アフターコロナ時代の旅スタイル。オンラインツアーとその先の旅とは?<前編>~どこでもLIVE~

公開日 : 2021年10月29日
最終更新 :
オンラインツアーにて。ハワイから「アロハ~」
オンラインツアーにて。ハワイから「アロハ~」

新型コロナウィルスをはじめとした感染症のリスクとどう向き合い、どのように旅をしたらよいのか? 「新しい生活様式」につづき、「新しい旅のスタイル」を模索するべく、編集部がその道のプロにインタビューし、アフターコロナ時代の旅スタイルをさぐっていきます。今回は、コロナ禍の下でオンラインツアーを大きく展開している、旅行会社エイチ・アイ・エスさんに、オンラインツアーの立ち上げから、人気のツアーとその秘密をうかがいました。

ロックダウンのNYからオンライン配信がスタート!

ロックダウンのNYからオンライン配信がスタート!
エイチ・アイ・エスの八幡さんにオンライン事業について伺う

今回、取材にご協力いただいたのは、エイチ・アイ・エス本社Online Experience本部長の八幡正昭さんです。
2009年から2011年まではインドのデリー支店、その後、東京の本社でウエブ関連の仕事に就き、2015年から2020年までニューヨーク支店に駐在。新型コロナウィルスの感染拡大が始まった時には、ちょうどニューヨークにいらしていたそうです。

編集部 
コロナ禍にもかかわらず、ものすごい勢いでオンラインツアーの種類を増やされています。そもそもどういった経緯で、オンラインツアー事業が立ち上がったのでしょうか?

エイチ・アイ・エスさん 
現在、ホームページに掲載しているオンラインツアーは、常時1,300以上のコースをご案内しています。
ニューヨークでは2020年3月中旬からロックダウンが始まり、4月に入ると日本でも緊急事態宣言が発令されました。一瞬にして「海外旅行」が止まってしまったわけですが、旅行に行きたい人がいなくなったわけではなく、その時期にもかかわらず、日本からの問い合わせをいただいておりました。そこで、オンラインで何かできないか、という話が出てきたのです。

編集部
オンラインという、いわばバーチャルなツアーを実施するのに不安はありませんでしたか?

エイチ・アイ・エスさん
最初はこの「オンラインツアー」というサービスが、お客様に受け入れてもらえるかどうかが心配でした。そこで2000年4月中旬から5月末までは無料で提供してみました。不安もありましたが、この1カ月半の間に約6,000人の方にご参加いただきました。参会者の皆様のレビューを拝見して、90%以上がポジティブな反応でしたので、6月からは有料化することになりました。最初は北米のみでの販売でしたが、その後はカナダや中米、南米にも展開していきました。それから、ヨーロッパ、そして、アジアに広がり、当社のグローバルサイトで販売されるようになってきたのです。

ニューヨークの中心地もロックダウン中は人影がない
ニューヨークの中心地もロックダウン中は人影がない

編集部 
最初はどのようなオンラインツアーから始められたのでしょうか?

エイチ・アイ・エスさん 
2020年4月、ニューヨークはロックダウンしていたので、各スタッフが自宅から事前に用意した観光名所の案内をお話しするというセミナースタイルでした。その後、お客様からの「物足りない」という声、ロックダウンが緩和されてきたこともあって、現地の空気感がわかるよう、街に出て中継するライブに踏み切りました。そうした段階を踏んでのスタートだったかと思います。

家に居ながら90分で「世界一周ライブツアー」

家に居ながら90分で「世界一周ライブツアー」
90分で世界一周を体験できるオンラインツアーは大人気

編集部 
開始から今までで人気のあるツアーと、その理由を教えていただけますか?

エイチ・アイ・エスさん 
この一年で最も人気があったのは、5都市をめぐる「世界一周ライブツアー」です。実際に世界各地にあるこの5都市(5カ所)に行こうと思うと最短でも2週間、航空券だけで50〜60万円はかかります。このツアーでは、その各都市の最も美しい景色や時間を同時中継で繋ぎ、見どころを約90分で効率よくコンパクトにお届けしました。まさに、オンラインツアーならではの醍醐味が味わえるものではないでしょうか。

チャットで質問も可能。写真はシンガポールとの中継から
チャットで質問も可能。写真はシンガポールとの中継から

特に好評をいただいているのは、「世界一周ライブツアー」の本編の後に、希望者だけハワイやケニア、シンガポールなどの各部屋(ブレイクアウトルーム)に分かれ、本編では案内していない場所を見ていただいたり、質問コーナーを設けたりしていることです。例えばシンガポールであれば、本編ではマリーナベイサンズの夜景とマーラインを見ていただいて、ブレイクアウトルームでは海中トンネルを通って周りが水に囲まれた「アップルストア」に行ってみたりします。また、時間制限があるのでチャットになりますが、より深掘りした質問をお受けしたりします。

リピートして家族で楽しむ「サファリ・ライブツアー」

リピートして家族で楽しむ「サファリ・ライブツアー」
アフリカ・ケニアのサファリツアーもオンラインなら気軽に

編集部
本編の後のブレイクアウトルームも楽しそうですね。ほかに人気のツアーはありますか?

エイチ・アイ・エスさん
日本から遠くて実際の旅行ではなかなか行くのが難しい地域のツアーでしょうか。たとえば、南米・ペルーのマチュピチュやアフリカ・ケニアのサファリツアーも人気です。お客様にとっては、一生に一度行けるかどうか、という場所ということもあり、手軽なオンラインツアーではなかなかの好感触でした。

編集部 
サファリツアーの口コミを見てみました。夏休みにご家族で参加という方もいらっしゃいましたね。

エイチ・アイ・エスさん
このケニアのサファリツアーは、参加するたびに見られる動物が異なるということもあり、リピート率も高いのが特徴ですね。ツアー代金が発生するのは端末ごとなので、ご家族で楽しまれるにはピッタリです。

編集部
では、オンラインツアーに参加した場合、どのような流れになるのでしょうか?

エイチ・アイ・エスさん
ケニアのサファリツアーを例にしますと、まず初めにガイドによる挨拶や自己紹介をしていきます。そして「ケニアとは」や「国立公園のあらまし」といった全体像の説明を行った後、サファリツアーをスタートしていきます。オンラインツアーでは、経験豊富で知識を備えたガイドが案内し、現地に行かないと知り得ない情報を数多く盛り込んでいきます。そして、双方向性のコミュニケーションを大切にしていきます。参加人数にもよりますが、チャットあり、カメラのオンオフはお客様にお任せしツアーを進めて行きます。最後には、現地スタッフからの想いを伝えて終了します。

異なる時差を体感する、24時間ライブ中継

異なる時差を体感する、24時間ライブ中継
ハワイのサンセットをライブ中継(写真提供©Kuu)

エイチ・アイ・エスさん
2021年7月には30カ国以上を「24時間ライブ中継」したツアーが大好評でした。3,000円前後というのが相場のところ、参加料金が1,500円と安価だったこともありますが、24時間中継の間で、常時数百名がご覧になっていたかと思います。場所によっては朝だったり夜だったりと、世界の時差を体感できるところが、お客様にはライブ感として伝わったのかと思います。ハワイではサンセットに合わせて、ラスベガスでは噴水ショーに合わせるなど、演出にもこだわりました。

編集部
まさにオンラインツアーならではの体験ですね。

お話をうかがった方
エイチ・アイ・エス本社
Online Experience本部
本部長
八幡正昭

エイチ・アイ・エスの八幡さん
エイチ・アイ・エスの八幡さん

今回は、オンラインツアーを広く展開し、成功させている旅行会社のエイチ・アイ・エスさんに、オンラインツアーの立ち上げと現在人気を集めているオンラインツアーについてうかがいました。後編では、観光旅行という枠組みを超えて、今までにない体験型ツアーや海外での新しいサービスなど進化するオンラインツアーについてお聞きします。

こちらに続きます
■アフターコロナ時代の旅スタイル。オンラインツアーとその先の旅とは?<後編>~進化するオンラインツアー~
・URL: https://news.arukikata.co.jp/column/travel-info/Japan/Kanto/Tokyo/146_623797_1635389232.html?w=146

取材記事:前原利行/構成:地球の歩き方編集部
画像提供:株式会社エイチ・アイ・エス/©istock

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筆者

地球の歩き方書籍編集部

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