of Hue Monuments
ベトナム最後の王朝、グエン(阮)朝の都がおかれたべトナム中部の町、フエ。約150年間栄華を極めた王朝のもと、ベトナムの伝統様式に加えて中国やフランスの意匠を取り入れた華麗な建築物や料理、雅楽など、華やかな宮廷文化が花開いた場所です。
かつてユネスコの事務局長だったアマドゥ・マハタール・ムボウ氏はフエを「賞賛すべき建築上のポエムである」と称えました。王宮をはじめ、主要な霊廟や寺などの歴史的建造物群が、1993年にベトナム初の世界遺産に登録されました。

●古都ホイアン Hoi An Ancient Town
15~19世紀にアジアとヨーロッパの交易拠点として栄えた港町ホイアンは、古い町並みが残るノスタルジックタウンとして観光客に大人気の町です。江戸時代初期に朱印船貿易の舞台となり、異国の地にやってきた日本人商人たちによって日本人街が造られました。数百年の時を経た現在も往時の町並みが色濃く残るホイアン旧市街は、1999年に世界文化遺産に登録されました。

日本人商人によって建てられた日本橋はベトナムを代表する観光名所 ©iStock
日本人商人によって建てられた日本橋はベトナムを代表する観光名所 ©iStock

●ミーソン聖域 My Son Sanctuary
ベトナム中部沿岸と中部高原を支配していた古代チャンパ王国の聖地だった場所。聖山マハーパルヴァタを望む盆地に、ヒンドゥー教シヴァ神を祀るれんが造りの塔など、70棟を超える遺構が草木に埋もれて残っています。
これらは4~13世紀に建てられたもの。自然崩壊に加え、ベトナム戦争時の空爆でかなり崩壊が進んでいますが、神聖な雰囲気を感じることができます。1999年に世界文化遺産に登録されました。
ホイアン旧市街から車で約1時間30分、ダナン中心部からは2時間強の場所にあり、各地からツアーが催行されています。

遺跡のところどころに彫刻が残っている ©iStock
遺跡のところどころに彫刻が残っている ©iStock

●ハノイ・タンロン王城遺跡中心区域 
Central Sector of Imperial Citadel of Thang Long – Hanoi
11~19世紀に栄えた各ベトナム王朝の城が築かれていた場所です。1010年、タンロン(現ハノイ)に都をおいたベトナム初の長期王朝リー(李)朝の城であるタンロン城の遺構と、フエに遷都されたグエン(阮)朝時代に一地方都市の城として1805年に建設されたハノイ城の一部が残されています。
そのふたつを合わせたエリアが、2010年に世界文化遺産に登録されました。それぞれの時代の遺跡が重なり合った、ベトナムの歴史を語るうえで非常に重要な遺跡とされています。

ハノイ中心部にあるので、市内観光に組み込んで気軽に訪れることができる ©iStock
ハノイ中心部にあるので、市内観光に組み込んで気軽に訪れることができる ©iStock

●ホー(胡)王朝の城塞 Citadel of Ho Dynasty
ハノイの南、タインホア省の村にあるホー(胡)朝時代の石造りの城跡は、2011年に世界遺産に登録されました。ホー朝は1400~1407年のわずか7年という短命で消えた王朝です。しかし、そのわずかな期間で築いた立派な石の城は当時の東南アジアでは最大規模だったといわれ、数十トンもの石を積み上げての築城をわずか数ヵ月で終えた建築技術の高さもうかがえます。

高さ約7 mもの城壁は南北約900m、東西約700mとほぼ正方形で四方をぐるりと囲んでいましたが、現在は四方に重厚な石造りの城門が残るのみとなっています。
ハノイからは自動車で約3時間でアクセスできます。車をチャーターするか、ツアーで訪れるのがよいでしょう。

石造りの城門は現在も村人に利用されている ©iStock
石造りの城門は現在も村人に利用されている ©iStock

自然遺産

自然遺産
ベトナムを代表する景勝地 ©iStock

●ハロン湾 Ha Long Bay
海面から突き出た大小2000もの岩山が造り出すハロン湾の絶景は、1994年に自然遺産に登録されました。ハロン湾一帯は中国南部から続く広大なカルスト地形の一部で、この独特な景観は、石灰岩台地が氷河期に沈降し、海上に残った部分が長い歳月をかけて風雨などに浸食され形成されたもの。龍が噴出した宝玉が岩山となり、外敵の侵入を防いだというロマンティックな伝説もあります。
闘鶏や犬の形に見えるユニークな奇岩をぬって進み、鍾乳洞を見学するハノイからの日帰りのクルーズツアーが人気です。ここ数年は、豪華なクルーズ船に乗り宿泊するツアーも注目されています。

●フォンニャ・ケバン国立公園 Phong Nha- Ke Bang National Park
ラオスとの国境近くの豊かな原生林に覆われた約8万6000ヘクタールの国立公園は、2003年に自然遺産に登録されました。ベトナム固有の植物約400種類と、この地域固有の動物38種類が確認されています。
大小約300の鍾乳洞があり、フエからの観光ツアーで訪れる場所として人気を集めているのが、約2億5000年前に形成されたフォンニャ洞窟とティエンソン洞窟、見事な石筍が美しいティエンドゥーン洞窟です。特にティエンドゥーン洞窟は「天国の洞窟」という別名をもつほどの幻想的な美しさで知られています。
また、2009年に調査が行われたソンドン洞窟は、世界最大の洞窟として注目されていますが、まだまだ観光で訪れるにはハードルの高い場所です。

自然が織りなすアートに目を見張るティエンドゥーン洞窟 ©iStock
自然が織りなすアートに目を見張るティエンドゥーン洞窟 ©iStock

複合遺産

複合遺産
水田が広がる湿地帯にカルストの山々が連なるタムコック ©iStock

●チャンアン複合景観 Trang An Scenic Landscape Complex
石灰岩の奇岩奇峰が連なるチャンアンやタムコックは、“陸のハロン湾”と称される風光明媚な場所。これらの景勝地のほか、ベトナム初の独立王朝の首都がおかれた古都ホアルーや、ビックドン寺などの洞窟寺院を含むベトナム北部・ニンビンの一部が、2014年に世界複合遺産に登録されました。
ニンビンへはハノイから自動車で約2時間なので、ハノイから日帰り観光も可能です。山水画に描かれたような美しい景観が広がるチャンアンやタムコックを、手こぎボートでゆっくり回るツアーが大人気です。たくさんの鍾乳洞を手こぎボートでくぐり抜けるチャンアン観光は特に人気があり、週末はベトナム人観光客が多く訪れるため、平日がおすすめです。

おすすめのコース

おすすめのコース
南北に長いベトナムは地域ごとに異なる魅力がいっぱい ©iStock

縦に細長い国土をもつベトナム。世界遺産は北部・中部の比較的まとまったエリアに集中していて、10日間あればすべて制覇できます。ここでは一度の旅で効率的に世界遺産を回るモデルコースをご紹介します。まとまった日数が取れなければ、北部と中部に分けて旅するのもおすすめです。

・1日目
日本からの直行便でハノイに入ります。
・2日目
ハノイで「ハノイ・タンロン王城遺跡中心区域」を見学します。
・3日目
 ハノイからの日帰りツアーで「胡朝の城塞」と「チャンアン複合景観」を見学します。
・4日目
 ハノイからの日帰りツアーで「ハロン湾」を見学します。
・5日目
 ハノイから飛行機でフエに移動します(所要約1時間)。その日に車をチャーターして「フエの建造物群」を見学します。
・6日目
 フエからの日帰りツアーで「フォンニャ・ケバン国立公園」を見学します。
・7日目
 フエからチャーター車かツアーバスを利用してホイアンに移動します(所要約3時間)。ホイアン旧市街のホテルに宿泊して、世界遺産の「古都ホイアン」の町並みを楽しんでください。
・8日目
 ホイアンからの日帰りツアーで「ミーソン聖域」を見学します。
・9日目
ホイアン旧市街からダナン空港にタクシーで移動します(所要約1時間)。直行便で日本に帰国。

ベトナム国内の移動はベトナム航空が便利 ©iStock
ベトナム国内の移動はベトナム航空が便利 ©iStock

まとめ

まとめ
天秤棒を肩にかついで荷物を運ぶ農夫の姿はベトナムらしい ©iStock

大自然の神秘に触れられる自然遺産、いにしえの記憶を刻む文化遺産、自然と文化ふたつの要素を内包する複合遺産と、多様な世界遺産を訪れることができるのもベトナム旅行の醍醐味といえるでしょう。ぜひ豊かな自然と歴史が育むベトナムの一面に触れてみてください。

TEXT: アジアランド 小坂歩
PHOTO: アジアランド、iStock


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※本記事の観光関連情報は2020年4月29日現在のものです。

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2020年7月4日現在、ベトナムへの日本からの観光目的の渡航はできません。渡航についての最新情報、情報の詳細は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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