サウナの本場フィンランドの最新&人気サウナをタンペレとヘルシンキで体験!

公開日 : 2022年07月28日
最終更新 :
最新のアートサウナ!フィンランドのサウナは多種多様
最新のアートサウナ!フィンランドのサウナは多種多様

Visit Finland(フィンランド政府観光局)主催の現地視察で2022年6月26日~7月2日に首都ヘルシンキと第2の都市圏タンペレを旅してきました。ウィズコロナ時代の旅のハウツーをはじめ、最新のフィンランドを数回に分けてレポート。今回は本場のおすすめサウナとフィンランドのサウナ文化についてご紹介します!

生活に欠かせないフィンランドの聖なるサウナ文化

生活に欠かせないフィンランドの聖なるサウナ文化
部屋でロウリュができるサウナ付きのホテルも!

2020年にユネスコの無形文化遺産に登録されたフィンランドのサウナ文化。人口約550万人の国ながら、サウナの数は300万以上とも言われ、国会議事堂の中にでさえサウナがあるほどのサウナ大国です。タンペレのサウナで隣り合わせた地元女性から聞いた話によれば、昔は出産もサウナで行われ、亡くなった人の遺体もサウナで清めていた聖なる場所だったのだそう。今では日々の疲れを癒やしたり、仲間や家族団らんの場として使われていますが、人生の一部ともいえるほどフィンランドの人々はサウナとともに生きています。

サウナの首都タンペレで一番人気の公共サウナに入ってみた

サウナの首都タンペレで一番人気の公共サウナに入ってみた
フィンランドの住みたい町ランキングの上位に入るタンペレ

フィンランドの首都はヘルシンキですが、「サウナの首都Sauna Capital」として公式認定されているのが、フィンランド第2の都市圏タンペレTampere。テキスタイルの「フィンレイソン」が生まれた工業都市で、フィンランドの首相サンナ・マリン氏の出身地でもあります。最近では2017年にリニューアルしたムーミン美術館が人気を集め、ムーミンファン必訪の町としても知られています。そんなタンペレにはフィンランドで最も古い公共サウナがあるほか、市内に34、郊外に51もの公共サウナが存在し、その数は世界最多!伝統的な湖畔のサウナから、レストランが併設されたクラブのようなおしゃれサウナまで、さまざまなタイプのサウナが揃っています。

奥の黄色い建物がサウナ。1957年から続く歴史ある場所
奥の黄色い建物がサウナ。1957年から続く歴史ある場所

そんなサウナの首都タンペレで最も人気が高いという公共サウナ「ラウハニエミ・サウナ」に行ってみました。平日の昼間にも関わらず地元の人で大賑わいでしたが、ひと目見て人気の理由がわかりました。サウナから湖に直行できて(子どもに大人気の高飛び込みも可能)、岩の上でたっぷり日光浴ができるのです。つるすべな岩肌は直に寝転んでも痛くありません。遠目に見るとなんだかアザラシが並んでいるかのようですが、人もまた動物……と、本能の赴くまま、サウナ→湖→岩、を繰り返しているうちにスッキリ爽快。

大人も子どももみんなで楽しめるラウハニエミのサウナ
大人も子どももみんなで楽しめるラウハニエミのサウナ

更衣室は男女別で、サウナは男女共用が2つ。わりと広めで出入りしやすくなっています。別途予約で、麻やタールのサウナ、プライベートのログサウナも利用可能。年中無休で、冬は寒中水泳ができるのだとか!夏でも相当冷たい湖だったので、冬はいかほどか……。冬に訪れる方はサウナでしっかり温まってからトライしてみてください。

海のような湖。水温は夏でも低めなので飛び込む際は気をつけて
海のような湖。水温は夏でも低めなので飛び込む際は気をつけて

■ラウハニエミ・サウナ(Rauhaniemi Folk Spa)
https://rauhaniemi.net/en/

美術館でサウナ!? 世界初の最新アートサウナに感動

美術館でサウナ!? 世界初の最新アートサウナに感動
フィンランドで唯一モネの絵画がある美術館

タンペレからバスで約1時間半のマンッタMänttäは、毎年夏にアートフェスティバルが開催される芸術の町。19世紀に製紙業でこの町を興したセーラキウス家のアートコレクションを集めたセーラキウスミュージアムが人気です。湖畔に立つ大きな美術館で、19~20世紀の画家の作品が揃うほか、企画展も開催。建物の外には色とりどりの花が咲く美しい庭園が広がり、湖のほとりには石や木を使ったアート作品やインスタレーションが展示されています。

湖のほとりを歩いて敷地内のサウナ施設へ
湖のほとりを歩いて敷地内のサウナ施設へ

この美術館の敷地内に2022年6月にオープンしたばかりなのが、話題のアートサウナ。美術館の敷地内で入れるサウナは、フィンランドはおろか世界でも初めて!フィンランドのサウナ文化は自然と密接に関わっていることから、湖のほとりに立つ自然豊かなこの美術館と融合させようと考えたのがきっかけなのだとか。サウナのまわりにも自然に溶け込むように石のアートが配されていたり、更衣室へ向かう廊下の奥にもカラフルな絵画が飾ってあったりと、期待が高まります。

やさしくやわらかい蒸気でいつまでも入っていられる心地よさ
やさしくやわらかい蒸気でいつまでも入っていられる心地よさ

一般的なサウナは四角い箱型ですが、こちらのサウナは珍しいラウンド型。オークを放射状に組んだモダンなデザインで、美術館の建築家と同じ方が造ったのだそう。箱型よりもゆっくりと時間をかけて水蒸気が広がるので、そのぶんサウナストーンもたくさん積まれています。温度はやや低めに感じましたが、個人的に高温のサウナが得意ではないので、むしろありがたい。窓からは穏やかな湖が眺められ、ずっと入っていても苦しくない居心地のよさ。木の香りとやさしいロウリュの蒸気に包まれて、完全にリラックスできます。

やってみたかったサウナからの湖ダイブ!
やってみたかったサウナからの湖ダイブ!

温まったらサウナを出て、まっすぐに伸びる桟橋から湖へダイブ!太陽の日差しをたっぷりと浴びた湖は冷たすぎず適温で、ほてった体を最高に気持ちのいい状態へと導いてくれます。桟橋の手前には少人数用の温水ジャグジーもあり、まるで日本の温泉のよう。
フィンランド旅行でやってみたいことリストとして、サウナから湖に飛び込む体験を挙げる人は多いと思いますが、その夢はここでかないます!ロケーションといい、デザイン性の高さといい、蒸気のやわらかさや湖の気持ちよさも含めて、大人向けのすばらしいサウナでした。

一流シェフが腕を振るうミュージアム内のレストラン
一流シェフが腕を振るうミュージアム内のレストラン

このミュージアムでもうひとつおすすめしたいのがレストラン。アーティスティックな空間でいただくオリジナリティあふれるメニューはどれも絶品!食事のためにだけ来てもいいくらいのおいしさです。
ぜひタンペレからひと足延ばしてマンッタを訪れてみてください。

■セーラキウス・ミュージアム(Serlachius Museum)
https://serlachius.fi/en/
アクセス: タンペレ駅からミュージアムへのシャトルバスが運行(25ユーロ)
※サウナは2022年7月現在、夏の期間の月曜のみ一般利用可能(10ユーロ)

ヘルシンキのいち押しサウナはフェリーで行くロンナ島

ヘルシンキのいち押しサウナはフェリーで行くロンナ島
©Teemu Lautamies / Sherpa

ヘルシンキにももちろん個性豊かなサウナがたくさんあります。今回訪れたなかでも特に印象的だったのが、ロンナ島のサウナ。ヘルシンキのマーケット広場からフェリーで20分ほどで行ける小島です。1880年代にロシア海軍の機雷庫として、1920年代には機雷除去の基地として、そして戦後は船舶の消磁基地として利用されてきたロンナ島。しばらく手つかずだった後、2017年に公共サウナをオープンさせ、レストランやバーなどもあるレクリエーションアイランドとして生まれ変わりました。

2階建てのサウナ。階下にあるロウリュの蒸気が室内を包み込む
2階建てのサウナ。階下にあるロウリュの蒸気が室内を包み込む

絵になるかわいい建物で受付を済ませたら、水着に着替えてシャワーを浴びてサウナへGO。2つあるサウナはどちらも男女共用です。共用なのですが……裸の方もいらっしゃいました……。なんて開放的……と目のやり場に困ってしまいましたが、フィンランドでは「サウナのなかではみんな平等」という考え方があり、性別や年齢を超越したフラットな関係でいられるのだそうです。周囲の人もそれほど意識している雰囲気もなく、和やかな空間ではありました。

バルト海でクールダウン。夏でもかなり冷たい
バルト海でクールダウン。夏でもかなり冷たい

ロウリュの仕方によっては一気に高温になり、汗がぶわっと吹き出します。この日は会社関係の仲間で訪れたという10名ほどのグループと一緒になり、サウナの中はとっても賑やか。「日本から来たの?僕もいつか行きたいんだよね」などと、隣り合った人と気軽におしゃべりを楽しめるのもフィンランドのサウナのいいところ。

海から眺めるサウナ小屋。のどかな時間が流れる
海から眺めるサウナ小屋。のどかな時間が流れる

たっぷり汗をかいて外に出ると、目の前にはバルト海!夏でも水温は低いですが頭まで浸かってしまえば、冷たさより心地よさが訪れるはず。海から見るサウナ小屋の風景がまたかわいくて、ベンチでビールやロンケロ(低アルコールのジン)を片手にリラックスする人々の姿が眺められます。ロンナ島はフィンランドの首相サンナ・マリン氏のおすすめスポットでもあるのでこちらの記事もチェックしてみてください。

テラス席も人気のレストラン。クラフトビールやワインで乾杯
テラス席も人気のレストラン。クラフトビールやワインで乾杯

サウナのあとは、すぐそばにあるロンナ島のレストランへ。カジュアルな雰囲気ながら味は本格的で、盛り付けもおしゃれです。夕方からロンナ島に渡り、サウナに入ってディナーをして町なかに戻る、というプランがおすすめですが、フィンランドのレストランは提供がとってもゆっくりなので、フェリーの時間をチェックしておくことをおすすめします。

■ロンナ島(Lonna Island)
http://www.lonna.fi/mika-lonna/h

本場のサウナの入り方とロウリュのマナーをおさらい

本場のサウナの入り方とロウリュのマナーをおさらい
似ているようで少し違うフィンランドと日本のサウナの入り方

日本でも昨今のサウナブームに乗って「ロウリュ」が浸透してきていますが、本場のサウナの入り方をおさらいしておきましょう。

1)公共サウナは基本的に水着着用
  裸OKのところもありますが、各サウナのルールに従って。わからないときは周りの人を見て判断。サウナに入る前にはシャワーを浴びて体をきれいに洗いましょう。

2)お尻の下にはサウナシートを敷いて
  サウナの中に入ったら温度が下がらないようドアはきちんと閉めて。お尻の下に敷くサウナシートは通常各サウナに設置されています(リネンや木製の板、使い捨ての紙タイプなど)。板の場合は軽く水で洗ってから使用しましょう。自分専用のシートを持っておくのも◎

3)ロウリュは2回までがマナー
  ロウリュとは、サウナストーンに柄杓で水をかけて蒸気を出し、温度を上げる行為。地元の人によれば公共サウナでは、周りの人にひと声かけて、一度に2回までがマナーなのだとか。ただ、今回さまざまなサウナに入って分かったことは、一度に何回もかけて温度を上げまくるコマッタさんもいるということ。熱すぎて無理!と思わず飛び出してしまったサウナもありました。マナーを守って楽しんでください。

4)温まったら外へGO!
  サウナは団らんの場なので、日本ように無言でじっと我慢比べをする必要はありません。お隣同士、和やかにおしゃべりしながら入ってOK(騒ぐのはNG)。温まったと感じたらサウナの外へ。湖や海があればドボンと浸かってクールダウンしましょう。

1~4を繰り返して、良きタイミングで上がります。ちなみにサウナハットは地元の人はあまりかぶらないようですが、髪の保護になるのと、熱をダイレクトに感じにくいので個人的にはおすすめです。現地で購入すれば旅の思い出にもなりますし。またサウナのなかでは裸足ですが、外の床や岩場が歩きにくいこともあるので、ビーチサンダルもあると役立ちます。

「ととのう」はないけれど……

「ととのう」はないけれど……
自然に身をゆだねて穏やかな時間を楽しんで

日本でよく聞く「サウナでととのう」という表現。フィンランドに同じような言葉や概念はないそうですが、現地の方に説明すると「意味はなんとなくわかる」とのこと。いつの日か「Totonou」がフィンランドで流行る日がくるかも?
フィンランドのサウナはどれも個性豊かで、生活に結びついたすてきな文化。地元の人とおしゃべりしてみたいなと思ったときにもおすすめです。お気に入りのサウナを求めて、各地で入り比べてみるのも楽しいですよ。

次回はヘルシンキとタンペレのおすすめ観光スポットをレポートします!

取材協力
Visit Finland(フィンランド政府観光局) https://www.visitfinland.com/ja/
ヘルシンキ観光局 https://www.myhelsinki.fi/
タンペレ観光局 https://visittampere.fi/

TEXT&PHOTO: 『arucoフィンランド』『地球の歩き方北欧』担当 由良暁世

※当記事は、2022年7月28日現在のものです

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2022年7月28日現在、国によってはいまだ観光目的の渡航が難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.htmlh
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。

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筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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