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【世界の主要観光局に聞いたアフターコロナの観光のありかた】第3回ハワイ州観光局 ハワイの人たちが大切にしていることを日本からの旅行者と一緒に守っていく

2021年09月07日

ミツエ・ヴァーレイ氏

国内外の旅行に関するニュースを徐々に目にする機会が増えてきました。この連載では、世界の主要観光局に自国のコロナの状況やその間の政治的な動き、旅行に関する施策を聞いていきます。第3回はハワイです。

ハワイは早期のロックダウンやワクチン接種率の高さ、観光客への事前検査プログラム(Safe Travels Program)の設置など、コロナ禍での着実で素早い対策で、すでにアメリカからの旅行客でにぎわっています。歩みを止めないその具体的な施策から環境保全や文化継承、ハワイ版SDGs達成に向けた取り組みまで、ハワイの“今”を伝えます。

話し手:ハワイ州観光局 日本支局長 ミツエ・ヴァーレイ氏
聞き手:地球の歩き方総合研究所

※インタビューは2021年7月15日に実施されました。そのため、現在の現地状況と異なる部分があること予めご了承ください。また、文中、文末に一部、●月●日時点でと入れる状況補足をしています。

ハワイのコロナ感染の現状

南マウイのビーチに打ち寄せる波
© Hawaii Tourism Authority (HTA) / Tor Johnson

Q1.最初に、ハワイでの新型コロナウイルスの影響についてお聞かせください。

ハワイは緊急事態宣言を発出するのが早く、ロックダウンも2回実施されました。しかし、政府の各種補助金も早めに拠出されたこともあり、治安が悪くなる、というような問題は出ませんでした。
観光を再開するにあたっては、事前検査プログラム(PCR検査陰性証明の提示)による入島・離島間の移動制限など大変厳しい規制をかけ、ようやく昨年の10月15日にアメリカ本土との観光が再開されました。また、日本との調整にはハワイ大学の医師や法務関係者が長い時間をかけて尽力され、11月6日より国際マーケットとしては初めて日本からの渡航者へ事前検査プログラムが適用されるようになりました。
現時点(2021年7月中旬)では、アメリカ本土からの旅行者は2019年同月比の約60%近く戻ってきています。島によっては100%を超えてしまっているところもあります。
ただ、日本からのお客様は現状月1300~1500人前後と2019年比でマイナス99%。日本人旅行者を主要顧客としている観光事業者、旅行会社には補助金が出ていますが、まだまだ厳しい状況です。

新鮮なハワイの野菜や果実
© Hawaii Tourism Authority

Q2.ロックダウン中のレストランやお店はいかがですか?

レストランは多くのお店が営業できなかったため、本来提供される予定だった野菜などを生産者から買い上げて、経済的に厳しい家庭に供給するといった支援活動が積極的に行われていました。
またこのコロナ禍をきっかけにオーナーの方が高齢などでリタイアを決め、閉店してしまったお店もあります。

ワイキキにかかるダブルレインボー
© Hawaii Tourism Authority/ Tor Johnson

Q3.観光地への影響や現状はいかがですか?

現在はアメリカ本土からのお客様でとても賑わっています。それも初めてハワイに来られる方々もとても多いのです。
急に回復したためレンタカーが足りなくなっていて、価格が高騰。地域によっては州政府の負担でシャトルバスを空港からリゾート地に運行させたりもしています。
また交通手段としてのThe Busの乗車は現金に加え「Holo Card」という電子マネーカードが利用できるようになりました。

Q4.ワクチン接種の状況はいかがですか?

現在の接種率は60.8%(8月中旬時点)です。9月末までには70%を目指すと州政府は言っており、集団免疫が獲得できるといわれている70%まで、あと一歩のところまできています。

Q5. マスク着用に関して、ルールなどは設けられていますか?

現在は、屋内ではマスク着用は義務となっています。
レストランは最大収容人数の50%までの利用、ソーシャルディスタンスの確保などルールは厳密に決められています。

コロナ禍での試みとアフターコロナの旅行

サーフィンを楽しむ人が増える
© Hawaii Tourism Authority (HTA)

Q6. コロナ後も続きそうなライフスタイルの変化はどういったものでしょうか?

ロックダウン期間中もサーフィン、ゴルフ、ジョギングとハイキングはストレス解消のためにも認められていました。家族と一緒に過ごす時間も増え、散歩、サーフィンやゴルフなど屋外で健康的に楽しむ人がとても増えました。またハナウマ湾の海水透明度が60%も改善し、サンゴの状態に回復が見られ、ワイキキにハワイモンクアザラシが現れ、赤ちゃんまで生まれるといった、自然環境にも大きな変化が起こり、住民は改めてハワイの自然環境を大切にすることを意識するようになりました。

イオラニ宮殿で踊る子供たち
© Hawaii Tourism Authority (HTA) / Tor Johnson

また、ハワイでは政府も住民もハワイ文化を取り戻そうとする「ハワイアンルネッサンス」(ハワイ文化復興)運動と次世代教育に力を入れてきました。
例えばハワイ語は以前2500人くらいしか話せなかったのですが、今や3万人を超えるくらいにまで増えました。次世代を担う若い人たちがNPOを作り、観光教育や農業の担い手を育成していくことに注力し、ハワイの自然や文化を守っていこうという動きが大変強くなっています。

マウイ島カメハメハ・イキ公園での屋外航海術レッスンの様子
© Hawaii Tourism Authority (HTA) / Heather Goodman

Q7.日本との交流再開に向けてのプランはいかがでしょうか?

日本入国時の水際対策が緩和されたらすぐに動ける準備をしています。
例えば、日本のワクチン接種証明書があれば(PCR検査陰性証明書の提示ではなく)入島後の隔離が免除になるようにしていく、といったこともその一つです。
今の目標としては、今年のホノルルマラソン(12月12日)や年末年始に毎年ハワイを訪れているリピーターやタイムシェアを持っている方など、ハワイ大好きな方々に安心してお越しいただけるよう業界一丸となってお迎えの準備をしています。
ハワイは安全で衛生面も整っているので、来年のゴールデンウイークや夏休みには安心して訪れていただきたいですね。

自然資源の保護活動
© Hawaii Tourism Authority (HTA) / Heather Goodman

Q8.今後の観光戦略・ロードマップはどうお考えですか?

ハワイの観光は今、とても大きく舵を切っているところです。以前から「レスポンシブル・ツーリズム」(*)を掲げながら少しずつ変えてきていました。
来島者が1000万人を超えた(2019年)の時点でハワイ州観光局から観光戦略の4本柱が提示されました。
1.自然資源の保護、2.文化の保持 3.コミュニティとの連動 4.ブランディングメッセージを変えていく=ハワイのコミュニティと連動・貢献していただけるハワイの価値に共感していただける方々(High Valued Customer)をいかに誘致していくか、という内容です。
この間に、コロナ後の観光をどうしていくかを話し合い「アイランド・デスティネーション・マネジメント・プラン」を作る組織が島ごとにできました。そこでは現状の問題点の共有、SWOT分析に取り組み、規制とともにハワイらしいツーリズムマネジメントをどうしていくかが徹底的に話し合われています。ハワイは地元コミュニティの声を吸い上げていくことを最優先事項にしていますから、丁々発止の意見交換の中で一つひとつのアクションプランを作っています。

*レスポンシブル・ツーリズム:責任ある観光。環境問題や文化への影響を観光地だけでなく、観光客や観光に関わるすべての人が考え、自身の行動に責任をもって旅をしようという新しい観光の考え方

ハナウマ湾への入場は事前学習・予約が必要に
© Hawaii Tourism Authority (HTA)

ハナウマ湾が一つのモデルケースになると思いますが、現在は1日1000人、事前にオンラインで教育プログラムのビデオを視聴したうえで予約した人しか入れません。入場料は25ドルです。このように入場制限をしたり、事前教育プログラムの受講を必須化するなどの管理が重要になってきており、今後は「ツーリズムマーケティング」や「ブランディング」よりも「ツーリズムマネジメント」が必要になっていきます。
具体的には、このツーリズムマネジメントという観点から、観光局としてのKPI(重要な指標)の見直しをしています。
旅行者数ではなく、消費額や滞在日数を軸に考えるなど、さまざまな討議がされているところです。大切なのは、自然、文化、人々の生活や職人たちを守っていくことにより、観光資源を持続していく方法を見出していきたい。観光業に支えられながらも科学や医療への投資、産業の多様化ということを常に考えています。

ハワイの自然を守っていく
© Hawaii Tourism Authority (HTA) / Tor Johnson
マーケットに並んでいるハワイ産のフルーツ
© Hawaii Tourism Authority (HTA) / Dana Edmunds

Q9.今後PRしたい新しいテーマはどういったことでしょうか?

「マラマハワイ(ハワイを思いやる心)」=ハワイに住む人たちが“こういうこと守っています、大切にしています”というメッセージを旅行者に伝え、そのために地域住民が取り組んでいることを知っていただきたいと考えています。
まずはハワイの安全・衛生対策のガイドラインをお伝えし、地元コミュニティと繋がる「地球にやさしい旅」を通してハワイの自然や文化に触れ、より多様な旅行体験をご提案していきたいと思います。

ハーラウ・フラ・オ・カヒキラウラニ
© Hawaii Tourism Authority (HTA) / Tor Johnson

日本は、「地域社会と連動する」「メイド・イン・ハワイの物を買う」「文化を楽しむ」など、ハワイの人たちと気持ちが一番通じ合うマーケットなので、ハワイ版SDGs=「アロハプラスチャレンジ」や「マラマハワイ」など、ハワイがいつまでもハワイであり続けるための取り組みについて共有して、共感していただくことでより豊かな旅行を体験していただきたいと思います。どちらかというと、今までの「明るい」「楽しい」「パワースポット」というハワイだけではなく、今後はハワイの人たちの気持ちに沿った旅行の楽しみ方をお伝えしていきたいです。また、教育旅行とともに文化交流として、現在日本の27都市と結んでいる姉妹都市連携にも力を入れていきたいと考えています。

ココナッツの葉を織るレッスン
©Hawaii Tourism Authority (HTA) / Heather Goodman
タロイモ収穫の体験
©Hawaii Tourism Authority (HTA) / Heather Goodman

Q10. ワーケーション先としてのハワイについては?

ハワイは時差的に、朝はニューヨークとつながり、午後は日本やアジアと連絡が取れる、グローバルな拠点としてはとても仕事がしやすいロケーション。アメリカ本土の方はワーケーションでハワイに来られている方も結構いらっしゃいます。ホテルも長期滞在プランを提供していますので、おススメの場所です。

ハワイ産のサトウキビで作ったラム酒
© Hawaii Tourism Authority (HTA) / John Hook

Q11.ほかに今後期待できる体験はありますか?

自然を感じられるところ。また、ハワイの水でビールやウィスキーなどのお酒を造っているところの見学など、ここでしか味わうことができない、ここでしか買うことができない「メイド・イン・ハワイ」に関わる体験ができるところはおススメですね。
また地元産の食材を使っているレストランがすごく増えているので、ぜひチェックしてください。オープンエアのレストランも流行っています。

日本へのメッセージ

丁寧に作られたレイ
©Hawaii Tourism Authority (HTA) / Shingo Matsushima

Q12.ハワイを旅行するうえで注意しておくべきことはありますか?

入島時の検査のために揃える書類・手続き(ESTA、セーフトラベルのQRコード、陰性証明書など)はとても多く、旅行前のしっかりした準備が重要です。
また、大事なのは時間に余裕を持つ、ということです。レストランは必ず予約が必要ですので、日本出発前に予約を入れてください。営業時間も変更されることが多く、事前確認が大切です。
レストランのメニューはQRコードから読み取る方式なので、スマホのWi-Fi環境設定も忘れずに準備してください。
そして、ハワイにはアジアバッシングのような人種差別はまったくありません。安心してお越しください。

Q13.最後に地球の歩き方読者へのメッセージをお願いします。

これまでハワイと日本との間には長い歴史と絆があり、ハワイの人々の多くが日本からのお客様を心待ちにしています。
そのためにもハワイは一生懸命に準備をしてきました。
ハワイの衛生・安全面は素晴らしいレベルで担保されていると自信を持って言えます。
今はまだ日本帰国時の規制が厳しいですが、緩和されましたら、ぜひハワイを訪問先として考えていただきたいです。
新しい、温かい、そしてディープなハワイを体験していただけると思います。日本の皆さまを心よりお待ちしております。

写真提供:ハワイ州観光局

■ハワイの観光情報
・ハワイ州観光局: https://www.allhawaii.jp/

■地球の歩き方総合研究所
・URL: http://www.arukikata.co.jp/research/report01.html

※当記事は、2021年9月7日現在のものです

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