乗り合いタクシー地域の足 広島市 地元主導で町会負担ゼロへ

公開日 : 2019年03月05日
最終更新 :
高齢者には厳しい住環境。乗り合いタクシーで危険度はかなり解消された
高齢者には厳しい住環境。乗り合いタクシーで危険度はかなり解消された

 広島市の最北部に位置し山地の多い安佐北区。弘法大師が開いたとされる福王寺の麓に、緑ケ丘団地があります。最大傾斜30度はあるという急勾配な斜面です。歩いて坂を下るにも転けそうになるほどです。約600世帯が生活します。この町では乗り合いタクシーが住民の足になっています。


 最寄りの鉄道駅はJR可部線の「河戸帆待川。同線は2003年、可部駅以北約40キロが廃止され、住民からの強い要望で17年2月に1.6キロ区間が電化延伸して復活しましたが、それに伴い新設された駅です。乗り合いタクシーの運行も駅の開業と同じ頃に始まりました。

 乗り合いタクシーを運行する福王寺不動坂らくらくタクシー活性化協議会の副会長を務める川本勇二さん(68)はこう思い起こします。

 「団地住民の高齢化が進み、住民からの要望が強かったんです。私は元々地元の社会福祉協議会の事務局を担当しており、その関係で広島市などにかけあいまいした」

 運行には国と自治体から補助がでますが、それだけではまかないきれず、緑ケ丘町内会などの町内会が不足分を負担します。その額を減らすため、利用状況を分析し経路にあるスーパーマーケットの特売日などと照らし合わせるなどして運行日を3日にするなど工夫もしました。運行表の広告収入と停留所の自動販売機の売り上げを、運行費に充てることで、町内会に負担を求めずに続けていくめどがつきました。

 意外な効果もありました。高齢ドライバーによる事故が社会問題化しているなか、免許証を返納した住民が2人いるといいます。

 地方の交通弱者対策は何も広島に限った問題ではありません。広島・安佐北の取り組みは全国のモデルケースと言えそうです。

■福王寺不動坂らくらくタクシー
・営業: 月・水・金曜運行(祝日運休)

 この記事は、全国商工会連合会が地域活性化のキーマンとなる若手経営者育成のため開催した「次世代地域リーダー塾」プログラムの中で、毎日新聞記者の指導を受けて作成されたもので、「地球の歩き方ニュース&レポート」でも掲載しました。
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