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「ユーロスター」オランダ・アムステルダムへ! 2018年4月4日から

2018年02月24日

ロンドン・アムステルダム間、最速3時間41分

 イギリスのロンドンと英仏海峡トンネルを経て、フランスのパリ、ベルギーのブリュッセルを結ぶ高速鉄道「ユーロスター(EUROSTAR)」が、2018年4月4日から運行区間を拡大し、オランダのアムステルダムまで直通することになりました。ロンドンとアムステルダム間を最速3時間41分、オランダ第2の都市・ロッテルダム間を最速3時間1分で結びます。ユーロスターの「ロンドン・アムステルダム線」の開業ダイヤなどについて紹介します。

ロンドンからアムステルダムへの直通ダイヤ・運賃は!?

春のオランダといえば、チューリップ! ©iStock
オランダ第2の都市ロッテルダムへ最速3時間1分  ©iStock

 「ヨーロッパ統合の象徴」ともいうべき、高速鉄道のユーロスターを運行するユーロスター社は、アムステルダムへの延長運転(ベルギー・ブリュッセルからオランダ・アムステルダム間)を4月4日から開始すると発表しました。1994年の開業からロンドンと英仏海峡トンネルを経て、パリ、ブリュッセルを結んでいたユーロスターですが、アムステルダムへの延伸で新たなステージに入ったといえます。当初、ロンドン・アムステルダム間は、最速で約4時間10分程度と試算されているという情報もありましたが、途中停車駅を少なくするなどの工夫により、4時間を切るダイヤとなります。

 ロンドン発アムステルダム行きのユーロスターのダイヤは以下になる予定です。

■ロンドン発 → ブリュッセル → ロッテルダム → アムステルダム着
(1)08:31 → 11:19 → 12:32 → 13:12(9114列車)
 *日曜日を除く毎日運行
 *4月27日はロッテルダム止まり
 *4月7日・23日、5月11日はブリュッセル止まり
(2)17:31 → 20:19 → 21:32 → 22:12(9148列車)
 *土曜日を除く毎日運行
 *4月6日・8日はブリュッセル止まり

※上記時刻は、現地時間。イギリスとオランダでは、時差が1時間あります。

 また、ロンドン・アムステルダム間の気になる料金ですが、「35ポンド(約5300円)から」ということです。料金は、乗車券の購入時期や座席クラスの違いなどによりかわってきますので、購入前に確認してください。

ユーロスター EUROSTAR アムステルダム行きは、1日2本!?

ロンドン「セントパンクラス駅」 ©iStock
ユーロスターのロンドン側始発駅 ©iStock

 「アムステルダム発、ロンドン行きのユーロスターはないの?」という疑問が浮かんだ方も多いはずです。答えは、「ありません」。
 4月4日の延伸では、ロンドンとアムステルダムを直通するユーロスターはロンドン発の2本のみ(アムステルダム発、ロンドン行きはナシ)という不思議な運行形態となりました。なぜ、このような「変則的」なダイヤになったのでしょうか。この背景について、考えていきます。

高速鉄道 VS 飛行機 「4時間の壁」を巡る攻防!?

セントパンクラス駅は、優雅な佇まい ©iStock

 「4時間の壁」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。都市間の移動時間が4時間を切れば、新幹線を利用する乗客の方が飛行機より多くなるという現象を指す言葉です。日本でいえば、東京駅から広島駅、北海道の新函館北斗駅あたりが【「4時間の壁」付近の駅(都市)】となります(新函館北斗駅の場合、函館市の中心部へは「はこだてライナー」という列車に乗り換えが必要となりますので、実際には4時間30分前後かかります)。

 新幹線などの高速鉄道は、飛行機と異なり、駅に行って、列車に飛び乗ることも出来る「気軽さ」が大きなメリットです。一方の飛行機は、搭乗時間自体は短くとも、空港が街の中心部から離れているケースが多く、街の中心部から空港までの移動時間、さらにセキュリティーチェックで早めに空港に行かなければならないという搭乗時間以外の「付加時間」が多くなるデメリットがあります。乗客が新幹線利用を選択するかどうかは、実際の乗車(搭乗)時間ではなく、街の中心から移動先の街の中心部までの「トータルの移動時間」として4時間を切るかどうかが重要になってくるのです。実際に、東京駅から東海道・山陽新幹線で3時間20分の岡山駅までは、圧倒的に新幹線のシェアが高く、4時間の広島駅では、新幹線と飛行機のシェアが拮抗するのだそうです。4時間50分程度の博多駅となると、飛行機のシェアが圧倒的に高くなります。

 今回のロンドン・アムステルダム間は、最速で3時間41分ですから、この「4時間の壁」を意識したダイヤ設定ということが出来るかもしれません。では、なぜ1日2本、さらにロンドン発だけという「変則的」なダイヤになったのでしょうか。

アムステルダム直通ダイヤの不思議!?

ロンドンからアムステルダムへ! ©iStock

 ユーロスター側が「4時間の壁」を意識し、飛行機に対するユーロスターの優位性が高まりそうなのに、ロンドン・アムステルダム間の直通列車が1日2本で、ロンドン発のみなのか・・・。最大の原因は、ヨーロッパ大陸(EU)側からイギリスへの出入国をする際に、パスポートチェック(出入国審査)を必ずしなければならないことと関係があるのです。イギリスはEUから離脱(ブレグジット)することになりましたが、離脱することとは関係なく、出入国には従来からパスポートチェックが必要でした。これは、イギリスが「欧州国家間の国境検査なし」を可能とする「シェンゲン協定」に加盟していないからなのです。

 このため、ユーロスターでは、「駅に行けばすぐに乗れる」という鉄道利用のメリットを享受することが出来ません。ユーロスターでは、発着する駅でのパスポートチェックが必要なため「出発30分前(ビジネスプレミアクラスは10分前)までに、ユーロスター専用ターミナルでチェックインをしなければならない」という列車でありながら航空機のような乗車「ルール」が必要になるのです。このため、ユーロスターの発着するロンドン・セントパンクラス駅、パリ・北駅、ブリュッセル・南駅などには、ユーロスター専用ターミナルが設置されています。つまり、ユーロスターの運行区間を拡大する場合には、電気・信号設備など各国で異なる仕様を列車自体の改良などを行った上で、発着駅に「出入国審査場」を設けなければならないという他の列車にはない高いハードルを乗り越えなければならないのです。

 今回、ブリュッセル南駅からアムステルダム駅までの延伸区間に、出国管理が出来る施設の設置が間に合わなかったために、ロンドン発のみの運行となったようです(出入国審査場の設置にあたって、関係者での交渉が長引いているとか、1日2本の列車のために専用ターミナルを作ることを躊躇しているのかもしれないという話もあるようです)。

 ちなみに、アムステルダムからロンドンへ列車で向かう場合は、アムステルダムとブリュッセル間は「タリス(THALYS)」という赤い外観がトレードマークの高速列車に乗り、ブリュッセルで下車、ブリュッセル南駅構内の出入国審査場で、パスポートチェックを受けたうえで、ロンドン行きのユーロスターに乗り換えなければなりません。ユーロスター社によると、このような「変則的」な運用は、2019年12月頃まで続くとのことです。

アムステルダム発、ロンドン行きのユーロスターは!?

EUROSTAR、THALYSの路線図

 オランダ発の場合、ブリュッセルでの乗り換えが発生するため、アムステルダムとロンドン間は、最短4時間40分となります。直通運転ではありませんので、これまでとあまり変化はなく、「4時間の壁」を大幅に超えます。また、ロンドン発だとしてもセントパンクラス駅でのパスポートチェックがありますので、遅くとも出発の30分前にはチェックインする必要性を考慮すると、実際のところは「最速3時間41分」ではなく、4時間10分以上と見るべきかもしれません。

 このように、往路・復路とも「4時間の壁」を越えてしまうため、ユーロスター社としては、どの程度の需要があるのか見極めようとしているのではないでしょうか。「とりあえず」1日2本の運行からはじめて、利用が増えてくれば運行本数を増やしていくことを考えているのではないでしょうか(こうなった時に、オランダ側の駅にもユーロスターの専用ターミナルが作られて、オランダ発ロンドン行きの直通列車が設定されることでしょう)。

「水の都」アムステルダム ©iStock

 ところで、移動時間が4時間10分程度といえば、東京と函館の新幹線移動のケースに似ているイメージがあります。ちなみに、東京駅と新函館北斗駅を結ぶ東北・北海道新幹線「はやぶさ」号は、1日に10本程度が運行されていますので、ユーロスターのロンドン・アムステルダム間も1日10本程度の本数になっていく可能性を秘めているのかもしれません(ただし、ロンドン・ブリュッセル間の現状のユーロスターの本数は、10便前後)。さらに、現状でロンドン(※)とアムステルダム間の航空便が1日当たり30便前後(年間利用者数400万人程度)なのに対し、羽田(東京)と函館間は10便程度(年間利用者数100万人程度)(※※)ということを考えると、ユーロスターのロンドン・アムステルダム間の列車本数が増えていく可能性を秘めているのではないでしょうか。

(※)ロンドンは、ヒースロ、ガドウィックなどの5空港発
(※※)成田発函館行きの1日1便を除く

 「変則的」なダイヤとはいえ、ロンドンから乗り換えがなくアムステルダムへ鉄道で行けるようになったことは、旅の選択肢が増えるという意味で喜ばしいことです。往路はユーロスターで、復路は飛行機といった使い分けもしやすくなります。東京方面から【「4時間の壁」付近の駅(都市)】の函館間の移動手段では、往路と復路で新幹線と飛行機を使い分けるという行動パターンが生まれ、ツアーなども同様のものが多数設定されています。ロンドンとアムステルダムの関係は、【「4時間の壁」付近の駅(都市)】ということ、鉄道海底トンネルで隔てられているという意味でも東京と函館の関係に似ている(二都市間の旅客人数や都市の規模は違いますが)のかもしれません。

 今回、「変則的」とはいえ、ユーロスターが「4時間の壁」を切る(とはいえない!?)所要時間で、ロンドンとアムステルダム間の旺盛な旅客需要を飛行機から奪いに来たことで、飛行機と鉄道との「戦い」がどのように展開されていくのか、興味深いところです。

■ユーロスター(英語サイト)
・URL: https://www.eurostar.com/

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