い草から畳作りを 広島・福山市 継承会が初の植え付け

公開日 : 2019年03月26日
最終更新 :
畳の香りのする和室に気分も落ち着く ©iStock
畳の香りのする和室に気分も落ち着く ©iStock

 「備後畳表」の産地として知られる広島県福山市で2018年12月1・2日、い草の植え付けが行われました。畳表の技術継承や普及を目指し、研究者や関連業者らで同年4月に発足した「備後表継承会」(会長・佐藤圭一福山大建築学科教授)のメンバー2人も参加し、1本1本丁寧に苗を植えていきました。

父が開発した機械で織り上げた備後中継表を手にする佐野達哉社長=広島県福山市の佐野商店で
父が開発した機械で織り上げた備後中継表を手にする佐野達哉社長=広島県福山市の佐野商店で

 い草を生産する農家は現在、広島県内に2戸あるのみで、市内には残っていません。「伝統を途絶えさせてはならない」と11年、同市の畳表製造卸「佐野商店」の社長だった故佐野良信さんが栽培を始めました。16年に跡を継いだ長男の達哉社長(33)は「いい畳表を作るためには色がよく、太さがそろったい草が欠かせない」と話します。

 佐野商店が手がけるのは「中継表」と呼ばれる高級品です。一般的な畳表は、1本のい草を先端の細い部分も使うのに対し、中継表は青くて太い部分だけを用い、2本を中央で交差させて織ります。そのため、青々と美しく、ふっくらと仕上がるのが特徴です。江戸時代には幕府への献上品とされ、今でも国宝や重要文化財の寺社仏閣、城で使われています。

 中でも最高級品の「中継六配表」は畳の目が最も多く、幅が広いため、手織りでは1枚仕上げるのに2、3日を要します。良信さんは12年に織機を開発し、これを3時間に短縮。価格も5分の1に抑えることに成功しました。

 父の遺志を継いだ達哉社長は、継承会の副会長としての活動にも力を入れます。「備後表は地元の誇りだが、知名度はまだ低い。まず地域の人たちに親しんでほしい」。2日がかりで植えた苗は19年7月に収穫され、やがて備後畳表として出荷される予定です。

 この記事は、全国商工会連合会が地域活性化のキーマンとなる若手経営者育成のため開催した「次世代地域リーダー塾」プログラムの中で、毎日新聞記者の指導を受けて作成されたもので、「地球の歩き方ニュース&レポート」でも掲載しました。
 商工会は、全国1,653カ所の市町村にあり、中小企業の経営支援と地域活性化に取り組んでいる団体であり、全国商工会連合会はその全国団体です。

■全国商工会連合会
・URL: http://www.shokokai.or.jp/

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。