地元愛の地ビール 広島・庄原市 逆境乗り越えホップ作り

公開日 : 2019年03月12日
最終更新 :
地元愛の地ビールで乾杯 ©iStock
地元愛の地ビールで乾杯 ©iStock

 広島県北部、中国山脈のふもとにある庄原市高野町。冷涼な気候を生かして育てた有機栽培ホップを使った地ビール「御津女神社BEER」を、建設業「コニシ工業」が製造し、2018年から販売しています。社長の小西匠さん(57)が病気や火災の災難を乗り越えて造った、環境にも体にも優しく地元愛に満ちたビールです。

有機栽培ホップを使った御津女神社BEERを手にする小西匠さん=広島市中区の県立総合体育館広島グリーンアリーナで
有機栽培ホップを使った御津女神社BEERを手にする小西匠さん=広島市中区の県立総合体育館広島グリーンアリーナで

 きっかけは16年前、小西さんが胃がんを患い、死を覚悟しながら5年ほど闘病したことです。しかもその後、完成間近だった子どもたち用の家を火事で失います。絶望した小西さんだが、大勢の知人から励まされて立ち直りました。そして「地域に根差す何かを次世代に残したい」と考え、新たな農作物栽培を決意しました。

 15年から気候の似ている岩手、山形県を視察。西日本にはなく冷涼でも育ち、健康志向にあった無農薬・無肥料のホップを使ったビール造りを思い立ちます。翌年、有志とともに9人でプロジェクト組織を設立。地元の同神社前にある自分の畑15アールで、近隣の大手ビール会社の協力も得て栽培を開始しました。18年に製造販売できる20キロの量を収穫しました。

 醸造は同県福山市のメーカーに依頼。香り高く爽やかな苦みのあるビールに仕上がりました。年間約2400本の生産ですが、すでに県内や東京の飲食店とも取り引きがあります。

 「ノウハウはなく不安だったが、周りの助けでここまでこれた」と感謝する小西さん。商品名に使った御津女神社はその昔、飢饉から地元民を救うため私財を投じて没した人物を祭っています。小西さんは「このビールも地域に貢献し、長く愛されてほしい」と願っています。330ミリリットルで750円。問い合わせは同工業(0824-86-2080)。

■御津女(みづめ)ビール
・住所: 〒727-0403 広島県庄原市高野町岡大内60
・電話: 0824-86-2080

 この記事は、全国商工会連合会が地域活性化のキーマンとなる若手経営者育成のため開催した「次世代地域リーダー塾」プログラムの中で、毎日新聞記者の指導を受けて作成されたもので、「地球の歩き方ニュース&レポート」でも掲載しました。
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