「安全な今こそ対策を」 山口・宇部市 住民が防災整備呼びかけ

公開日 : 2019年03月27日
最終更新 :
47年前の豪雨で氾濫した厚東川の河原で、防災対策の必要性を話す境憲一さん=山口県宇部市で
47年前の豪雨で氾濫した厚東川の河原で、防災対策の必要性を話す境憲一さん=山口県宇部市で

 日本各地で豪雨や地震が相次ぐ中、山口県宇部市北部の楠地区は幸いにも、半世紀近く大きな自然災害に見舞われずにきました。同地区に60年以上住み、地域の活性化や安全に取り組んでいる境憲一さん(67)は「その分、対策は後れを取っています。今のうちにきちんとした備えることが大切です」と訴えています。

 同市の資料によると、楠地区は1972年7月に梅雨前線の発達による豪雨に襲われ、地域を流れる厚東川が氾濫し、土砂崩れも発生。災害救助法が適用されました。「日ごろから子どもの面倒を見合うなど、当時は近所同士で交流し、助け合いが成立していました。大雨の時にも声を掛け合い、地域全体で迅速な対応ができていました」と境さんは振り返ります。

 しかし、少子高齢化、核家族化が進んだ今は、楠地区でも地元への帰属意識が希薄化しています。宇部市には防災行政無線がまったく整備されておらず、災害に関する情報収集はテレビ、ラジオやインターネットに頼らざるを得ない状況です。境さんは「高齢者など情報弱者に対する伝達手段の確保を急ぐ必要がある」と話します。

 47年前の豪雨で氾濫した厚東川には擁壁建設や護岸工事がなされ、その後氾濫は起きていません。その一方で、地区の緊急避難場所や避難所を住民にきちんと把握してもらったり、地域防災組織を作ったりといったソフト面の整備は進んでいません。特に中山間地域を抱える楠地区は独居老人や母子家庭など避難時に支援が必要となる世帯が多く、被害が拡大する恐れもあります。

 境さんは「地元企業が毎年実施している訓練に地域住民も参加するなど、今の時代に即した連携方法を探っていきたいです」と意欲をみせています。

 この記事は、全国商工会連合会が地域活性化のキーマンとなる若手経営者育成のため開催した「次世代地域リーダー塾」プログラムの中で、毎日新聞記者の指導を受けて作成されたもので、「地球の歩き方ニュース&レポート」でも掲載しました。
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