オーストリアの世界遺産、グラーツのエッゲンベルク城を歩く【プレゼント有】

公開日 : 2021年09月15日
最終更新 :
グラーツのシンボルである時計塔
グラーツのシンボルである時計塔

グラーツはウィーンに次ぐオーストリア第2の都市で、シュタイヤマルク州の州都です。14世紀にハプスブルク家の支配に入り、音楽や大学創立など、文化の華が開きました。シュロスベルク(城山)の上に建つ巨大な時計塔はグラーツのシンボルであり、レンガ色の屋根が続く旧市街を眺めるのに絶好のビューポイントです。歴史的建造物が残る旧市街とエッゲンベルク城は、ユネスコ世界文化遺産に登録されています。エッゲンベルク城からは、豊臣時代の大坂を描いた屏風絵が近年発見されて、大きな話題を呼びました。今回は、不思議な秘密に満ちているエッゲンベルク城を中心に、グラーツを紹介します。
画像:© Graz Tourismus/ Harry Schiffer

世界遺産の城、エッゲンベルク城とは

世界遺産の城、エッゲンベルク城とは
© Graz Tourismus/ Harry Schiffer

グラーツの町の西部に建つエッゲンベルク城は、皇帝フェルディナント2世の第1の重臣だったハンス・ウルリヒ・エッゲンベルク公が建てた城です。孔雀が放たれている緑豊かな庭園を進んで行くと、白壁に茶色の屋根と塔が美しい四角形の城が現れます。

© Graz Tourismus/ Harry Schiffer
© Graz Tourismus/ Harry Schiffer

【エッゲンベルク城の特徴】
1625年から1635年にかけて建てられた城は、エッゲンベルク公の「宇宙」です。城の四隅にある塔は、なんと東西南北の方位に一致しており、それぞれが四季と4つのエレメント(火、水、風、大地)を象徴しています。12の門は12ヵ月を、365もある窓は、1年の日数を表します。そして城内には、「惑星の間」という大広間があります。この城全体に、エッゲンベルク公の宇宙が広がっているのです。

© Universalmuseum Joanneum/ Peter Gradischnigg
© Universalmuseum Joanneum/ Peter Gradischnigg

【豪華な部屋のツアーで特に見逃せないのはここ!】
エッゲンベルク城内には、2階(現地表示は1.Stock)に絵画を展示するアルテ・ギャラリー(Alte Galerie)、考古学博物館(Archäologiemuseum)、貨幣収集室(Münzkabinett)の、3つの博物館も入っていますが、一番のみどころはなんといっても3階(2.Stock)に広がる豪華な部屋(Prunkräume)です。豪華な部屋は、定時に出発するガイドツアーでのみ見学できます。

●惑星の間Planetensaal
全部で24ある豪華な部屋の中心をなすのがこの大広間です。エッゲンベルク公の孫の時代の1685年に完成。天井には7つの惑星(中央は太陽神アポロン)、壁面には12星座をそれぞれモチーフとした絵画がぐるりと描かれています。

© Universalmuseum Joanneum/ Nicolas Lackner
© Universalmuseum Joanneum/ Nicolas Lackner

●日本の間(Japanisches Kabinett)
エッゲンベルク城のハイライトは、『豊臣期大坂図屏風』に会える日本の間です。この屏風絵は、慶長12年(1607年)から慶長19年(1614年)の間に描かれたものと推定されています。この時代の大坂を描いた絵は、現在ほとんど残っていないため、歴史的価値が大変高いのです。屏風絵には大坂城だけでなく、城下の町のようすも生き生きと多彩に描かれています。

© Universalmuseum Joanneum/ Angelo Kaunat
© Universalmuseum Joanneum/ Angelo Kaunat

おそらく1660~1680年の間にオランダ人から購入されたこの屏風は、もとは高さ182㎝、幅480㎝の八曲屏風でしたが、豪華な部屋が1754年に改修されたときに解体され、日本の間の壁面装飾として個別にはめ込まれています。
1774年にエッゲンベルク家が途絶えた後は、この絵の来歴について知る人もいなくなり、忘れ去られていましたが、2006年にその起源が再発見されて、大きな話題を呼びました。なお、屏風絵は部屋の奥の壁にあるため見えづらいので、ガイドツアーに参加する際は、双眼鏡持参がおすすめです。

 ©Universalmuseum Johanneum/ Jare
©Universalmuseum Johanneum/ Jare

【エッゲンベルク城 基本情報】
●住所
Eggenberger Allee 90
8020 Graz

●URL
https://www.museum-joanneum.at/en/palace-and-gardens-schloss-eggenberg

●アクセス
グラーツ中央駅、または旧市街の中心ハウプト広場から1番の路面電車Eggenberg/UKH行きに乗り、Schloss Eggenberg下車。公園の塀に沿って徒歩約500m。

●城内部の公開時期 および 開館時間
2021年5月19日~10月31日
2022年4月1日~10月30日
豪華な部屋のガイドツアー:上記期間中の火~日曜、祭日10:00、11:00、12:00、14:00、15:00、16:00に出発。所要約50分。
*庭園と公園は通年入場可能。

●入場料 
豪華な部屋のガイドツアーは€16。城内のアルテ・ギャラリー、考古学博物館、貨幣収集室にも有効。城の庭園の入場料は€2

※グラーツと周辺のおもな博物館、美術館、城の19館は、ユニヴァーサルミュージアム・ヨアネウム(Universalmuseum Joanneum)という団体に所属しています。チケットは共通チケットになっているので、有効期間内ならエッゲンブルク城はもちろん、19館すべてに入場できます。24時間有効券€16、48時間有効券€23。所属の博物館など詳細は以下のサイトへ。
・URL: https://www.museum-joanneum.at/ihr-besuch/standorte-im-ueberblick

グラーツのグルメ情報

グラーツのグルメ情報
© オーストリア政府観光局/ Crane

エッゲンベルク城の見学後は、ひと休みしておいしいグラーツを楽しみましょう。グラーツがあるシュタイヤマルク州は、肥沃な土地に穏やかな地中海性気候もあいまって、オーストリアを代表する豊富な農作物地帯なのです。名産のカボチャを使った料理や、シルヒャーというロゼのワイン、グラーツの名を冠したブランドレタスの産地として有名です。晴れた日には、レストランのテラス席で食事とワインを楽しむ人々があふれます。

© Steiermark Tourismus/ Christian Jungwirth
© Steiermark Tourismus/ Christian Jungwirth

さらにシュタイヤマルク名産として有名なのが、黒い宝石とも呼ばれる「シュタイヤマルク州パンプキンシードオイル(Steirisches Kürbiskernöl)」です。カボチャの種を炒って絞ったオイルで、シュタイヤマルク産のものはフランスのシャンパンと同じように厳密なブランド保護がなされています。

© オーストリア政府観光局/ Wolfgang-Schardt
© オーストリア政府観光局/ Wolfgang-Schardt

このオイルを使った代表的な郷土料理は、「シュタイヤマルク風バックヘンドル」です。フライドチキンをたっぷりのサラダの上にのせ、パンプキンシードオイルを使ったドレッシングをかけた料理で、ボリュームたっぷり! 

© GenussRegion Österreich
© GenussRegion Österreich

また、寒くなると恋しくなるのがほっこりしたカボチャのスープで、パンプキンシードオイルを浮かべていただきます。意外なところでは、バニラアイスにとろりとかける使い方。香ばしさとコクが加わって、おいしさがアップします。

© Graz Tourismus/ Werner Krug
© Graz Tourismus/ Werner Krug

パンプキンシードオイルはおみやげにも人気です。オーストリアのほとんどのスーパーで手に入りますが、グラーツの観光案内所内ショップでは缶入りも販売しており、これならスーツケースに入れても割れる心配なく持ち帰れます。

現在、グラーツの魅力をまとめた動画を配信しています。エッゲンベルク城はもちろん、記事で紹介しきれなかった街の魅力やグルメを紹介しているのでぜひご覧ください。

グラーツへの行き方

グラーツへの行き方
赤いカラーリングが特徴的 / ©istock

オーストリア連邦鉄道(ÖBB)の特急レイルジェット利用でウィーン中央駅からグラーツ中央駅まで約2時間30分。この路線は途中、世界遺産に登録されている「セメリンク鉄道」の区間を走ります。ウィーンから乗車する際は、進行方向左側の席をキープすると、よりセメリンク峠越えの迫力ある眺めが楽しめます。

素敵なプレゼントをご用意しました!

素敵なプレゼントをご用意しました!

以下のグッズをセットで5名様にプレゼント!

・エッゲンベルク城マグカップ
・エッゲンベルク城マグネット2個(柄はランダム)
・エッゲンベルク城缶バッジ1個(柄はランダム)
・エッゲンベルク城絵葉書1枚(柄はランダム)
・オーストリア政府観光局トートバッグ1枚
・オーストリア政府観光局ポケットガイド1部
※グッズは事前告知なく変更になる可能性があります。

自由に海外旅行に行けない今ですが、このグッズを普段使いして少しでも日常の中でオーストリアを感じてください!ご応募お待ちしています。

・URL: https://pf.gakken.jp/user/op_enquete.gsp?sid=ARK&mid=005534Po&hid=r11945I5T_0
応募期間:2021年9月15日12:00~2021年10月15日23:59:59

執筆:鈴木眞弓(アルニカ)
協力:グラーツ市観光局、オーストリア政府観光局

※当記事は、2021年9月15日現在のものです

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2021年9月15日現在、観光目的の海外渡航は難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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