初心者は必読! 世界遺産・シェーンブルン宮殿の見どころ、アクセス情報

公開日 : 2019年11月26日
最終更新 :
© Schloß Schönbrunn Kultur- und Betriebsges.m.b.H., Foto: Alexander Eugen Koller 黄褐色の外壁が特徴的なシェーンブルン宮殿
© Schloß Schönbrunn Kultur- und Betriebsges.m.b.H., Foto: Alexander Eugen Koller 黄褐色の外壁が特徴的なシェーンブルン宮殿

オーストリア随一の観光名所といえば、首都・ウィーンにあるシェーンブルン宮殿(Schönbrunn Palace)でしょう。ハプスブルク皇帝一家が夏の離宮として使用していた壮大な宮殿で、1996年にはユネスコ世界文化遺産に登録されました。広大な敷地内の数えきれないほどの見どころを効率よく見学するためのポイントやアクセス方法について、ウィーン在住者が紹介します。

「シェーンブルン」という名の由来の泉

「シェーンブルン」という名の由来の泉
© Schloß Schönbrunn Kultur- und Betriebsges.m.b.H., Foto: Alexander Eugen Koller 宮殿の由来となった泉

シェーンブルン宮殿(Schönbrunn Palace)は、ウィーン郊外にあったハプスブルク家の狩猟の館が元になっています。17世紀初頭、皇帝マティアスが狩猟場に美しい湧き水が発見したことから、「麗しの泉(ドイツ語でシェーンブルン)」と名づけられました。

泉は、現在も宮殿庭園内の一角に残されており、外から見学することが可能です。ひっそりと湧き出る泉を眺めていると、当時にタイムスリップしそうな感覚になる不思議なスポットです。

ゴージャス極まる本殿内のミュージアム

ゴージャス極まる本殿内のミュージアム
© Schloß Schönbrunn Kultur- und Betriebsges.m.b.H., Foto: Alexander Eugen Koller 皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と皇后エリザベートの寝室

観光の一番のハイライトは、堂々たる佇まいのシェーンブルン宮殿本殿です。女帝マリア・テレジアにちなんで「テレジアンイエロー」と名づけられた黄褐色に輝く本殿は、2階部分が観光コースとなっており、ハプスブルク皇帝一家の往時の貴重な生活様式をうかがうことができます。

宮殿の外観は壮麗なバロック様式で、内装は華やかなロココ様式となっています。総部屋数は1,441室ありますが、一般に見学できるのはおもな40室となっています。部屋数によって異なるふたつの見学ツアーがありますので、時間と自分の体力に合わせて選びましょう。

本殿見学コース1: インペリアルツアー

本殿見学コース1: インペリアルツアー
© Österreich Werbung, Gerhard Trumler 舞踏会や晩餐会の催された大広間

インペリアルツアーは、行程が短かめながらも大変見応えがある見学内容と評判です。ハプスブルク家代々の皇帝が各国の大使を出迎えた「謁見の間」や饗宴に用いられた「大広間」、神童モーツァルトが若干6歳で演奏した「鏡の間」、さらに(実質上)最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と皇后エリザベートが暮らしたプライベートな空間などを見学することができます。

所要時間(30~40分)も短いので、敷地内のほかのスポットの見学にも時間を割きたい人におすすめです。

■インペリアルツアー
・見学室数: 22部屋
・所要時間: 30~40分
・参加料金: 16ユーロ

本殿見学コース2: グランドツアー

本殿見学コース2: グランドツアー
© Schloß Schönbrunn Kultur- und Betriebsges.m.b.H, Alexander Eugen Koller マリア・テレジアが夫との思い出を閉じ込めた漆の間

グランドツアーでは、インペリアルツアーの22室加え、北京から取り寄せられた漆の壁面が見事な「漆の間」や青と白で統一された「磁器の間」など18世紀の女帝マリア・テレジアの時代に設えられた格調高い部屋の数々を見学することができます。さまざまな時代の生活様式を堪能したい人におすすめのツアーです。

■グランドツアー
・見学室数: 40部屋
・所要時間: 50~60分
・参加料金: 20ユーロ
・開館時間(季節により異なる): 4月1日~6月30日8:00~17:30、7月1日~8月31日8:00~18:30、9月1日~10月31日8:00~17:30、11月1日~3月31日8:00~17:00

窓口でのチケット販売は、朝8:00から閉館時刻の45分前までです。インペリアルツアー、グランドツアーどちらも日本語のオーディオガイドが含まれています。

雅やかなバロック庭園群

雅やかなバロック庭園群
廃墟をテーマに設計された「ローマの廃墟」

シェーンブルン宮殿というと本殿のみに注目が集まりがちですが、敷地内の南方に広がる総面積約1.7k㎡の壮大なバロック庭園群も実に見事で、必見です。

春から夏にかけては、色とりどりの花々が幾何学模様のなかで行儀よく咲き誇ります。また、「ネプチューンの泉」「ローマの廃墟」「オベリスクの泉」といった退廃的な巨大建造物や18世紀初頭のものを忠実に復元した迷路庭園などが散在しています。きっと、散策しながら隠れスポットを次々に発見する楽しさを味わえるでしょう。地元のウィーンっ子たちにとっても、年代を問わず人気の散歩・ランニングコースとなっています。

グロリエッテでは優雅にウィンナーコーヒーを

グロリエッテでは優雅にウィンナーコーヒーを
© Schloß Schönbrunn Kultur- und Betriebsges.m.b.H, Alexander Eugen Koller 「グロリエッテ」だけでしか味わえない特製ケーキも

本殿からバロック庭園をまっすぐに抜け、前方の小高い丘を上ったところにあるのが「グロリエッテ」こと、対プロイセン戦勝記念碑です。

1775年に建てられたグロリエッテは、屋上が展望テラス、屋内は静謐なカフェとなっています。ここからはシュテファン大聖堂からドナウ川、ウィーンの森に至るまで、上品に佇むウィーンの町を一望することができます。観光と散歩で心地よく疲れた後に、ウィーンの絶景を眺めながらメランジェ(代表的なウィンナーコーヒー)を味わえけば、旅もより感慨深いものとなるでしょう。

ちなみに、本殿からは歩くと20分ほどかかりますので、体力を温存したい方は周遊バス「パノラマバーン(有料)」での移動がおすすめです。

歴史体験ができるキンダームゼウム(子供博物館)

歴史体験ができるキンダームゼウム(子供博物館)
© Schloß Schönbrunn Kultur- und Betriebsges.m.b.H, Foto: Reza Sarkari 皇帝一家の生活を体験できるミュージアム

キンダームゼウムは、シェーンブルン宮殿本殿内に開設されている子供向けの体験型ミュージアムです。当時の華麗な衣装や食卓文化、身づくろいの様子、貴族たちの興じた遊びから扇を用いた独特の暗号言葉まで、皇帝一家の日常生活を楽しく体験しながら学べるプログラムとなっています。

説明はドイツ語となりますが、皇帝・皇后に扮しての記念撮影もできますので、子連れの方におすすめです。

■キンダームゼウム
・入場料: 大人9.5ユーロ、子供(3~18歳)7.5ユーロ

ヨーロッパ最大の大温室・パルメンハウス

ヨーロッパ最大の大温室・パルメンハウス
当時のスタイルを残す温室としてはヨーロッパ最後にして最大の規模

シェーンブルン庭園の片隅に佇むのは、アールデコを彷彿とさせるような趣のパルメンハウス(大温室)です。

深緑色の鉄筋と45,000枚ものガラス板からなる大小3つのパビリオンは、それぞれ冷帯、温帯、熱帯・亜熱帯と温度毎に分けられており、世界中から収集された珍しい植物を鑑賞することができます。また、向かいにあるヴュステンハウス(砂漠館)では、砂漠の植物が展示されています。

現存する世界最古の動物園

現存する世界最古の動物園<br />
珍しいアルプスの動物たちがたくさん

広大なシェーンブルン宮殿の敷地内で、かなりの面積を占めるのがシェーンブルン動物園です。これはマリア・テレジアの夫で、自然科学に傾倒していた神聖ローマ皇帝フランツ1世が1752年に創立したものです。現存する最古の動物園となっています。

ジャイアントパンダやコアラといった人気の動物たちに加え、アルプス地方ならではの珍しい動物が多いのが特徴です。丘の上にあるティローラーホフ(チロルの農家屋敷)では、動物と触れ合ったり、実際の農家の様子を体験することもできます。

動物の福祉が充実しているオーストリアらしく、日本の動物園と比べて1頭ごとのスペースがゆったりとしていて、プライバシーが守られるようにされている点も見逃せません。

■シェーンブルン動物園
・開園時間: 1月 9:00~16:30、2月9:00~17:00、3月 9:00~17:30、4~9月 9:00~18:30、10月(サマータイム終了日まで) 9:00~17:30、11~12月 9:00–16:30
・入園料: 大人20ユーロ、子供(6~19歳)10ユーロ

シェーンブルン宮殿へのアクセス方法

シェーンブルン宮殿へのアクセス方法
ライトアップされたシェーンブルン宮殿 ©iStock

シェーンブルン宮殿へ行くには、地下鉄やトラム、バスを利用しましょう。シェーンブルン宮殿の最寄り駅は、地下鉄4番線のシェーンブルン駅(動物園とパルメンハウスは次のヒーツィング駅が最寄り)、トラム10・60番のシェーンブルン駅、バス10A番のシェーンブルン駅です。

いかがでしたか。シェーンブルン宮殿の敷地内には、このほかにも毎夜クラシック音楽が開催されるコンサート会場、皇族の婚礼や葬儀等に用いられた豪華な馬車を展示する馬車博物館などがあり、見どころには事欠きません。1日たっぷりと時間を取って訪れましょう。

筆者

オーストリア特派員

ライジンガー真樹

オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!

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