【スウェーデン・ストックホルム 旅の最新事情】目で見て、肌で感じる、ストックホルムの観光スポットや交通機関等の現状や変化を在住者がレポート

公開日 : 2021年08月27日
最終更新 :
筆者 : たってぃ
絶景ポイントMonteliusvägen(モンテリウスヴェーゲン)からの夕景
絶景ポイントMonteliusvägen(モンテリウスヴェーゲン)からの夕景

日本はまだまだ残暑厳しい夏を過ごしているところかもしれませんが、ここストックホルムでは連日気温が20度を下回るようになり、まもなく夏に終わりを告げ、これからまさに秋を迎えようとしています。
そんな中、まだまだ勢いが止まるところを知らない新型コロナウイルス。ストックホルムにおいては、初感染が確認された昨年2月末からすでに約1年半が経ちます。そこで、現在の最新状況を、街中の変化とともに、現地からお届けします。

新型コロナにともなう規制

新型コロナにともなう規制
現在も有効なソーシャルディスタンスのポスター

ストックホルムで現在有効な主な規制についてお伝えします。
・ソーシャルディスタンスを保つこと
・混雑を避けること
・飲食店屋内での1グループ9人以上での食事の禁止
・各種イベントや施設、店舗等の収容可能人数の制限
などとなっています。重大な違反が生じた場合、警察はそのイベントを中止したり、あるいは集まった人を解散させたりといった権限を持っています。また罰金が科せられる場合もあります。

観光スポットの様子

観光スポットの様子
週末の午後、多くの人が行き交うDrottninggatan

ストックホルムで最も人通りが多いDrottninggatan(ドロットニングガータン)には、観光シーズンを迎えた夏のはじめは、東京・原宿の竹下通りと思うほど人にあふれていましたが、今は少し落ち着いています。
通りの入り口にはPCR検査や抗原検査を受けられ、旅行用の陰性証明を作成してくれるブースもあります。しかしながら、マスクを身に着けている人はほとんど見ることはありません。マスク着用者は数十人に一人程度というところでしょうか。スウェーデンでは屋内外問わず、マスク着用の義務はなく、現在推奨もされていません。

観光客が戻ってきたGamla Stan
観光客が戻ってきたGamla Stan

少し移動して、Gamla Stan(ガムラ・スタン)に来てみると、こちらも大変にぎわっています。昨年3月頃までは多くの観光客を目にしていました。それ以降、ここは昼間でも人通りがなく、観光客目当てに軒を連ねる土産店や飲食店は一時閉店したりもしていて、とても殺風景な雰囲気がありました。昨年の夏はもちろんのこと、クリスマス前には「気軽に旅行に行けるのはスウェーデンぐらい」ということで他国から訪れていた観光客に出会うことはありましたが、今ほどの人出が戻ってきている雰囲気はありませんでした。
土産店を営む方に話をうかがってみると、確実に観光客は増えているようで、嬉しそうです。

特に昨年4月、5月頃は街中から人が消えたと表現しても過言ではないほど、人通りはほとんどなく、夜20時を過ぎれば繫華街であっても閑散としていました。ここは本当に首都なのかと思うほど静かでしたが、今は活気を取り戻しつつあります。

エンターテイメント

エンターテイメント
Gamla StanにあるNobel Prize Museum(ノーベル賞博物館)は8月21日から再オープン

ストックホルム市内の美術館や博物館はこれまでに何度か閉鎖に追い込まれながらも、6月1日以降、政府によるビジターの人数制限が徐々に撤廃されたので、 営業を再開し始めました。現在は通常営業に戻っています。野外博物館Skansen(スカンセン)やアミューズメントパークGröna Lund(グレーナルンド)も連日来園者でにぎわっています。
屋内イベント(映画館を含む)においては席が設けられている場合最大300人、席が設けられていない場合は50人、屋外イベントでは同様に600人(スポーツ大会は900人)、3,000人と細かく決められ、1グループ8人まで、各グループ間は1メートル空けるように決められていますが、音楽ライブであったり、演劇の上演であったりとイベントは確実に増えてきています。

飲食店やその他商業施設など

飲食店やその他商業施設など
夏はカフェもレストランもテラス席が人気

カフェやレストランなどの飲食店には、屋内での飲食の場合、1グループ8人までという上限があったり、屋内外問わず各グループ間1メートルの間隔を空けるようにという規制があったりします。一時期、アルコール類提供時間20時まで、閉店時間20時30分と制限されたことがありましたが、6月に1度時間延長されたことを経て、現在は特別なルールはなく、通常営業に戻っています。
また、その他小売店や商業施設、ジムやスポーツ施設などについても一時期客入床面積当たりの上限人数はありましたが、現在は通常営業となっています。店前に行列ができるということはなくなりました。ただ一部、独自で人数制限を設けている店もあります。

交通機関

交通機関
人も少なく落ち着いている週末の地下鉄車内

電車やバス、ボートなどストックホルム県が運営する公共交通機関では、16歳以上を対象に、今年1月にはラッシュアワーに限り、また2月終わりには感染拡大に伴い、終日マスクを着用するように推奨されました。そのため、マスク着用者が一時期急増したことはあります。しかしながら、感染者数減少に伴う規制緩和によって、7月半ばにはマスク着用の呼びかけはなくなりました。
以前と変わらず、ソーシャルディスタンスや混雑を避けるように言われてはいるものの、規制緩和され始めてからは、隣が空席となっていれば、気兼ねなく座る人が増えたように思います。以前まで4人掛けのボックス席に1人、あるいは斜め前に1人座る程度、バスでも2人がけ席では隣にカバンを置いて誰も座れないようにすることを多々見かけました。

空港

空港
暗く寂しい雰囲気を醸し出す空港内部(2020年8月撮影)
利用者や発着便が増え、稼働率が上がっている空港内部(2021年8月撮影)
利用者や発着便が増え、稼働率が上がっている空港内部(2021年8月撮影)

アーランダ空港は現在もターミナル5のみの稼働となっています。昨年8月にここを訪れた際は、利用者はそれなりにいるものの、使用されていないカウンターやセキュリティーチェックがあり電気も消され、暗い印象を受けました。今年8月中旬に訪れた際は、利用客数は多く、昨年閉鎖されていたカウンターも利用されている状況でした。国際線、国内線ともに離発着数も増えているようです。ターミナル内及び航空機内ではマスク着用が必要であるため、マスク着用者は必然的に多かったです。空港内にはPCR及び抗原検査を受けられる場所もあります。ここでは日本入国に対応した陰性証明の作成も可能となっています。

感染者数などの統計及びワクチン接種率

感染者数などの統計及びワクチン接種率
大切な人たちと安心して会える日はいつやってくるでしょうか

公衆衛生庁によると、8月20日現在のスウェーデン全体での累計感染者数は1,116,584名、累計ICU入院患者数は7,669名、累計死亡者数は14,668名となっています。死亡者数は1日1名いるかいないか程度と低い水準で推移しているものの、1日当たりの新規感染者数は1,000人程度、新規ICU入院者数も3名程度と増加傾向にあります。
そのため、冒頭で説明した規制については、9月1日からさらに緩和され、各種イベントの参加・収容可能人数上限を撤廃したり、飲食店における全規制を撤廃する予定でしたが、8月12日、昨今の状況に基づき、政府はこれを見送りたいという考えを示しました。そのため、残りの規制については来年1月末まで延長される予定となっています。しかしながら、これまで撤廃した規制を再導入するような状況までにはいたっていません。

ワクチン接種については、現在スウェーデンでは満16歳以上が可能であり、また一定の条件のもと、必要な場合のみ、12歳から15歳についてもワクチン接種が認められています。ワクチン接種率は8月18日現在で、満18歳以上の国民のおよそ80%が1回目を、そのうち63%が2回目の接種を完了しているところです。8月から開始されたばかりの16歳、17歳については、1回目の接種完了が40%、そのうち2回目の接種完了が2%程度で推移しています。

ストックホルム県での新規感染者数のうち、10人中9人が2回目のワクチン接種にいたっていないということで、更なるワクチン接種の呼びかけがなされています。
ちなみに、ワクチンパスの利用については国外旅行時のみに適用され、他国で見られるような国内での導入にはいたっておらず、今後もその予定はありません。

スウェーデンの新型コロナ政策については、これまで多方面から批判されたり、一部国民から反発があったりするのも事実です。しかしながら、スウェーデン公衆衛生庁のAnders Tegnell(アンデシュ・テグネル)疫学者の確固たるエビデンスを提示しながらの説明や、その場しのぎではない長期目線での計画を信頼し、ここまでやってきました。実際のところ、彼の言葉を信じて、ここまで行動してきた国民がほとんどではないでしょうか。これまでもこれからも、結局は国民1人1人の自己責任と自己判断での行動にかかっているように思います。

スウェーデン全体では、昨年も夏に向かうにつれて減少傾向にあった感染者数も、9月中旬から再び上昇傾向の一途をたどっていました。今年も昨年同様、これから更なる増加傾向になると予想されます。果たしてどうなるか、専念場を迎えつつあるスウェーデン・ストックホルムからのレポートでした。

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※当記事は、2021年8月23日現在のものです

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◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

筆者

スウェーデン特派員

たってぃ

2017年スウェーデンに移住。皆さんに読み込んでいただけるようなブログを目指してストックホルムの旬や”瞬”をお届けしていきます。

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