海外旅行・観光情報の「地球の歩き方」TOP >ニュース&レポート >旅の情報 >日本 >中国 >岡山 >日本有数の銘石「北木石」の歴史を尋ねて(岡山県笠岡諸島北木島)

日本有数の銘石「北木石」の歴史を尋ねて(岡山県笠岡諸島北木島)

2019年03月28日

石の島(笠岡諸島 北木島)

 日本有数の銘石「北木石」の歴史探訪です。「北木石」のふるさと、笠岡諸島は岡山市から約50km離れた岡山県笠岡市、瀬戸内海に面した港町の沖合いにあります。北木島は、笠岡諸島最大の島で、石の島・花崗岩の島といわれ、大阪城再築に北木島の石が使われました。江戸時代から明治・大正・昭和さらに現代に至るまで、北木石は日本の歴史的建築・建造物・墓石に多くの功績を残しているのです。その石質を認められ「北木みかげ石」の名は、全国に轟いています。また、今から七百数十年前、源平水島合戦の際、平家の英雄が足を止めたことにより脚光を浴び、現在もその住居跡や地名が残っています。

石切の渓谷=アイランドキャニオン

展望台への階段

 北木島は、地域産業資源である「北木石」の石材産地として、昭和30年代には丁場(採石場)が島内に127か所、昭和40年代には石材加工場が約100か所もあり、かつては日本最大の石材産地でした。

 近年は輸入石材の影響により、島内の採石場は2か所にまで減少しています。しかし、地元の石材会社・鶴田石材の採石場は、日本屈指の歴史と景観を誇っていて、現在も良質な花崗岩の「北木石」を産出してます。平成27年には「かさおかブランド」の景観部門にも選出されているのだとか。

展望台で高低差約60mの空中歩行を体験

 この採石場には展望台が設置されており、高さ約60mから「石の渓谷(=アイランドキャニオン)」を一望することができます。運がよければ、石工たちの働く様子を見ることもできます。

北木の桂林(採石場跡)

丁場湖(採石場跡の湖)
採石場後に湧水や雨水が溜まった「丁場湖」

 上の画像は、「北木の桂林」と呼ばれている旧今岡石材の採石場跡です。良質の石材を求めて掘り進め、現在ではその採石場後に湧水や雨水が溜まり「丁場湖」となっています。

 この丁場湖は、北木島の127ヵ所の採石場のうちで一番大きかった採石場で、同時に3社が採石作業をしていました。現在は、湧水や雨水が溜まり、繋がって1つの湖になっています。水深は20mほど。

 正面の崖になった部分が中国の桂林に似ていることから、「北木の桂林」といわれているのです。

石にまつわる文化

石切り唄

 ココでは、「石切り唄」というものもあります。これは、岩盤に共同で煙硝穴(火薬をつめる穴)を掘ったり、矢穴(クサビを打つための穴)を掘る際に生まれた労働歌です。唄のリズムで作業のテンポを決め、共同作業の中で安全を確保するとともに作業効率を高め、また即興で作られた歌詞は、重労働を続ける上での気分転換にも役立ちました。

 このため、唄の上手い人は、しばしばスカウトされ、割増賃金が支給されたのだといいます。しかし、島山にこだましていた石切り唄も機械化が進み、聞かれなくなりました。

 鶴田石材では、島の公民館の方々と一緒に、「石の島」の歴史を支えてきたこの石切り唄を後世へ繋げていくために、行事などで披露しています。多くの方々に石切り唄を知って頂くなど保存活動を行っているのです。

石彫 メビウスの輪

 北木島の豊浦港には、「石彫 メビウスの輪」は設置されています。この作品は平成元年に、北木島大浦地区で開催された第一回かさおか石彫シンポジウムでの作品の一つです。

 このシンポジウムは、石彫作品を現地で公開・制作するイベントで、彫刻家の牛尾啓三氏が1か月間ほど北木島に滞在してこのモニュメントを制作しました。

 「石彫 メビウスの輪」は、北木島豊浦地区のフェリー乗場に設置されており、地元のシンボルモニュメントととして愛され、回りには花壇が整備されています。

日本の文化遺産になれなかった北木石(靖国残念石・大阪城残念石)

靖国神社の大鳥居にも使われた

 北木石は、日本の重要文化財の建物にも多く使用されています。その理由は、北木島では大きく良質な塊の石が採れ、船での運搬が容易だったためです。

 その一例として、昭和8年に完成した靖国神社の大鳥居があります。2本の石材を切り出し、その1本を島より船で運びだしましたが、もう1本は不測の事態に備えて予備として島に残されました。

靖国残念石

 この石は、靖国神社に奉納されなかった残念な石ということで「残念石」と呼ばれています。また、保存状態も決していいとはいえない環境で、この点でも「残念」という意味も込められているのだとか。

大阪城にも使われた

 さらに、北木石は、大阪城の石垣にも利用されました。

大阪城残念石

 大阪城の石垣には、1つ1つどこからきたかが分かるように藩の刻印(写真中央部の印)や石の産地が彫られています。

 大阪城の石垣に、どの藩が多く石を出したかが分かる巨石ランキングがあり、上位3つが瀬戸内海の小豆島・犬島・北木島なのだとか。また、桜門の両脇にある大きな1枚板(竜石・虎石)も北木石です。

 北木島では、大阪城の石垣用の石材においても、不測の事態に備えて予備石を用意していました。刻印をうたれた予備石が海の近くにあり、こちらも「残念石」と呼ばれています。

北木島へのアクセス方法は?

フェリーの海上ルート図

 北木島へのアクセス方法です。笠岡市伏越港発着の大福丸フェリー、金風呂丸フェリーあるいは、住吉港から三洋汽船が運航する定期旅客船を利用する方法があります。

 乗船時間は、約50分です。笠岡諸島を眺めながらの「船旅」で、あっという間かもしれません。フェリーは、北木島の西側の豊浦港と金風呂港、定期旅客船は東側の北木島港(大浦港)と、楠港に停まります。また、船のチャーターも可能なのだとか。

■井笠観光株式会社
・TEL: 0120-23-1805
・営業時間: 9:00~18:00
・定休日: 日曜・祝日

■フェリー時刻表(笠岡市観光連盟) 
・URL: https://www.kasaoka-kankou.jp/access/ferry

お気に入り

※この記事が気に入った方はクリック

このニュースに関連する他のニュース