ゴールデンゲート・ブリッジを100倍楽しむ完璧ガイド(アメリカ・サンフランシスコ)

公開日 : 2018年11月03日
最終更新 :
アメリカを代表する橋のひとつ、ゴールデンゲート・ブリッジ
アメリカを代表する橋のひとつ、ゴールデンゲート・ブリッジ

アメリカ・サンフランシスコの観光スポットとして真っ先に名が挙がるゴールデンゲート・ブリッジ(Golden Gate Bridge)。街一帯が霧に覆われていても、鮮明に目に飛び込んでくるインターナショナルオレンジの色彩がとても印象的です。1933年に工事が始まり、1937年5月27日に完成しました。アール・デコ様式を取り入れたこの橋は、アメリカ土木協会より、20世紀にできた美しく優れた建築物(橋の部門)に登録されています。そんなサンフランシスコの観光スポット、ゴールデンゲート・ブリッジを100倍楽しむ方法を紹介します。

ゴールデンゲート・ブリッジは歩いて渡ろう

ゴールデンゲート・ブリッジは歩いて渡ろう
バスの車窓から望むゴールデンゲート・ブリッジ

太平洋とサンフランシスコ湾の境界にできたゴールデンゲート・ブリッジ(Golden Gate Bridge)の長さは、2,789メートルです。青空の下、潮風を頬に感じながら、のんびりと散策するのにぴったりの距離です。今回は、サンフランシスコ市街からバスを使って一旦橋を通過し、歩いて戻ってくる方法を紹介します。

利用するバスは、サンフランシスコとマリンカウンティーを結ぶ路線バス、ゴールデンゲート・トランジット(Golden Gate Transit)です。#30(ルート30)のサウサリート経由サンラファエル行きに乗車しましょう。

プリペイド式のクリッパーカード(Clipper Card® 5.20ドル)で、運賃の支払いができます。橋を渡ると、アレキサンダー・アベニュー(Alexander Ave)降車場に着きます。

同じサウサリート経由でも、#70(ルート70)に乗ってしまうと、マリンカウンティーのロビンウィリアムス・トンネル(Robin Williams Tunnel)をはるかに超えてしまいます。念のため、乗車前にアレキサンダー・アベニュー(Alexander Ave)降車場で停まるか確認しましょう。

アレキサンダー・アベニュー降車場
アレキサンダー・アベニュー降車場

アレキサンダー・アベニュー降車場には、バス停の看板しかなく、辺り一帯は意外と殺風景です。しかし、サンフランシスコ市街が一望できるビュースポット、マリン・ヘッドランド・トレイル(Marin Headlands Trail)の入り口にもなっていますので、思いのほか乗降客が多いです。

眼下に広がるフォート・ベーカー
眼下に広がるフォート・ベーカー

バスを降りてすぐ、眼下には、かつて軍の拠点でもあったフォート・ベーカー(Fort Baker)があります。そして、知る人ぞ知る超ラグジュアリーホテル、カバロポイントロッジ(Cbaro Point Rodge)も見えます。一度は泊まってみたい憧れのホテルです。

ゴールデンゲート・ブリッジはどうして生まれた?

ゴールデンゲート・ブリッジはどうして生まれた?
このエリアは軍事拠点としても重要な場所だった @istock

太平洋とサンフランシスコ湾が交わるゴールデンゲート海峡には、北側のフォート・ベーカーと南側のフォートポイント(Fort Point)があり、軍事拠点として共に重要な場所でした。

そのような軍事施設の周辺に橋を造る計画が持ちあがったのが、1910年代、サンフランシスコ大地震からの復興の最中でした。船で通勤していた新聞記者が、通勤の大変さに辟易して、架橋キャンペーンを謳ったのが発端でした。

陸軍との度重なる公聴会もうまく進まず、立地的に建設は不可能ともいわれていました。さらには、1929年、世界恐慌にも見舞われたのでした。それでも、サンフランシスコ市民の架橋の思いは強く、固定した橋から吊り橋へとデザイン変更が行われ、何とか開通したのが1937年5月27日のことでした。

開通した当日は、歩行者の日として一般開放され、約200,000人もの人がゴールデンゲート・ブリッジを渡ったそうです。当時のサンフランシスコの人口が400,000人くらいだったことを考えると、切に待ち望まれていた橋であったことがよくわかります。

最初の写真撮影スポットは北側のビスタ・ポイント

最初の写真撮影スポットは北側のビスタ・ポイント
ビスタ・ポイントはいつも混雑

フォート・ベーカーの近くには、サンフランシスコの街をバックにしたゴールデンゲート・ブリッジが眺められるビスタ・ポイント(Vista Point:景色のよい場所)があります。こちらのビスタ・ポイントは、時折、一般車両の交通規制が行われるほどたいへん混雑します。到着したら、ここではさっと記念撮影を済ませてしまいましょう。

橋の下にある通路
橋の下にある通路

ゴールデンゲート・ブリッジの反対側に行きたい時は、橋の下にある通路を利用します。ビスタ・ポイントの先には、初級者用のトレッキングコース、コースタルト・レイル(Coastal Trail)があります。5キロメートル強のトレッキングコースで、道中はゴールデンゲート・ブリッジのすばらしい眺めを楽しむことができます。時間があれば、こちらのハイキングもおすすめです。

いよいよ出発! 徒歩の人は海側を通行しよう

いよいよ出発! 徒歩の人は海側を通行しよう
徒歩の人は海側、自転車の人は車道側へ

ビスタ・ポイントでの写真撮影が済んだら、いよいよ出発です。ゴールデンゲート・ブリッジを歩いて渡りましょう。

ゴールデンゲート・ブリッジの歩道は、徒歩、および自転車で通ることができます。歩道を通るときにはルールがあります。徒歩の人は海側通行、自転車の人は車道側通行となっています。

すこし開けた歩道エリア
すこし開けた歩道エリア

歩きはじめてすぐに、歩道が広くなっている場所が現れます。ここからだと橋全体の様子もわかり、大勢での記念撮影も可能です。

橋のメインスパンが目の前に
橋のメインスパンが目の前に

歩いてゴールデンゲート・ブリッジを渡っていると、橋のメインスパン(橋梁:きょうりょう)を間近に観ることができます。全長3キロメートル近い橋にもかかわらず、思っていたよりも意外と細かったと感じる人が多いようです。

橋の上から撮りたいフォトジェニックなポイント

橋の上から撮りたいフォトジェニックなポイント
ライム・ポイントの小さな灯台

ゴールデンゲート・ブリッジ上にあるフォトスポットをいつくか紹介しましょう。

こちら(上の写真)は、ライム・ポイント(Lime Point)の小さな灯台です。かつて、この灯台は、航行する船にとっては重要な道しるべでした。現在は、ソーラーシステムのパネルが設置されています。

サンフランシスコ湾に浮かぶ橋の影
サンフランシスコ湾に浮かぶ橋の影

サンフランシスコ湾に浮かぶゴールデンゲート・ブリッジの影もおすすめです。午前から昼にかけては、影が橋の真下になり、サンフランシスコ湾に浮かぶゴールデンゲート・ブリッジの影を撮ることはできません。昼下がり、しかも海面が穏やかタイミングを見はからって撮影してみてください。

ひっそりとセキュリティーカメラが
ひっそりとセキュリティーカメラが

橋を吊っているシンボルタワーも撮りましょう。シンボルタワーは、ニューヨークのエンパイアステートビルのように、高くなるにつれて細くなっています。アルファベットの「A」の様な形、そして、当時を代表するデザインのアール・デコ様式が取り入れられています。

こちらは、シンボルタワーのひとつ、ノース・タワー(North Tower)です。優美で調和のとれたすばらしいデザインです。見上げると、デザインを損なわないようひっそりとセキュリティーカメラがあります。

手が届きそうなメインスパン
手が届きそうなメインスパン

ゴールデンゲート・ブリッジの真ん中に到着です。ここでも一枚。橋を吊っているロープがもっとも短い場所がここです。メインスパンにも手が届きそうなくらいです。

振動が伝わってくる
振動が伝わってくる

橋を吊っているロープを触ってみましょう。かなり振動しているのがわかります。

かつては第三の砦だったアルカトラズ島
かつては第三の砦だったアルカトラズ島

橋はもちろんのこと、サンフランシスコの景観も撮りましょう。中間地点では、アルカトラズ島を眺めることができます。アルカトラズ島は、北側のフォート・ベーカー、南側のフォート・ポイントとの中間にあり、かつては第三の砦として軍事拠点の役割を果たしていました。望遠レンズが欲しくなります。

南側のフォート・ポイント
南側のフォート・ポイント

南側のフォート・ポイントも撮りましょう。このフォート・ポイントが見えはじめると、サンフランシスコ市街に戻ってきた感じがします。

サンフランシスコ側に建つサウス・タワー
サンフランシスコ側に建つサウス・タワー

橋を吊っているシンボルタワーのひとつ、サンフランシスコ側のサウス・タワー(South Tower)は、電力会社の名前が付いています。完成50周年を記念して行われたライトアップに貢献したことで名付けられました。また、シンボルタワーには、工事に関わった人達のプラーク(銘板)があります。

渡り終えたら展望台からの眺めでひと休み

渡り終えたら展望台からの眺めでひと休み
サンフランシスコ市街側の展望台からの眺め

サンフランシスコ市街側に到着です。写真を撮ったりしながらの散策ですと、約1時間の道のりです。歩くだけなら40分くらいでしょう。せっかくですから、普段観ることのできない風景をたくさん写真に収めてください。

ゴールデンゲート・ブリッジの入り口にあるウエルカムセンターでは、周辺の観光案内もしてくれます。また、バラマキ系のおみやげから特別なギフトにもなりそうなセンスのよいオリジナルグッズもあります。

そして、この橋の設計主任であるジョセフ・ストラウス(Joseph Straus)の銅像もここにあります。左手にゴールデンゲート・ブリッジの設計図を持って、堂々と立っています。

展望台にある3つのプラークに秘話あり

展望台にある3つのプラークに秘話あり
名誉回復のプラークが

サンフランシスコ市街側にある展望台には、3つのプラークがあります。橋を説明するプラークとアメリカ土木協会のプラークと、もうひとつ、ある人物の名が記された小さなプラークです。この小さなプラークには、チャールス・A・エリス(Charles A Ellis)という名が刻まれています。

彼は、1929年の架橋計画当初からトラウス氏の片腕として迎え入れられ、実質的にゴールデンゲート・ブリッジを設計した学者です。慎重すぎる仕事ぶりで計画がなかなか進めず、その間に浪費した財政問題などを理由に、1931年に解雇されてしまいました。

しかし、彼がいなければ、この美しい橋の完成はどうなっていたことでしょう。2012年、完成75周年を記念した式典で、安全な橋の建設に深く関わった人物として、改めて彼の功績が称えられました。今では名誉回復のプラークが燦然と輝いています。

橋を渡りながらいろいろなものを観てきましたが、最後に目にしたのは、ゴールデンゲート・ブリッジの建設に関わった数多くの人達の人間模様でした。

青い空と青い海に映えるインターナショナルオレンジ
青い空と青い海に映えるインターナショナルオレンジ

いかがでしたか。ゴールデンゲート・ブリッジを100倍楽しむ方法を紹介しました。日本から、世界から、いろいろな船舶が、このゴールデンゲートブリッジをくぐり、サンフランシスコ湾に入ります。太平洋を越えて日本からやって来た船舶の乗組員が、初めてこの橋を見た時「きれいすぎて涙が出ててしまった」と恥ずかしそうに話してくれたことがありました。

海の男でさえ泣かせてしまう、世界でもっとも美しい橋といわれるゴールデンゲートブリッジ。今度のサンフランシスコ旅行の際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

筆者

アメリカ・カリフォルニア州特派員

美丸(Mimaru)

サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。

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