北陸新幹線の延伸が待ち遠しい!ひと足お先に、福井の歴史と文化に触れる旅に出かけてきました!

公開日 : 2019年12月27日
最終更新 :
東尋坊の夕景。越前加賀海岸国定公園の特別保護区に指定
東尋坊の夕景。越前加賀海岸国定公園の特別保護区に指定

2022年度末、金沢から敦賀まで延伸が予定されている北陸新幹線。緑豊かな田園、在来線との立体交差など、いったいどのような車窓の風景が見られるのでしょうか。延伸区間の中心となる福井駅の外観は、一乗谷朝倉氏遺跡や永平寺の唐門をモチーフとしたデザイン、コンコースには福井県産の木材や越前和紙が使用されるようです。そこで今回は、福井駅からぜひとも足を延ばしてほしい、おすすめの穴場スポットをご紹介いたします。

城下町・越前大野で400年続く朝市と酒蔵、武家屋敷めぐり

城下町・越前大野で400年続く朝市と酒蔵、武家屋敷めぐり
農家の方が丹精込めた、四季折々の作物が並んでいる

福井駅前から車で約40分、旧大野藩の城下町・越前大野で400年以上続いているという「七間朝市」を訪れてみました。朝9時頃に着くと、七間通りの商店前には、おばちゃんたちの思い思いの店が並んでいました。おばちゃんたちは農家の方が多いようですが、地元の買い物客とは長年の顔見知りという感じで、なにやら世間話に盛り上がっています。野菜やくだもの、山菜やきのこといった旬の味覚、おにぎりや惣菜などが並んでいて、さながら、越前大野の台所といった様相です。地元の調理の仕方を教えてもらいながらの買い物は、思いのほか楽しく感じてしまいます。かつては当たり前の風景だったかもしれませんが、今となっては、農家のおばちゃんと話をしながら買い物するなんて貴重な体験かもしません。朝方、商店が開く前に、七間通りをゆっくりと、ゆっくりと歩いてみてはいかがでしょうか。

■ 七間朝市(しちけんあさいち)
・住所: 〒912-0081 福井県大野市元町 七間通り
・TEL: 0779-69-9520(越前大野七間朝市振興協議会)
・営業時間: 7:00頃~11:30頃まで毎朝(春分の日から大晦日まで開催)
・URL: https://www.ono-kankou.jp/tourism/detail.php?cd=22

花垣の醸造元、南部酒造場の歴史は100年を超える
花垣の醸造元、南部酒造場の歴史は100年を超える

七間通りの真ん中あたりに「花垣」の銘柄で知られる南部酒蔵場があります。江戸時代、1733年(享保18年)に創業し「茶の木屋」の名で大野藩の御用商人をつとめた由緒ある酒蔵です。そのころの七間通りはというと、呉服や薬、質屋、味噌・醤油などの店でにぎわっていたといい、道幅はいまも江戸時代と変わらないそうです。名水「御清水(おしょうず)」の里であり、酒造好適米・五百万石の主要産地である越前大野には、現在、南部酒造場をふくめて、4つの蔵があります。伝統的な造りを重視し、造り手のこだわりが感じられる「花垣」は、酒蔵併設のショップがあるので、ぜひとも気軽に立ち寄ってみてください。

小売店では旬の商品をはじめ、常時5~6種類のお酒を試飲できる
小売店では旬の商品をはじめ、常時5~6種類のお酒を試飲できる

■ 株式会社南部酒造場
・住所: 〒912-0081 福井県大野市元町6-10 (七間通り中央)
・TEL: 0779-65-8900
・URL: https://www.hanagaki.co.jp/

■ 花垣小売店(酒蔵併設店)
・TEL: 0779-65-8700
・営業時間: 9:00~17:00
・定休日: 不定休 (12/31~翌1/5、1月の日曜日は休み)

武家屋敷旧内山家から山の上に建つ越前大野城の天守閣を望む
武家屋敷旧内山家から山の上に建つ越前大野城の天守閣を望む

雲海に浮かぶ天空の城として有名になった越前大野城下では、旧大野藩に仕えた重臣たちの武家屋敷を訪れてみました。幕末期に藩の財政を立て直した家老・内山七郎右衛門良休と、弟の隆佐良隆の偉業を偲んで復元修理した「武家屋敷旧内山家」や、代々大野藩の家老職を務めていた家柄で、田村又左衛門家屋敷跡の「武家屋敷旧田村家」は、その当時の武家の暮らしを知ることができる貴重な資料といえます。特に旧田村家は、1827年(文政10年)に大野が大火に見舞われた際に、同じ大きさの農家を買い取って移築したといういわれをもつ屋敷です。そう伺ってみると、土間があり、囲炉裏があり、農家のつくりを残しつつ、武家の生活に適した形にアレンジしているところが見て取れます。七間通りの西側から2つの武家屋敷には歩いて5~6分の距離なので、平山城・越前大野城の登城口に行く前に見学しておくのがおすすめです。

武家屋敷旧田村家に見られる囲炉裏には火よけがついている
武家屋敷旧田村家に見られる囲炉裏には火よけがついている

■ 武家屋敷旧内山家
・住所: 〒912-0087福井県大野市城町10−7
・TEL: 0779-65-6122
・営業時間: 月~土9:00-16:00/日・祝日9:00-17:00
・定休日: 年末年始(12/27-1/4)
・料金: 大人200円、小人無料
・URL: https://www.ono-kankou.jp/tourism/detail.php?cd=23

■ 武家屋敷旧田村家
・住所: 〒912-0087福井県大野市城町7-12
・TEL: 0779-65-6212
・営業時間: 月~土9:00~16:00/日曜・祝日9:00~17:00
・休館日: 年末年始(12/27-1/4)
・料金: 大人200円、小人無料
・URL: https://www.ono-kankou.jp/tourism/detail.php?cd=455

水と緑に囲まれた勝山で、近代日本の歴史に触れる街歩き

水と緑に囲まれた勝山で、近代日本の歴史に触れる街歩き
ゆめおーれ勝山では機屋での経験者が目の前で実演してくれる

福井から、えちぜん鉄道で約1時間。1,000m級の山々に囲まれ、九頭竜川の中流域にある勝山は、明治以降、「機屋(はたや)」と呼ばれる機業場が軒を連ねた繊維の町です。福井県全体で見れば今も繊維産業が盛んで、2019年ラグビーワールドカップで活躍した日本代表のジャージには、福井の繊維メーカーが開発した素材が使用されたことでも知られています。そんな繊維大国の歴史をひも解いてくれるのが、「はたや記念館 ゆめおーれ勝山」です。館内には糸繰機や機織機が動態保存されていて、実際に織機を動かして実演してくれるところが実に見事です。明治期に始まった絹織物、昭和初期の人絹(レーヨン)織物から戦後のナイロン、ポリエステル織物への移行など、織物産業の変遷をたどる展示からは近代日本の歴史を垣間見ることができます。

1934年(昭和9年)から2003年(平成15年)まで使用していた糸繰機
1934年(昭和9年)から2003年(平成15年)まで使用していた糸繰機

■ はたや記念館 ゆめおーれ勝山
・住所: 〒911-0802 福井県勝山市昭和町1-7-40 
・TEL: 0779-87-1200 
・営業時間: 9:00~17:00(カフェコーナー:10:00~19:00/火曜定休)
※体験受付:9:00~16:00
・休館日: 12/29~翌1/2※展示替え、施設点検などで臨時休館の場合あり
・料金: 無料 ※体験は別途料金あり(ホームページをご覧ください)
・URL: https://www.city.katsuyama.fukui.jp/hataya/
※営業時間、休館日については2020年4月1日より変更予定です。

花月楼の周辺は、かつて「百人町」と呼ばれるほどのにぎわいだった
花月楼の周辺は、かつて「百人町」と呼ばれるほどのにぎわいだった

ゆめおーれ勝山から歩くこと約10分。かつて花街として栄えた河原町通りに建つ「花月楼」は、勝山市街のもうひとつのおすすめスポットです。1904年(明治37年)に建てられ、国の登録有形文化財に指定された建物の中で食事ができるところが魅力です。かつて勝山で製糸業が隆盛を極めたころ、多くの酒宴が催された料亭としての面影が随所に残っています。特に建物2階の大座敷にある優美な弧を描く傘天井、そして、表玄関の横に立つしだれ桜は、その歴史を静かに物語っています。花月楼では、勝山の風土に育まれた郷土料理が楽しめるほか、甘味や飲み物もあるので、気軽に立ち寄ってみてください。

2階の大座敷には傘天井。現代の技術では再現が難しいという
2階の大座敷には傘天井。現代の技術では再現が難しいという
炊きたてのご飯に出汁をかけて食す「ぼっかけ」は勝山の郷土料理
炊きたてのご飯に出汁をかけて食す「ぼっかけ」は勝山の郷土料理

■ 花月楼
・住所: 〒911-0806 福井県勝山市本町2-6-21
・TEL: 0779-87-1355
・営業時間:
 明治浪漫カフェ(1階)11:00~16:30(16:00最終受付)
 お座敷花月楼 (2階・要予約)11:00~14:00/18:00~21:00
・定休日: 毎週水曜日
・URL: https://katsuyama-navi.jp/kagetsuro/

1300年前まで時代を遡る中世の一大宗教都市、平泉寺へ

1300年前まで時代を遡る中世の一大宗教都市、平泉寺へ
平泉寺は白山信仰の始まりの地。国史跡として指定されている

近代日本を旅した後は、中世の時代にタイムスリップしてみましょう。まずは、勝山の町中から車で約10分、「白山平泉寺歴史探遊館 まほろば」を目指します。霊峰白山(標高2,702m)の越前側登拝口に開かれた白山信仰の拠点、白山平泉寺の参道が目の前から始まります。717年、泰澄によって開かれ、中世には北陸で大きな存在になっていた寺院は、広大な境内に数十の堂や社、数千におよぶ坊院が建ち並んでいたというから、その規模たるや想像を絶する大きさです。ところが、1574年(天正2年)、一向一揆との戦いで全山が焼けてしまい、そのほとんどが失われてしまったといいます。しかし、その全貌を調査するべく、1989年(平成元年)から始まった本格的な発掘調査によって、数々の遺構が発見されているのです。今の境内には、樹齢数百年の杉林、その下に青々とした苔が絨毯のように広がっています。戦によって忽然と姿を消して、そしていま、はるかなる時を経て姿を表しつつある平泉寺。そのミステリアスな歴史に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

広大な境内は、緑の絨毯が敷かれたようで心がとても落ち着く
広大な境内は、緑の絨毯が敷かれたようで心がとても落ち着く
拝殿の奥にたたずむ御前峰御本社。冬は雪で通行止めの時期もある
拝殿の奥にたたずむ御前峰御本社。冬は雪で通行止めの時期もある

■ 白山平泉寺(はくさんへいせんじ)
・住所: 〒911-0822 福井県勝山市平泉寺町平泉寺
・営業時間: 境内見学自由
・料金: 無料 ※旧玄成院庭園は拝観料50円
・問い合せ先: 勝山市商工観光・ふるさと創生課 
・TEL: 0779-88-8117
・ガイド: 有(ガイド1名につき2,000円) 
・URL: https://www.city.katsuyama.fukui.jp/heisenji/

■ 白山平泉寺歴史探遊館 まほろば
・住所: 〒911-0822 福井県勝山市平泉寺町平泉寺66-2-12
・TEL: 0779-87-6001
・営業時間: 9:00~17:00(入館は16:30まで)
・休館日: 年末年始(12/29~1/3)
・料金: 無料
・URL: https://www.city.katsuyama.fukui.jp/heisenji/mahoroba/

越前加賀の魅力を伝えるPRイベントが東京・有楽町で開催決定!

越前加賀の魅力を伝えるPRイベントが東京・有楽町で開催決定!
イベントでは越前加賀の写真も展示予定です(写真はあわら温泉の湯けむり横丁)

本レポートでご紹介した、越前大野と勝山エリアを含む越前加賀エリア(石川県の小松市、加賀市、白山市と、福井県の大野市、勝山市、あわら市、坂井市、永平寺町) のPRイベントが有楽町で開催されます。越前加賀エリアの特産品の販売や試食、景品が当たる抽選会など内容盛りだくさんです。ふるってご参加ください!

■ 越前加賀PRイベント
・日時: 2020年1月11日(土)、12日(日) 11:00~17:00(予定)
・会場: 東京交通会館 サンプリングエリアおよび同施設内近畿日本ツーリスト有楽町営業所内
・住所: 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-10-1

撮影:中西 学
取材・文:植木 孝(一部撮影)
取材協力:越前加賀広域観光推進協議会

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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