南イングランドの美しい村とロンドンの街が、映画『プーと大人になった僕』の舞台に

公開日 : 2018年09月14日
最終更新 :
『魔法の場所』の撮影はアッシュダウンの森のピッピングフォード・パークで
『魔法の場所』の撮影はアッシュダウンの森のピッピングフォード・パークで

物語『プー横丁にたった家』のラストでは、クリストファー・ロビンの少年時代の終焉、プーとのほろ苦いお別れが描かれていました。映画『プーと大人になった僕』では、「100歳になっても忘れない」と約束したあの日から長い歳月が経ち、大人になったクリストファー・ロビンは、仕事に追われ、100エーカーの森の仲間たちと過ごした時間の大切さを忘れてしまっていました。そんなときプーさんと奇跡の再会を果たします。ふたりを包み込む、昔と変わらない南イングランドの自然とプーさんと仲間たちとの友情が、感動への旅に誘います。

100エーカーの森の仲間たちにはモデルがいた!

100エーカーの森の仲間たちにはモデルがいた!
100エーカーの森の仲間たちは数十年を経ても変わらない

『くまのプーさん』は、 アラン・アレキサンダー・ミルン(1882-1956)によって90年以上前に生み出されました。当初は彼の息子であるクリストファー・ロビン・ミルン(1920-1996)のために書かれた物語で、舞台はミルン家の別荘があったハートフィールド村です。登場する少年クリストファー・ロビンはもちろんのことプーさんと仲間たちは実際にあったぬいぐるみたちがモデルになっています。なお、ぬいぐるみたちは、現在ニューヨーク公立図書館に所蔵されています。
また、「Winnie-the-Pooh」の“Winnie”という名前ですが、ミルンの息子クリストファーのお気に入りだったロンドン動物園の雌熊「ウィニー〔ウィニペグ〕」に由来しています。そして、そのウィニーは、第一次大戦中、陸軍獣医のハリー・コールボーンによって、カナダからイギリスに連れてこられ、ロンドン動物園に寄贈された熊で、ウィニーという名前は、陸軍獣医の出身であるウィニペグという地名から取られたものでした。

ロンドンの南に100エーカーの森は実在する!

ロンドンの南に100エーカーの森は実在する!
アッシュダウンの森の入口にある『プー棒投げ橋』 @istock

物語のあの風景がそのまま残されている場所がロンドンの南にあり、「プーカントリー」と呼ばれていることをご存知でしょうか。クリストファー・ロビンやプーさんと仲間たちに実際のモデルがいたように、物語の舞台となる「100エーカーの森」も、イーストサセックスにあるアッシュダウンの森のなかにある500エーカーの森と呼ばれる場所がもとになっています。挿絵を描いたアーネスト・ハワード・シェパード(1879-1976)が、実際に現地を歩いて忠実にスケッチしてくれたおかげで、私たちは、『くまのプーさん』の世界を体験することができるのです。

アッシュダウンの森にはミルンとシェパードのメモリアル・プレートがある
アッシュダウンの森にはミルンとシェパードのメモリアル・プレートがある

本作の撮影ですが、ロンドン郊外のシェパートン撮影所および英国の各地で行われています。例えば、プーさんと仲間たちが暮らす100エーカーの森は、500エーカーの森のあるイーストサセックスにあるアッシュダウンの森だけでなく、(5月のロイヤル・ウェディングも記憶に新しい)ウィンザー・グレート・パークもロケ地となっています。「この森は、自然や遊び時間を発見すること、そして、じっくりと時間をかけることほど大切なことはないのだというコンセプトを象徴している」と語るマーク・フォスター監督は、ミルンの本の世界を忠実に再現すると同時に、クリストファー・ロビンの家族が暮らす、現実の世界としてのロンドンの街との明確なコントラストを描き出しています。

ウィンザー・グレート・パークはエリザベス女王の公邸のひとつ @istock
ウィンザー・グレート・パークはエリザベス女王の公邸のひとつ @istock
いなくなった仲間たちを探して森をさまようふたり
いなくなった仲間たちを探して森をさまようふたり

印象に残るこだわり抜かれたロケ地のあれこれ

印象に残るこだわり抜かれたロケ地のあれこれ
ウィンズロー・エンタープライズの外観となったロンドン大学の中央図書館 @istock

屋内シーンの撮影では、シェパートン撮影所に多くのセットが組まれましたが、20世紀半ばのロンドンの風景を再現するために、さまざまな場所がロケ地になっています。たとえば、チェルシー王立病院の正面玄関がクリストファー・ロビンの寄宿学校の外観となり、大人になったクリストファーが勤める会社ウインズロー・エンタープライズの外観は、 ロンドン大学(先端研究所)の中央図書館セネット・ハウスが使用されました。

ダラムにあるハウンズギル高架橋
ダラムにあるハウンズギル高架橋

プーさんが赤い風船を買ってもらうロンドンの鉄道駅は、1994年に閉鎖された元鉄道駅で、ドーバー港にある客船ターミナルを利用して撮影が行われました。クリストファー・ロビンの実家がある田舎駅は、イーストサセックスにあるシェフィールドパーク駅(ブルーベル鉄道)がロケに使用されています。また、クリストファー・ロビンとプーさんが列車に乗ってイーストサセックスの実家に向かうシーンでは、ダラムにある美しいハウンズギル高架橋が登場します。

アーチが美しいランベス橋越しに見る国会議事堂 @istock
アーチが美しいランベス橋越しに見る国会議事堂 @istock

クリストファー・ロビンを乗せたダブルデッカー(二階建てバス)が国会議事堂の前を通り過ぎるシーンでは、ロンドンのランベス橋がロケ地として使用され印象的なシーンになっています。

お互いが必要としたときに奇跡の再会が!
お互いが必要としたときに奇跡の再会が!

ロンドンのクリストファー・ロビンの家(外観)は、保護指定地域であるメリックスクエアのエリア内にある1930年代に建てられた都市住宅が使用されました。クリストファー・ロビンとプーさんの感動の再会の場所を下のGoogleマップでチェックしてみてください。

STORY

STORY
クリストファー・ロビンの娘マデリンと一緒にロンドンへ向かうプーさんと仲間たち

大人になったクリストファー・ロビンは家庭を持ち、ロンドンで暮らしていたが、仕事のために家族との時間を犠牲にしていた。そんなある日、子供時代を一緒に過ごした100エーカーの森の仲間たちと奇跡の再会を果たすが、クリストファー・ロビンは森に忘れ物をしてしまう。親友の忘れた本当に「大切なモノ」を届けるために、プーさんと仲間たちは森を飛び出し、ロンドンへと向かう。

■タイトル:『プーと大人になった僕』
■原題: Christopher Robin
■監督: マーク・フォスター
■出演: ユアン・マクレガー、ヘイリー・アトウェルほか
■公開: 2018年9月14日(金)全国公開
■配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン
■コピーライト: ©2018 Disney Enterprises, Inc.
■公式サイト: https://www.disney.co.jp/movie/pooh-boku.html


筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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