【タイ・バンコク最新情報】入国条件が次々と緩和されるタイ。バンコクの3大寺院をじっくり見るなら今?

公開日 : 2022年04月25日
最終更新 :
入場者がほとんどいない王宮はまるで休館日のような状態
入場者がほとんどいない王宮はまるで休館日のような状態

コロナの状況に合わせて、段階的に入国条件が緩和されているタイ。最新の状況を視察するため、「地球の歩き方」ガイドブックタイ編担当の編集者が2022年3月末~4月上旬まで、現地に足を運びました。実は昨年12月もバンコクを訪問しており、その時に比べると、繁華街には明らかに旅行者と思われる外国人の姿も増え、街のにぎわいも戻りつつあるように思われましたが、コロナ禍以前と比べてしまうと、観光地はまだガラガラと言えます。今回は、バンコクで外せない観光スポット3大寺院の様子をレポートします。

バンコク最大の見どころ 3大寺院は今どうなっている?

バンコク最大の見どころ 3大寺院は今どうなっている?
ワット・プラケオ境内は気兼ねなくのんびり散策し放題

ワット・プラケオといえば、タイで最も格式の高い名刹。タイ人仏教徒なら一度は参拝に訪れたいと願うあこがれの寺院、そしてコロナ禍以前は常にたくさんの外国人旅行者が訪れる場所でした。入場者が多かった頃は境内はどこも大混雑で、せっかくの豪壮な建築やきらびやかな装飾なども、ゆっくり見ていられません。それが今回はどうでしょう。入場の際に以前はなかったセキュリティチェック、検温、記帳と3つの関門があるものの特に待ち時間はなく、常に混雑していた入場券売り場にも列はありません。ノーストレスで境内入口までたどり着けます。

境内は人もまばら。建ち並ぶさまざまな建築を堪能することができます。本尊のラタナーコーシン仏が収められた本堂内も人が少ないので、広々とした床に座り、やや高い位置に祀られているタイ国の守り本尊を見上げてじっくりと拝観することができました。長い間タイに通っていますが、こんな体験は初めてです。

大仏塔の周囲に人がほとんどいないワット・アルン
大仏塔の周囲に人がほとんどいないワット・アルン

続いて、チャオプラヤー川を渡し船で対岸へ渡りワット・アルンへ。大仏塔の入口前にある入場券売り場の外から大仏塔周囲の様子が見えるので、中まで入らずともそこから覗けば十分と考えていましたが、売り場が渡し船を降りてすぐの場所に移転しており、そこからでは中を見ることができません。そのため結局のところは入場することに。どうやら邪心を抱いてはいけないようです。

さて、途中まで階段で登ることができるワット・アルンの大仏塔、以前は狭い階段の順番待ちや譲り合いなど、落ち着かないものがありました。それが今なら階段はほぼ独占状態、眺めの良い場所を独り占めできます(暑いですけど)。脳内で三島由紀夫の世界に浸りながら、ずっと佇んでいても誰の迷惑にもなりません。少し残念なのは、大仏塔とチャオプラヤー川に挟まれた広場で数軒営業していた記念撮影用貸タイ風衣装屋さんが消えていたこと。ココナッツを売っていたおばさんに尋ねると、「外国人が増えたら戻るって言ってたよ」とのことでした。

大寝釈迦仏が収まるお堂もこんな状態
大寝釈迦仏が収まるお堂もこんな状態

最後に訪れたのは、巨大な寝釈迦仏とタイ式マッサージで名高いワット・ポーです。寺院の敷地北側と南側の2か所に入口があり、寝釈迦仏のお堂に近い北側がメインの入口です。現在そちらは改装工事のため閉鎖されており、南側の入口からのみ入場できるのでご注意。入場券売り場で料金を支払うと、二次元コードがプリントされたチケットがもらえます。

まずはすぐ隣にある自動販売機にコードをかざして、無料の飲料水をゲットしましょう。次に自動改札機のようなゲートにコードをかざして入場します。ワット・ポーを訪れる旅行者ほぼ全員がお目当ての寝釈迦仏のお堂は、狭い通路にタイ人の参拝者や外国人旅行者がぎっしり詰まっているのが常でした。それが現在は奥まで見通せるほど人の姿はまばら。寝釈迦仏の足裏に施された螺鈿細工も、じっくりと鑑賞できます。境内に2棟ある東屋で行われているタイ式マッサージは、現在1棟のみ使って営業しています。

ワット・ポー周辺で注意すべき点として、外国人旅行者に「今日ワット・ポーはお休みだ」などと声をかけ、「だからここへ行くといい」とインチキショップへ誘導する詐欺師の存在があります。外国人旅行者が激減して彼らの商売も上がったり、商売替えでもしているのではないかと思いきや、それなりの数が歩道の木陰などに待機し、しぶとくカモを待っていました。このあたりで親しげに声をかけてくる人は全員詐欺師なので、決して相手にしないで下さい。誰かに声をかけられても無視しましょう。

海外からの旅行者を迎えるための準備も万端?

海外からの旅行者を迎えるための準備も万端?
改装されすっきりしてしまったター・チャーン船着場周辺

ワット・プラケオ入口前の通りは現在大規模な工事中で通行止めとなっており、チャオプラヤー川など西側からアプローチする場合少し迂回する必要があります。面倒なのでワット・プラケオ正面にあるシンラパーコーン大学の敷地で近道してやれと大学構内に入ろうとしたところ、入口で警備員に呼び止められ、どこへ行くのか聞かれました。まさか「近道しようと思って」とも言えずしどろもどろになっていると「ああ、ギャラリーですね! それならあちらです!」と眼の前の建物を指さされ、「違います」とも言えずそのギャラリーに入って展示された作品をせっかくなのでじっくり鑑賞し、その後結局まじめに迂回路を通ってワット・プラケオへたどり着きました。急がば回れ、やはり邪心を抱いてはいけません。

この工事は、ワット・プラケオ前の通りを旅行者が安全に渡れるように、地下道を建設しているそうです。ワット・プラケオからター・チャーン船着場方面を結ぶ別の地下道はすでに完成しており、比較的交通量の多い通りを安全に渡ることができるようになりました。チャオプラヤー・エクスプレス・ボートでワット・プラケオへアクセスする際に最寄りとなるター・チャーン船着場も、古い木造の建物が全面的に改装され、食堂やショップ、旅行会社などがごちゃごちゃと並んで雑然としていた雰囲気はなくなり、エクスプレス・ボートと渡し船の船着場が分離されてすっきりとわかりやすくなっています。

新しいナイトマーケットもオープン
新しいナイトマーケットもオープン

ずらりと並ぶカラフルなテントがフォトジェニックだったタラートロットファイ・ラチャダーが閉鎖された悲しみは、昨年12月の記事でお伝えしました。規模はかなり小さくなってしまったものの、交通も比較的便利な場所に新しいナイトマーケットがオープンしているのでご紹介します。

MRTブルーラインのプラ・ラーム・ナイン駅から地上のセントラルデパート・ラマ9店内を通り抜けてすぐのJodd Fairs Market(タイ風に発音するとチョート・フェー・マーケット)です。テントの並び方やお店の種類など、規模を除けばタラートロットファイ・ラチャダーとよく似ています。20分程度でひと回りできるので、まずは全体をチェックして、それから気になるエリアをじっくり回ってみましょう。ショップエリアと飲食エリアがきっちり分かれているのも、わかりやすくていい感じです。ショップはオリジナルのファッション雑貨系が多く、ちょっとしたおみやげ探しにもいいかも。飲食エリアには各種タイ料理のほか洋食系、スナック系、日本風居酒屋などが並びこちらもバラエティに富んでいます。タイ北部の名物麺カオ・ソーイのお店もありますよ。

■Jodd Fairs Market
・住所: Rama 9 Rd., Bangkok
・営業: 毎日11:00~24:00(ほとんどの店は夕方からオープン)

活気が戻りつつあるウイークエンド・マーケット
活気が戻りつつあるウイークエンド・マーケット

滞在が週末にかかっていたので、チャトゥチャック市場(ウイークエンド・マーケット)にも足を運んでみました。最盛期とは比べようもありませんが、昨年12月の寂しい状況から見れば、営業しているショップの数も行き交う買い物客の数も明らかに増加していることがわかりました。そして飲食エリアは屋外ということもあるのか、かなりのにぎわい。今後に希望が持てる光景でした。お向かいにあるオートーコー市場は、高級な果物や野菜など、街の市場とは一線を画す品物が並んでいます。こちらはかなりの人出となっており、もともとタイ人に支えられていた場所のにぎわいは、かなり戻っているのかと思わせる様子でした。

気になるフアラムポーン駅の現在&将来は

気になるフアラムポーン駅の現在&将来は
なかなか本格稼働しないバーンスー・グランド駅

タイを旅したことがあるバックパッカーなら、郷愁のようなものを感じるのがバンコクのフアラムポーン駅(クルンテープ駅)ではないでしょうか。雑然とした下町という立地、ヨーロッパのターミナル駅を思わせる頭端式(行き止まり式)のホーム、弧を描いた正面のファサードと屋根など、独特の要素が醸し出す旅情が、多くの外国人旅行者に愛されてきました。

昨年中に廃止されるという情報もあったフアラムポーン駅の現状を確認すべく、でもその前に新しいターミナルとなるバーンスー・グランド駅がどうなっているのかを見に行きました。MRTブルーラインを利用して到着したバーンスー・グランド駅は、ホールが大勢の人でごった返しています。何かと思えばブックフェアの真っ最中。やたらに広いホールもまだ本格稼働前で使いみちがなく、さらにMRT駅直結と交通至便なので、本業とは関係のない大きなイベントの開催にはある意味うってつけなのかもしれません(コロナウイルスワクチンの接種会場にもなりました)。

なぜかブックフェア会場の片隅にタイ国鉄がひっそりと展示を出しており、覗いていると係の人に「フェイスブックの公式ページをフォローしていいね!すると記念品がもらえますよ」と言われたので即フォロー&いいね!して記念品(パンフレットと車両のイラスト入り定規3種類)をゲット。それで満足して何をしに来たのかあやうく忘れるところでしたが、気を取り直してバーンスー・グランド駅から隣のバーンスー駅へ地下通路を移動。すると、ちょうどバンコク行きの列車が到着したところ。つまりこれに乗ればフアラムポーン駅(クルンテープ駅)へ行けるわけで、ということはまだフアラムポーン駅は使われているようです。慌てて窓口で切符を買い、3等車に飛び乗りました。廃止されるのでもう乗れないと思っていた路線に、期せずして再乗車です。

フアラムポーン駅1階にあったショップはすでに閉鎖
フアラムポーン駅1階にあったショップはすでに閉鎖

窓外の景色を眺めながら20分ほどで到着した夕方のフアラムポーン駅は、ちょうど長距離列車が続々と発着する時間帯。以前と変わらない様子で、長大な編成の列車が次々にやってきます。切符売り場やベンチが並ぶホールは普段どおりに見えますが、ホールの左右両側にあったショップや食堂などはすべて閉鎖され、2階にあるカフェだけが営業していました。駅が廃止になる話はどうなったのでしょう。念の為インフォメーションで「この駅はいつ廃止になるのですか?」尋ねてみると、「わかりません」ときっぱり。フアラムポーン駅の今後は、まだしばらく不透明なようです。

しっかり感染対策をして安全な旅行を楽しもう

しっかり感染対策をして安全な旅行を楽しもう
ショッピングセンターなど入館時は検温が必要

現在タイでは、屋外でのマスク着用が義務付けられています。BTSやMRTなどの都市鉄道利用時や、ショッピングセンターやホテルなど大型の建物や飲食店入店時には、入口で検温があります。そして体温が基準を超えていると入場を拒否されます(基準値はだいたい37度5分)。人数による飲食店などの入店制限や、隣り合ってや向かい合っての着席制限はかなり緩和され、店によってはコロナ禍以前のようにぎっしり座って混雑しているところも。気になる人は、入店前に店内の様子を確認したほうがいいかもしれません。とはいえうっすらとポストコロナの状況が見えてきたように思えるタイ。今後も感染対策に注意をしながら、旅行事情が好転していくことを願うばかりです。

ヤオワラートの飲食屋台街も人波が戻りつつある。ただしマスク姿
ヤオワラートの飲食屋台街も人波が戻りつつある。ただしマスク姿

旅のバイブル「地球の歩き方」ガイドブック

大都会バンコク、世界遺産スコータイ、古都チェンマイ、人気リゾート・プーケット……。初心者からリピーターまで、タイでかなえたい夢が、全部実現できるパーフェクトガイド。巻頭では大好評の「したいこと ベスト10」やグルメ特集に加え、「色で旅するタイ寺院」も大特集。色彩豊かなタイの旅に彩りを添えます。

※当記事は、2022年4月25日現在のものです

取材協力: タイ国政府観光庁
TEXT: 『地球の歩き方ガイドブック タイ』編集担当 水野 純   
PHOTO: 水野 純

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2022年4月25日現在、国によってはいまだ観光目的の渡航が難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。

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筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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