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コソヴォとアルバニアの旅 vol.5【アルバニア】世界遺産ベラティとアドリア海リゾート

2018年04月04日

ベラティ城でのんびり草を食む馬

コソヴォとアルバニアのレポートも今回が最終回。「千の窓の町」と呼ばれるベラティと、アドリア海に面した港町デュラスを紹介します。ベラティはアルバニア屈指の人気を誇る観光都市で、伝統的な民家が建ち並ぶ立体的な町並みは、世界遺産にも登録されています。一方のデュラスは、古代ギリシア・ローマ時代からの歴史ある港町で、ローマ時代の名前はデュラキウム。カエサルとポンペイウスが激突したデュラキウムの戦いの舞台としても知られています。町の南は美しい砂浜のビーチが広がっており、ホテルが林立するリゾート地区になっています。

「千の窓の町」ベラティ

民家が重なるように建つベラティの旧市街。丘の上はベラティ城

ティラナから南に約2時間。ベラティは「千の窓の町」といわれ、白壁の民家が斜面に並ぶ美しいところ。アルバニアに3つある世界遺産のひとつでもあり、訪れる人が絶えません。ガイドさんに話を聞くと「千の窓の町」という表現は正確ではなく、本来は「窓が重なった町」とのことです。「千の」を意味するアルバニアはニャミイェニャNjëmijenjëで、「重なった」はニャンビニャNjëmbinjë。いつの間にか間違って広まったのではないかと言っていました。とはいえ「千の窓の町」が誤訳とは言い過ぎでしょう。窓が重なるという表現は、民家が上下に重なる様子は表現していますが、どうもこの町のもつ横の広がりが感じられません。実際に町の全景を見てみると、民家が上下にも左右にも数え切れないほどの窓が顔を出し、やはり「千の窓」という表現がしっくりきます。

オスム川の南岸に広がるゴリツァ地区
ベラティの町並み。奥に見えるトモリ山塊は国立公園になっている

ベラティの景色を心ゆくまで楽しむには、下からだけでなく、丘の上に建つベラティ城にのぼらないわけにはいきません。目線が高くなると、町並みばかりでなく、周囲の自然も視界に入り、絶景という言葉通りの眺めが広がっています。
ベラティ城は、城というものの、実際には城壁に囲まれた町で、中には数多くの民家が建ち並んでいます。どの家も1階部分は石造りで、2階が木造。2階の方が1階より広くなっているのも特徴です。ホテルとして利用されている伝統的民家もあるので、ここで宿泊体験もおすすめです。城内にはかつて20の教会がありましたが、現在はずいぶん少なくなってしまいました。とりわけ有名なのは生神女永眠教会。現在はオヌフリ・イコン博物館としてこの地域のキリスト教美術を鑑賞することができます。

1階は石、2階は木で建てられた民家

ベラティ城内にはキリスト教会がありますが、丘の下に広がるマンガレミ地区は、イスラム教関係の建物が多く、なかでもイスラム神秘主義、ハルワティ教団の修道場は必見です。神秘主義とは、形式や律法よりも神との内面的なつながりを深めることを重視する思想で、神との合一を目指して修行に勤しみます。ここはそうした神秘主義教団の修道場で、神秘体験の手段として音楽を用いました。2階にあるバルコニー席は楽器を演奏するための場所です。よく見ると壁にはいくつも穴が開いていますが、音響効果を高めるために意図的に開けられたものです。
修道場のすぐ近くには、オスマン帝国のスルタン、バヤジット2世が建てたモスクもあります。道場と同様にモスクの2階部分にもバルコニーがありますが、ここは演奏ではなく、女性が礼拝する場所。イスラム教では男女は分かれて礼拝を行います。

修道場内部。美しい天井装飾に目を奪われる
曲線美が美しいモスクのバルコニー

ティラナから40分で行けるリゾート地。デュラス

約2万人を収容した円形劇場。地面に埋もれた部分も多い

アドリア海に面したデュラスはティラナに次いでアルバニアで2番目に大きな町。ティラナとの距離はわずか約35km。高速道路で結ばれているので、アクセスも良好です。イタリア南部のブリンデシやバーリ間には国際フェリーが運行している、アルバニアきっての港町。古代ローマの時代からこの地域の海の玄関的存在です。デュラスから東に延びるローマ街道はバルカン半島を横断し、ローマ帝国東の都であるコンスタンティノープル、現在のイスタンブールまで通じていました。当時の繁栄ぶりは町の考古学博物館やティラナの国立歴史博物館の発掘品からも伺い知ることができますが、それを何より雄弁に語ってくれるのは、町に残る巨大な円形劇場でしょう。現在ユネスコ世界遺産の暫定リストに加わっており、将来の世界遺産登録が期待されています。

天使や聖人が描かれた円形劇場内のモザイク

デュラスの円形劇場は全長約120m、約2万人を収容するバルカン半島で最大のもの。現在アルバニア最大のサッカースタジアムが約1万7000人収容ということを考えると、1900年も前の人々がこのような巨大建築を作っていたことに改めて驚かされます。中世になると、円形劇場はキリスト教の礼拝堂として使われたため、キリスト教のモザイク画が描かれました。古代劇場としてはかなりユニークな特徴といえるでしょう。
観客席部分の保存状態がよくありませんが、これは中世の人間が建築材として、石を持っていってしまったためと考えられています。長らく放置され、土に埋もれてしまっていた円形劇場が再発見されたのは1964年。いまだ地中に埋もれている部分も少なくありません。

どこまでも砂浜が続く、デュラスのリゾート地区
屋外プールも備える高級ホテル。ビーチも目の前に広がっている

デュラスの南は、長さ10kmものビーチが続くリゾート地区。紺碧のアドリア海と黄金の砂浜に惹きつけられ、夏はたくさんの観光客でにぎわいます。近年は西ヨーロッパから訪れる人も増え、注目度が年々高まっているところ。それにともない、国際レベルの設備やサービスを誇るリゾートホテルも増えてきました。ビーチ沿いに並ぶホテルの客室からの眺めは抜群! 宿泊者は道路を渡ることなく、ホテルを出てすぐに砂浜にアクセスできます。併設されたレストランで、質の高いシーフード料理が味わえるのも、大きな魅力のひとつです。

前菜にはアルバニア内陸部と沿岸部、両方の料理が並ぶ
獲れたての海の幸に舌鼓を打つ

地球の歩き方A25「中欧」編集スタッフ 平田功

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