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スペインで最もスペインらしい州、カスティーリャ・イ・レオンの旅 Vol.3 レオン

2018年09月07日

夕方は美しくライトアップされる、旧市街の中心マヨール広場

イベリア半島がイスラム教徒に統治されていた10世紀に、キリスト教徒が治めたレオン王国の都だったレオン。ゴシック建築の傑作とされる大聖堂を中心に中世の姿を残す町並みを、今も聖地サンティアゴへの巡礼者が往来しています。その一方で、近代のモデルニスモ建築家アントニ・ガウディの初期の傑作、ボティネス邸が見学できるようになり、スペイン文化の新旧の文化の対比を見せてくれる町でもあります。旧市街はバルやカフェが軒を連ね、夕方以降はおしゃべりを楽しむ人たちで通りはいっぱいになります。

城とライオンが描かれた国章の起源を探る

紀元前1世紀にローマ第6軍団が建設、後に第7軍団が基地を造成

スペイン北部の都市、レオンの旧市街にはローマ時代の城壁が残っています。紀元1世紀、ここにはアストゥリアスの山岳民族から属州ヒスパニアを守るために置かれたローマ軍団第7軍団約6000名が駐屯していました。ラテン語で駐屯地を「レギオン」といい、それがなまって「レオン」という現在の町の名前になったそうです。

現行の国章は1981年に制定されたもの

レオンはスペイン語でライオンのことでもあるため、発音から町の紋章がライオンと定められました。フットボールの試合をはじめ国際大会や会議などで目にするスペインの国章には「城とライオン」の図柄が描かれています。それはスペイン語で 「カスティーリャ・イ・レオン」Castilla y León(城とライオン)といいます。

カスティーリャ・イ・レオンの図柄は、国章の中央の楯に描かれています。両脇の2本の柱はローマ人が「ヘラクレスの柱」と呼んだ、地中海から大西洋への出口に聳えるジブラルタルとセウタのふたつの岬です。ちなみに帯に書かれている文字はプラス・ウルトラ(ここから世界へ)ですが、大航海時代以前はノン・プラス・ウルトラ(ここが地の果て)だったので、16世紀にスペイン人の世界観が180度変わったことが分かります。国章は、国勢を反映して頻繁に微修正が入ります。

人口は19世紀末に1.5万人だったが、現在は13万人を擁する

ローマの大浴場跡が大聖堂になった

カフェでくつろぐ人もいれば巡礼者も通る、旧市街の商店街
スペインの住所表示は美しいタイル製

旧市街には、その名も「サンティアゴ巡礼路」El Camino de Santiago という通りがあります。イベリア半島西部の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼路がこの町を通っているのです。今でも町では、巡礼者の姿を見ることができます。

10世紀には戦乱でレオンは荒れ果てて、一時期は無人の町と化したこともあったそうですが、聖地サンティアゴへ向かう巡礼者がここを通り、次第に町が復活してきたといいます。今では考えられませんが、この大都市にも多難な時代があったのですね。

広場の窓から、白い犬が珍しそうにこちらを見つめていた
レオン大聖堂の正式名は、サンタ・マリア・デ・レグラ大聖堂

町の中心部には、レオンのシンボルともいえるレオン大聖堂があたかも独立峰のごとく広場にそびえています。スペインにおけるゴシック建築の最高傑作のひとつとされ、13世紀に建設が始められました。他の大聖堂よりも広い空間に建っていますが、ローマ時代はここに大浴場がおかれ、その面積は現在の大聖堂よりも広かったとか。屈強なローマ兵がテルマエ・ロマエで湯船に浸かっていたのです。それにしても大浴場が大聖堂になるとは、スペイン人の発想は奇想天外です。

赤や黄など配色が鮮やかなスペインのステンドグラス
太陽の向きによって輝くステンドグラスが少しずつ移動していく

レオン大聖堂は、ステンドグラスが美しいことでも知られています。高さ29mの堂内には、色とりどりの鮮やかなステンドグラスが太陽の光を受けて輝いています。生涯に一度は見ておきたい神秘的な光景です。

レオン大聖堂は、パリ北西のシャルトル大聖堂とよく似ていて、どちらが美しいかを比べる人もいるようです。レオンのほうが少し後に建築されたので、外観もステンドグラスも、フランスの影響を強く受けていることは間違いありません。しかしステンドグラスの配色は、フランスに比べてスペインの方が赤や黄などの鮮やかな配色が多いのはお国柄を反映してのことでしょう。

訪れた巡礼は、虹色に浮かぶ堂内を見て、長旅の疲れが癒されました。目的地のサンティアゴまでの残り299kmを歩く力を得られたことと思われます。

カスティーリャ地方でも建築家ガウディの作品が見られる

ネオゴシック様式の館はガウディが40歳の年に完成した

レオンには、建築家ガウディの作品があります。レオン大聖堂から西へ400m離れて建つボティネス邸 Casa de los Botines です。ガウディの作品はカタルーニャ地方に多いのですが、パトロンのグエルの紹介で、ここカスティーリャ地方で繊維会社のオフィスを兼ねた私邸の設計を手がけました。ガウディは多忙な仕事の合間にレオンを訪れて建築を進め、1892年に完成しました。

1階が会社、2階が私邸、3~4階は賃貸物件になっていて、外観を見ると2階(スペインでは1階)の窓が大きくて富豪の住宅であることが分かります。

繊維会社の本社として設計された1階部分

その後、ボティネス邸は1929年に地元の銀行の所有となり、幾度か改装されています。そのためガウディの設計とは異なる部分が少なからずあります。銀行の本部とされたため内部を見ることができませんでしたが、2017年に建物全体が博物館として公開されました。一般の人が中に入れるのは建物が完成して初めてのことです。往年の姿への復旧作業を経て、今では自由に内部を見学できます。

1階の会社部分は、天井が高く広々としています。スマホでQRコードを読み取れば、完成後の1893年の1階の様子をバーチャルリアリティで眺めることが出来ます。雰囲気のある光景です。ぜひやってみてください。

バーチャルリアリティで内部を360度ぐるりと見られる
分厚い城壁に守られたレオンはかつてのレオン王国の都だった

4つの塔の内側も公開前に大修復されました。上の写真は、塔のひとつからレオンの町を見渡したところです。下方に城壁が見えることから、ボティネス邸はかつてのレオン城外に位置していることが分かります。竣工時の城壁外には今ほど多くの建物はなかったようですが、現在では城壁は町に埋もれてしまっています。

時代を反映してアールヌーボーの家具が多く見られる

2階の私邸部分は、ベッドルーム、リビングルーム、子供部屋、召使いの部屋などに分かれ、それぞれに19世紀末の家具が置かれて、当時の生活ぶりが見て分かるようになっています。いずれも本物のアンティーク家具が置かれていますが、それを見た見学客には「ベッドルームはうちと変わらないな」とつぶやいている人もいました。21世紀になっても19世紀の家具を使って日常生活を送っている人がいるのは、古いものを大切にするヨーロッパならではです。

各階の扉ののぞき窓は、ガウディらしい螺旋のデザイン

■ Casa Botines
・住所: Plaza de San Marcelo 5., León
・開館: 午前11:00~14:00、午後17:00~21:00、
・定休: 水曜午前、日曜午後
・料金: 5ユーロ
・URL: https://www.casabotines.es/

以上、アビラ、サラマンカ、そしてレオンと、3回にわたってカスティーリャ・イ・レオン州の取材レポートをお届けしました。世界の海を制したスペイン王国の起源に触れ、壮大な歴史ロマンに想いをはせる旅へ、あなたも出かけませんか。


取材協力:カスティーリャ・イ・レオン州観光局
     スペイン政府観光局

フォトグラファー:有賀正博

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