パリで一番高い丘・モンマルトルの歩き方

公開日 : 2020年02月01日
最終更新 :

モンマルトルにはノスタルジックなパリが詰まっています。丘の上に白亜のサクレ・クール聖堂をいただき、入り組んだ路地裏にはカフェやパティスリー、雑貨店などが点在。散策にぴったりの界隈です。そんなパリのおもちゃ箱、モンマルトルに出かけてみましょう。

モンマルトルとは

モンマルトルとは
モンマルトルの丘 ©iStock

パリで一番高い丘であるモンマルトルは、元々パリ郊外の村でした。ブドウ畑と風車が立つ農村だったモンマルトルは、1860年にコミューン(自治体の最小単位)の一部がパリに編入され市街化が進んでいきました。

モンマルトルはゴッホ、ロートレック、ユトリロなどの芸術家が集った場所としても有名です。家賃が高いパリ中心部ではなく、経済的で風情も残るモンマルトルは芸術家たちをひきつけたのです。そのためモンマルトルでは、今も彼らの足跡が点在しています。

モンマルトルのブドウ畑(手前) ©iStock
モンマルトルのブドウ畑(手前) ©iStock

ユトリロやピカソが通ったのがシャンソニエのオ・ラパン・アジルです。ユトリロの作品にも描かれているレストランのラ・メゾン・ローズもすぐ近く。マティスやドガ、モディリアニ、アポリネールらが暮らしていた共同アトリエ・洗濯船(ル・バトー・ラヴォワール)も、ここモンマルトルにありました。洗濯船はピカソが『アヴィニョンの娘たち』を制作した場所でもありますが、今は跡だけが残ります。ルノワールの絵画『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』の風車は現存し、現在はレストランになっています。

ブドウ畑の前に面して立つオ・ラパン・アジル © Paris Tourist Office - Photographe : Amélie Dupont
ブドウ畑の前に面して立つオ・ラパン・アジル © Paris Tourist Office - Photographe : Amélie Dupont
ムーラン・ド・ラ・ギャレット ©iStock
ムーラン・ド・ラ・ギャレット ©iStock

■ムーラン・ド・ラ・ギャレット Moulin de la Galette
・URL: http://www.lemoulindelagalette.fr/

近年モンマルトルの名前を有名にしたのは、フランスの女優オドレイ・トトゥが主演した映画『アメリ』でしょう。映画の公開は2001年でしたが、カフェ・デ・ドゥー・ムーランや八百屋のオ・マルシェ・ド・ラ・ビュット、映画館のシネマ・ステュディオ・ヴァンテュイットといったモンマルトルに散らばるロケ地には、今でも多くのファンが訪れます。

カフェ・デ・ドゥー・ムーランのクレーム・ブリュレ ©iStock
カフェ・デ・ドゥー・ムーランのクレーム・ブリュレ ©iStock

パリ中心部からモンマルトルへ向かうには、地下鉄12号線で北上するのが便利です。丘の南側麓であればピガール、丘の南側中腹であればアベス、丘の北側であればラマルク・コーランクールの各駅が最寄り。行きたいスポットに合わせて降車駅を選びましょう。

夜のラマルク・コーランクール駅 ©iStock
夜のラマルク・コーランクール駅 ©iStock
パリで一番高い丘「モンマルトルの丘」の歩き方
緑と青空に映えるサクレ・クール聖堂 ©iStock

高低差のあるモンマルトル観光で重宝するのがフニクレール(ケーブルカー)です。丘の頂上にあるサクレ・クール聖堂前と丘の麓を結んでいます。フニクレールは地下鉄と同じ扱いで1回券「Ticket t +」やナヴィゴを使って乗車できます。

往復ともフニクレールに乗ってもいいですが、せっかくなら往復路のどちらかで徒歩を入れるのがおすすめです。モンマルトルの路地裏の面白さと重層的な景色の美しさをさらに知ることができます。

フニクレール ©iStock
フニクレール ©iStock

プチトランもモンマルトル観光に便利です。プチトランとは列車のように客車が連なったミニバスのようなもの。丘の麓にあるキャバレー、ムーラン・ルージュが建つブランシュ広場、または丘の上にあるテルトル広場から乗車できます。

プチトランは、ムーラン・ルージュやサクレ・クール聖堂、サン・ピーエル・ド・モンマルトル教会、オ・ラパン・アジル、サン・ヴァンサン墓地といったモンマルトルの主要スポットを40分で巡ります。切符はオンラインでの事前購入、または現地で運転手から直接購入できます。

ブランシュ広場に停車中のプチトラン © Paris Tourist Office - Photographe : Daniel Thierry
ブランシュ広場に停車中のプチトラン © Paris Tourist Office - Photographe : Daniel Thierry

モンマルトルはフォトジェニックな場所が豊富です。まずおすすめなのが、サクレ・クール聖堂前。ここからはパリを一望できます。空の下にパリの建築物が密集する光景は圧巻です。

サクレ・クール聖堂前から眺めたパリ市内 ©iStock
サクレ・クール聖堂前から眺めたパリ市内 ©iStock

ふたつ目が、その逆側。サクレ・クール聖堂が建つ丘の麓からサクレ・クール聖堂を見上げる角度です。緑の芝生の先に白亜のサクレ・クール聖堂がそびえ、青空の下に映えます。

サクレ・クール聖堂 ©iStock
サクレ・クール聖堂 ©iStock

3つ目はサクレ・クール聖堂の西側地区。ラ・メゾン・ローズやブドウ畑、オ・ラパン・アジルがある界隈は、かわいらしい色使いの宝庫です。

ピンクが印象的なラ・メゾン・ローズ ©iStock
ピンクが印象的なラ・メゾン・ローズ ©iStock

■ラ・メゾン・ローズ La Maison Rose
・URL: https://lamaisonrose-montmartre.com/

おすすめの観光スポット

おすすめの観光スポット
特徴的な3つのドーム ©iStock

サクレ・クール聖堂

モンマルトルの丘に建つビザンチン様式の聖堂です。白亜の3つのドームが印象的で、モンマルトルのシンボルになっています。聖堂が建設されたきっかけは、フランスが負けアルザス・ロレーヌ地方を割譲した普仏戦争(1870〜1871年)でした。敗戦に意気消沈した市民を励ますため、カトリック教徒が寄付を集めて聖堂は建てられました。建築家ポール・アバディが設計を担当し1875年に工事を開始、1919年に聖堂として開放されました。

聖堂前面には、騎馬姿の聖王ルイ(ルイ9世)とジャンヌ・ダルクが鎮座します。聖堂内部の天井に描かれた大きなモザイク画も必見です。聖堂の特徴的なドームにも上ることができます。

サクレ・クール聖堂内のモザイク画 ©iStock
サクレ・クール聖堂内のモザイク画 ©iStock

テルトル広場

モンマルトルがパリ市に編入されるまで村役場があった広場です。サン・ピーエル・ド・モンマルトル教会の目の前にあり、カフェやレストランに囲まれて、いつもにぎわっています。かつての役場は広場の3番地にありました。

テルトル広場とサクレ・クール聖堂 ©iStock
テルトル広場とサクレ・クール聖堂 ©iStock

広場はルノワールやロートレック、ユトリロ、ゴッホ、モディリアニ、ピカソといったモンマルトルに住んだ画家たちの絵の題材にもなってきました。今日でも観光客相手の絵描きが集まり、日中はとても活気があります。

壁抜け男
マルセイ・エイメ広場に設置された彫刻です。フランスの作家マルセイ・エイメが、かつて暮らしていた家の前にあります。1943年に書かれた短編小説『壁抜け男』をモチーフに、壁から抜け出るような彫刻が飾られています。

壁抜け男の像 ©iStock
壁抜け男の像 ©iStock

ムーラン・ルージュでショーを楽しむ

ムーラン・ルージュでショーを楽しむ
ムーラン・ルージュの赤い風車 © Paris Tourist Office - Photographe : Marc Bertrand

モンマルトルの丘の麓にあり、赤い風車が目印のキャバレーがムーラン・ルージュです。地下鉄のブランシュ(Blanche)が最寄り駅。ショーの内容は毎回テーマによって変わりますが、フィナーレに披露される足を高く蹴り上げて踊る「フレンチ・カンカン」は特に有名です。

料金は「ショーのみ」「ドリンク付き」「食事付き」の3種類。食事付きの場合、まず客席のテーブルで食事を楽しんだ後に、ショーが始まります。食事は内容によって3種類の値段設定があります。

公演は基本、夜となります。21時と23時の2公演です。公演数は多くありませんが、昼公演が行われる日もあります。注意したいのが帰りの交通手段。特に23時の公演が終わった後は深夜となります。ムーラン・ルージュがある地域は、治安があまり良くありません。もし不安があるようなら、バスなどの移動手段が込みになった観劇ツアーを旅行会社で申し込むか、事前にタクシーなどを手配することをおすすめします。ショーの予約は、公式サイトからオンラインで申し込めます。

夜のブランシュ駅 © Paris Tourist Office - Photographe : Marc Bertrand
夜のブランシュ駅 © Paris Tourist Office - Photographe : Marc Bertrand

モンマルトルのおすすめグルメ

モンマルトルのおすすめグルメ
天気の良い日はテラス席で ©iStock

ジャンヌ・ベー Jeanne B
肉のローストをスペシャリテにするレストラン。オープンキッチンでモダンなインテリアで統一されています。

URL: http://www.jeanne-b-comestibles.com/

ジル・マルシャル Gilles Marchal
プラザ・アテネ、ル・ブリストルというふたつのパラスホテルでシェフパティシエを任され、その後はラ・メゾン・デュ・ショコラでクリエイティブ・ディレクターを務めたジル・マルシャル氏が営むパティスリーです。

URL: http://gillesmarchal.com/

モンマルトルの治安

モンマルトルの治安
夜のモンマルトル地区 ©iStock

モンマルトルは、丘の上と下で雰囲気がずいぶん変わります。丘の上は高級住宅地になっていて治安は良く、丘を下るほど歓楽街になり治安が悪くなります。

特に麓のクリシー大通りには、バーやアダルトグッズなどを扱う店舗が並び、雰囲気が良くありません。また、サクレ・クール聖堂へ上る階段付近にはミサンガ売りがたむろしており、ミサンガを旅行者の腕へ強引に巻きつけて売ろうとするため、注意が必要です。また、パリのほかの地区と同じように、スリには常に気をつけてください。

モンマルトルのおすすめホテル

モンマルトルのおすすめホテル
フランスのホテルは星の数でランク付されている ©iStock

■テラス Terrass
モンマルトル墓地の横に建ち、屋上のテラスからはエッフェル塔などパリ市内を見渡せます。館内はモダンな内装でまとめられています。

■オテル・パティキュリエ・モンマルトル Hôtel Particulier Montmartre
サクレ・クール聖堂の西側、高級住宅街の中にある隠れ家ホテル。ホテルの中庭はパリとは思えない静かな雰囲気が流れ、ゆっくりとした滞在を楽しめます。

・URL: https://www.hotelparticulier.com/

モンマルトルへ行こう!

モンマルトルへ行こう!
聖堂や広場へつながるノルヴァン通り ©iStock

モンマルトルは、散策が楽しい地区です。決められたスポットだけを足早に巡るより、少し時間に余裕を持ってふらりと路地裏に入ると、すてきな景色やお店を発見できます。芸術家に愛された界隈の雰囲気を感じ取ってみてください。

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筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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