【フランス】アルザスのおすすめ観光情報、ストラスブールからワイン街道の村まで魅力あふれるスポット紹介

公開日 : 2020年01月10日
最終更新 :
ストラスブールのプティット・フランス ©︎iStock
ストラスブールのプティット・フランス ©︎iStock

フランスとドイツの国境に横たわるアルザス地方。木組みと漆喰で建てられた家々、ドイツ色が強い郷土料理、すばらしいワイン産地を抱えたアルザスは、フランスとドイツのいいとこ取りをした地域です。一方でアルザスは、時代によって治める国が変わったため、同地域に住む人々は歴史に翻弄されました。フランスにありながらも独特の文化圏を形成してきた、魅力あふれる地域です。

アルザスとは

アルザスとは
仏ストラスブールと独ケールを分けるライン川 ©︎iStock

アルザスは、フランスの北東部にあり、ライン川に沿ってドイツと国境を接しています。昔からヨーロッパの交通の要所として商業が発展しました。中心都市はストラスブール。使用されている言語はフランス語、ドイツ語の方言であるアルザス語、そしてドイツ語です。かつてドイツ領になっていたこともあり、ドイツ語を流暢に操る人は高齢者に多いです。

アルザスは、かつてバイエルン王家の支配下にあったものの、ウェストファリア条約でフランス領に。その後は普仏戦争でドイツ領となり、第二次大戦後はドイツの敗戦によって現在のフランス領になっています。

リクヴィルの村とブドウ畑 ©︎iStock
リクヴィルの村とブドウ畑 ©︎iStock

アルザスで特筆すべきはワインです。アルザス西部をはしるヴォージュ山脈東側は、ブドウ栽培にとって最適な土壌が広がる丘陵地。リースリングやゲヴェルツトラミネール、シルヴァネールといったブドウ品種から造られる白ワインに加えて、スパークリングワインであるクレマン・ダルザスも評価は高いです。観光ガイドブック、『ロンリープラネット』2010年度版では「ぜひ訪れたい世界のワイン産地ベスト10」に選ばれています。

アルザスではビールも忘れずに ©︎iStock
アルザスではビールも忘れずに ©︎iStock

ドイツ文化の影響があり、ビール醸造も盛んです。フランス国内ならどこの小売店でも置いている国民的銘柄「クローナンブール」「1664」などを生産する大手ビールメーカー、クローナンブール社もアルザスにあります。

アルザスへの行き方

アルザスへの行き方
アルザス方面のTGVが発着するパリ東駅 ©︎iStock

パリからアルザスへの行き方は列車がもっとも便利。パリ東駅からTGVを使って約2時間でアルザスの中心都市ストラスブールや、木組みの美しい家々が残るコルマールまで到着します。日本など遠方の国から直接アルザスまで乗り入れる場合は、シャルル・ド・ゴール空港やオルリー空港から飛行機を使って、ストラスブール空港まで飛ぶこともできます。各約1時間のフライトです。

アルザスの3つの町

アルザスの3つの町
ストラスブール市街 ©︎iStock

見どころが豊富なアルザス地方ですが、まず押さえておきたい町はストラスブールとコルマール。それら定番2都市に加えて、ヨーロッパ鉄オタの聖地といえるミュルーズも人気です。

ストラスブールのノートルダム大聖堂 ©︎iStock
ストラスブールのノートルダム大聖堂 ©︎iStock

ストラスブールはアルザスの中心都市であり、国際都市の顔を併せ持っています。欧州議会や欧州人権委員会の本部が置かれ、ヨーロッパ国際政治の舞台となる場所です。観光では、見どころは旧市街に集まっています。赤色砂岩で造られたノートルダム大聖堂には圧倒されるでしょう。大聖堂内のからくり時計も必見です。ライン川の支流イル川沿いにある木組みの建物が立ち並ぶ地域のプティット・フランスは、多くの旅行者をストラスブールに惹きつけています。

コルマールのプティット・ヴニーズ ©︎iStock
コルマールのプティット・ヴニーズ ©︎iStock

ストラスブールから鉄道で30分ほど下った先の町コルマールには、中世からのルネッサンス様式の美しい町並みが残っています。コルマールの旧市街にあるウンターリンデン美術館では、グリューネヴァルト作『イーゼンハイム祭壇画』を鑑賞できます。美術館の建物自体は13世紀の修道院を改修したものです。

■ウンターリンデン美術館
・住所: Place Unterlinden 68000 Colmar
・URL: https://www.musee-unterlinden.com/

ミュールーズ市庁舎 ©︎iStock
ミュールーズ市庁舎 ©︎iStock

ドイツとスイスの国境に近いミュールーズは、鉄オタの聖地です。繊維産業の町として知られていましたが、1971年にフランス鉄道博物館が開館しました。現在、同博物館はシテ・デュ・トランと名付けられ、ヨーロッパ大陸最大の鉄道博物館になっています。館内には100を超える機関車や客車などを展示。フランスの鉄道の歴史を俯瞰できます。

■シテ・デュ・トラン
・住所: 2 rue Alfred de Glehn Mulhouse
・URL: https://www.citedutrain.com/

フランスの美しい村

フランスの美しい村
リクヴィルの集落とブドウ畑 ©︎iStock

●リクヴィル
周囲をブドウ畑に囲まれたワイン造りの村です。村役場からドルデの鐘楼を結ぶジェネラル・ド・ゴール通りを中心に、色とりどりのアルザス風伝統的家屋が立ち並び、その美しさから「ブドウ畑の真珠」と呼ばれています。村内にはワイナリーが点在し直売や蔵見学ができます。

リクヴィルの村内 ©︎iStock
リクヴィルの村内 ©︎iStock

●エギスアイム
ヨーロッパ花の町コンクールで金賞に輝いた村です。同コンクールはフランス全国から4900の市町村が参加して行われています。アルザスのワイン街道沿いの村は「花いっぱいの町」最高ランクの「4つ花」を受けているところが多いのですが、エギスアイムは特にその美しさが評価されています。ワインの村としても有名で、ワイナリーもあります。

エギスアイムの村内 ©︎iStock
エギスアイムの村内 ©︎iStock

●リボーヴィレ
ワインの村であり、コウノトリの里としても知られています。村のメインストリートであるグランクリュ通りを中心に昔ながらの建物が立ち並びます。家々の屋根などを見上げると、コウノトリの巣を見つけられるかもしれません。村から眺められるサン・ウルリッヒ城は、村からは徒歩45分ほどの距離です。

■サン・ウルリッヒ城
・住所: 68150 Ribeauville
・URL: https://www.visit.alsace/en/229002138-castle-saint-ulrich/

リボーヴィレの集落 ©︎iStock
リボーヴィレの集落 ©︎iStock

●カイゼルスベルグ
フランスのテレビ局フランス2が毎年放送する人気番組「フランス人が好きな村」で2017年の1位に輝きました。村内には、中世からルネッサンス時代の建物が並んでいます。メインストリートのジェネラル・ド・ゴール通りを中心に、ワインや工芸品などのショップが並びます。年末はクリスマス市が特に華やかで、クリスマス市目当ての観光客でにぎわいます。

カイゼルスベルグの家々 ©︎iStock
カイゼルスベルグの家々 ©︎iStock

●テュルクアイム
ルネッサンス時代の建物が並ぶワイン街道にある村です。木組みの家々が、美しい景観を形作っています。コルマールから鉄道TERで約10分とアクセスも良いです。アルザスのワイン街道にあり、村内にはワイナリーも点在しています。

テュルクアイムの集落とブドウ畑 ©︎iStock
テュルクアイムの集落とブドウ畑 ©︎iStock

アルザスのワイン

アルザスのワイン
「アルザスのワイン街道」と書かれた看板とブドウ畑、コウノトリ ©︎iStock

アルザスはフランスを代表するワイン生産地です。気候はドイツのワイン生産地と似ていますが、造られるワインはドイツのものより香りが高く、辛口が多いです。代表的なブドウ品種は白が中心ですが、赤も生産されます。アルザスのスパークリングワインであるクレマン・ダルザスは、フランスのスパークリングワインの中では別格扱いのシャンパンに次いで高い評価を受けています。

アルザスワイン用のグラスに注がれた白ワイン ©︎iStock
アルザスワイン用のグラスに注がれた白ワイン ©︎iStock

通常、フランスのワインは畑や村の名前が前面に出ます。しかしアルザスワインは、ブドウの品種が畑や村の名前の代わり前面に出されます。代表的な品種は、白がリースリングやゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、シルヴァネールなど。赤はピノ・ノワールです。

リースリングは辛口で引き締まった果実味の白、ゲヴェルツトラミネールは酸味が少なくライチやバラのような芳香豊かな白、遅摘みブドウで造られるゲヴェルツトラミネールの極甘口ワインもあります。ピノ・グリは豊かなボディで重めの食事にも合う白、ピノ・ブランはコクのある白、シルヴァネールはドライでスッキリした味わいです。ピノ・ノワールはアルザス唯一の赤ワイン品種で軽めです。

ゲヴェルツトラミネールのブドウ ©︎iStock
ゲヴェルツトラミネールのブドウ ©︎iStock

フランスは地域によってワインのボトルの形も異なります。アルザスは細身で背が高いフルート型です。

アルザスの美食

アルザスの美食
シュークルート ©︎iStock

アルザスの料理はドイツの食文化が色濃く出ています。代表的なアルザス料理といえばシュークルート。塩漬け発酵させたキャベツをベーコンや豚肉、アルザス風ソーセージなどと一緒に白ワインで煮込んだ料理です。リースリングなどのワインと合わせて楽しみたいです。マリネした肉とジャガイモを重ね焼きしたアルザス料理のベックオフも、アルザスらしい料理。アルザス風の薄焼きピザ、タルト・フランベはアルザスビールと合わせてもいいですね。

タルトフランベ ©︎iStock
タルトフランベ ©︎iStock

ブリオッシュ生地を専用の型で焼いたクグロフは、アルザスを代表する焼き菓子です。

アルザスを代表する焼き菓子のクグロフ ©︎iStock
アルザスを代表する焼き菓子のクグロフ ©︎iStock

店によって変わるものの、基本的にはどの料理もボリュームがあります。クリスマス時期にアルザスに滞在するなら、期間限定で各メーカーから発売されるビエール・ド・ノエル(クリスマスビール)も忘れずに試してみてください。

アルザスのモデルコース

アルザスのモデルコース
ストラスブール駅 ©︎iStock

アルザスへは、パリからストラスブールまでTGVで向かい、そこからアルザス地方の各目的地へ行く経路が便利です。TGVはコルマールまで通っているため、ストラスブールよりワイン街道の村々を重視したい場合は、直接コルマールまで向かい、コルマールを基点に村巡りをしても良いでしょう。アルザス地方の小さな村々を回る場合はレンタカーが便利です。車の運転が不安な場合はストラスブール発のツアーの利用をおすすめします。

リクヴィルの町並み ©︎iStock
リクヴィルの町並み ©︎iStock

■ストラスブールとコルマールのみを巡る場合
1日目:パリ→ストラスブール(ストラスブール泊)
2日目:ストラスブール(ストラスブール泊)
3日目:ストラスブール→コルマール(コルマール泊)
4日目:コルマール→パリ

■ワイン街道をレンタカーで巡る場合
1日目:パリ→ストラスブール(ストラスブール泊)
2日目:ストラスブール(ストラスブール泊)
3日目:ストラスブール→コルマール(コルマール泊)
4日目:ワイン街道の村巡り(コルマール泊)
5日目:コルマール→パリ

■ワイン街道をツアーで巡る場合
1日目:パリ→ストラスブール(ストラスブール泊)
2日目:ストラスブール(ストラスブール泊)
3日目:ワイン街道現地発着ツアー(ストラスブール泊)
4日目:ストラスブール→パリ

アルザスのおすすめツアー

アルザスのおすすめツアー
エギスアイムの石畳 ©︎iStock

アルザスを楽しむのに利用したいのが、現地発着ツアー。例えば、日系のミキ・ツーリストでは、以下のようなツアーを催行しているようです。

■【プライベートツアー】 専用車で行く アルザスの可愛い村めぐり1日観光 by みゅう
・コルマールと「フランスの最も美しい村」リクヴィルに加えて、ジャム「メゾン・フェルベール」の店があるニーデルモルシュヴィルが加わった充実ツアーです。
・URL: https://op.arukikata.com/tour/93549/

■【プライベートツアー】 専用車で行く アルザスの古城とアルザスワイン発祥の地エギスハイム by みゅう
・「花いっぱいの町」最高ランク「4つ花」のエギスアイムなどアルザスのワイン街道の魅力を存分に楽しめます。
・URL: https://op.arukikata.com/tour/93750/

ほかにも『地球の歩き方ホームページ』では、ツアー内容の詳細や予約が行えますのでチェックしてみてください。

アルザスへ行こう!

アルザスへ行こう!
屋根に巣を作るコウノトリ ©︎iStock

アルザスは美しい町並み、フランスとドイツが混ざった独自の文化、おいしいワインと食事。人々を魅了するフランス国内でも人気の高い地域です。豊かな地方色はフランスの魅力のひとつです。パリからTGVで2時間と手軽にアクセスでき、パリとガラリと雰囲気が変わるアルザス地方を訪れてみてください。

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筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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