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名古屋から電車ですぐの「聚楽園大仏」は日本でも珍しい文化財指定の初期鉄筋コンクリート大仏

2021年04月30日

公園にたたずむ聚楽園大仏

名古屋駅から名鉄で南へ約20分。中部国際空港(セントレア)へ行く途中に、日本で現存するなかで、最も古い鉄筋コンクリート製大仏があります。聚楽園大仏です。周囲は東海市の公園として整備され、名古屋から手軽に訪れられる憩いのスポットになっています。今、その聚楽園大仏が近代建築遺産として注目されつつあります。

聚楽園と聚楽園大仏の歴史

参道を登ると大仏の顔が見えてくる

聚楽園大仏は、1927年に昭和天皇のご成婚を記念して、中京地方の実業家・山田才吉により建てられました。像高18.79mの阿弥陀如来坐像です。造られた当時は「東洋一」と言われ、奈良や鎌倉の大仏より大きく、日本で最も大きな大仏でした。建立者は中京地方で活躍していた実業家の山田才吉。才吉は当時、自身が経営していた料理旅館・聚楽園の敷地内(知多郡上野村、現在の愛知県東海市)に、私費を投じて造りました。

山田才吉は料理人から身を興し、現在は名古屋の名産品となっている守口漬を考案。缶詰事業や新聞社、ガス会社、旅館、水族館、鉄道会社など、時代を先取りさまざまな事業を立ち上げました。愛知県を中心に立ち上げた4つの巨大旅館のうちのひとつが、後に敷地内に聚楽園大仏を建てた聚楽園でした。

聚楽園内に残る旅館の正面玄関跡

大仏が建てられた聚楽園は、かつては名古屋の行楽地として栄えました。旅館を中心に、園内には四季を通じて花々が咲き乱れ、山上からは伊勢湾を遠望。来園客に提供する本格的な料理のほかに、伊吹山の薬草風呂などで人を集めました。実現はしませんでしたが、海岸沿いに海水プールの計画もありました。

戦後になってからは、大仏と境内地については宗教法人・大仏寺が管理することになり、ほかの園内については東海市が聚楽園公園として整備しました。なお、聚楽園旅館は1991年に取り壊されたため残っておらず、かつての海岸線は名古屋港の一部として工業地帯に変わっています。

聚楽園の山上からの風景


国内でも珍しい鉄筋コンクリート仏の文化財登録

公園内にある大仏は日本でも珍しい

聚楽園大仏は、1983年に東海市の指定名勝(聚楽園大仏及び境内地)として文化財登録されました。また2021年2月18日には、参道に立つ「阿(あ)形」「吽(うん)形」の一対の仁王像とともに、指定建造物(聚楽園大仏及び仁王像)としても文化財登録されました。鉄筋コンクリート造の大仏が文化財登録されることは、日本国内で先進的なケースです。

阿形の仁王像
吽形の仁王像

東海市役所社会教育課によると、建造物としての文化財指定は「日本最初の鉄筋コンクリート大仏であり、かつ建立時は日本最大の大仏だった」「複雑な形状で造られコンクリート造形の可能性を示した建築物である」「現代の高層ビルにも匹敵する強度で建てられた当時の技術を確認できる」「市のランドマークになっている」「誰でも訪れられる公共性がある」「聚楽園という地域のイメージを決定づけた建築物である」という、おもに6点の理由からだそうです。

特に注目すべきは、大仏の顔。建立した山田才吉は大仏の顔の造形にこだわっており、完成した顔を一度作り直させています。

真下から見上げるとちょうど大仏と目が合う

大仏と仁王像のほかに、境内に残る大灯籠、常香炉、参道も建立当時からのものです。大灯籠には山田才吉の前妻だった「山田なつ」の名前が刻まれ、常香炉には後妻「山田よね」をはじめ家族の名前が残されています。大仏横には山田才吉翁頌徳碑も立っています。もとは銅で造られた山田才吉翁寿像もありましたが、第二次大戦時に金属供出されて現在は残っていません。

以前は2基あった大灯籠だが現在は1基
常香炉の裏側に刻まれた名前

パワースポットとしての聚楽園大仏

満開になった桜と大仏

聚楽園大仏は、一代で次々と事業を立ち上げた山田才吉にあやかって、「成功」「出世」「開運」のご利益があるかもしれません。また昭和天皇のご成婚記念として建てられた経緯から「縁結び」も叶うかもしれません。

地域の人々が普段からお参りに訪れるほか、名古屋市を中心とした愛知県内、そしてアジア方面およびスペイン語圏からの観光客の姿も見かけます。

名古屋駅の高層ビル群と聚楽園大仏

■聚楽園大仏
・住所: 愛知県東海市荒尾町西丸山
・開園時間: 24時間
・アクセス: 名鉄聚楽園駅から徒歩数分
・URL: https://www.tokaikanko.com/study/history_culture/big_buddha/

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※当記事は、2021年4月28日現在のものです

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