アフターコロナ時代の旅スタイル。オンラインツアーとその先の旅とは?<後編>~進化するオンラインツアー~

公開日 : 2021年10月29日
最終更新 :
ライブ中継で世界中の風景を、空気感と共に。写真はサバンナ
ライブ中継で世界中の風景を、空気感と共に。写真はサバンナ

新型コロナウイルスをはじめとした感染症のリスクとどう向き合い、どのように旅をしたらよいのか? 「新しい生活様式」につづき、「新しい旅のスタイル」を模索するべく、編集部がその道のプロにインタビューし、アフターコロナ時代の旅スタイルをさぐっていきます。今回も前編に引き続き、多数のオンラインツアーを展開しているエイチ・アイ・エスさんに、オンラインでできる新しい体験やサービスについてうかがいました。

オンラインツアーが、旅先選びの手段になる!?

オンラインツアーが、旅先選びの手段になる!?
エイチ・アイ・エスの八幡さんにオンラインツアーのこの先を伺う

今回も、取材にご協力いただくのは、エイチ・アイ・エス本社Online Experience本部長の八幡正昭さんです。2020年までニューヨーク支店に駐在後、東京の本社に戻りオンラインツアー事業を積極的に展開されています。後編となる今回は、世界61拠点に展開しているエイチ・アイ・エスさんの力を生かし、一般的なオンラインツアー以外にも新しいサービスを展開しておられる、その内容についてうかがいました。

編集部 
これから先、オンラインツアーはどんなふうに利用されていくのでしょうか?

エイチ・アイ・エスさん 
オンラインツアーがコロナ禍の収束前ではリアルな海外ツアーの代替とすると、収束が見えてきた頃には海外旅行の予習や下見として活用されていき、さらに渡航制限が解けた後にはまったく別の目的に使われる可能性があると考えています。その頃には、お客様の旅先選定の手段のひとつとして、オンラインツアーがあるのではないでしょうか。そうした予測と共に、当社ではお客様と3つのテーマを柱としています。まず、1つ目はいままでにお話しした従来型のオンラインツアーです。そして、2つ目がスキルシェア、3つ目がライブコマースとなります。

一対一で体験できる「世界の占いシリーズ」

一対一で体験できる「世界の占いシリーズ」
世界の人気占い師のオンライン鑑定を通訳付きで受けられる

編集部 
まず2つ目の「スキルシェア」とは、どのような旅なのでしょうか?

エイチ・アイ・エスさん
今までの当社の知識や経験(=スキル)を活用し、「新しい体験」としてお客さまにオンラインで提供することでしょうか。いま最も人気があるのは、「世界の占いシリーズ」です。約50コースほどありますが、一番人気はインドのジャイプールで25年間占いを続けている占星術・手相占い師のラブ氏のプログラムです。彼は25年間で、全世界の5万人以上の人々を占っています。ラブ氏とライブで繋がり、完全プライベートでの占いを提供します。当社の日本語通訳がつくので言葉の心配は必要ありません。参加者の口コミも一番多いですね。他にも、チベットの高僧占いや台湾の文鳥占いなども行っています。

編集部 
オンライン占いは以前からあるようですが、海外と繋いで展開するのはあまりなかったようですよね。

エイチ・アイ・エスさん
私たちも実際に海外に行くツアーで、占いメインで提供するというものは今までありませんでした。そういう意味では、コロナ禍の下で今まで気づかなかったサービスを掘り起こしたと言えるでしょう。

あの人気の現地ガイドを指名したい!

あの人気の現地ガイドを指名したい!
人気ガイドのサファリツアーはリピートされる方も多数!

編集部
オンラインツアーをたくさん展開することで、何か新たに見えてきたことなどありますか?

エイチ・アイ・エスさん
想定外だったのが、多数あるオンラインツアーの中から、現地のガイドにヒーローが出てきたことですね。実際にリアルな旅で現地ガイドさんは黒子的な存在になります。しかし、オンラインツアーを続けるうちに、「現地の〇〇さんに会いたい」とか、「現地の〇〇さんが面白い」とかいうお客様の反応が生まれてきて、名物ガイドが登場するようになったのです。そしてそのガイドさんが案内するオンラインツアーにリピートする人が出てきました。

編集部 
添乗員さんを選べる海外ツアーはありますが、現地ガイドさんを選べるなんて画期的ですね。

エイチ・アイ・エスさん
そうですね。ですから例えばオンラインツアーでお客様が現地ガイドとつながった後に、より体験の価値を上げるためにリアルな旅行に行くことも考えられます。お客様にとっても、まったく知らないよりも、すでにオンラインで会ったことがある現地ガイドさんの方がより安心ですよね。そういったことから、あらかじめ現地ガイドさんを指名できるツアーが生まれるかもしれません。オンラインツアーを入口に、オーダーメイドの特別なツアーが生まれる可能性もあるでしょう。

現地スタッフとライブでお買い物

現地スタッフとライブでお買い物
ライブ中継で購入したものが手元に。写真はロイヤルハワイアン

編集部 
そして3つ目のテーマが「ライブコマース」ですね。

エイチ・アイ・エスさん
動画のライブ配信とオンライン販売を組み合わせたのを「ライブコマース」と言っています。現地スタッフがライブ中継で商品を紹介し、視聴者がそれを購入する、というものです。単なる買い物代行サービスではなく、現地スタッフとライブでつながって買い物していただき、商品のお届けまで直接当社のスタッフが間に入っています。女性層を中心にしたもので、参加者数の伸び率では一番かもしれません。

編集部 
どういった国々で実施されているのでしょうか?

エイチ・アイ・エスさん
メインとなる地域では、ハワイ、バリ、アメリカ(本土)などですね。売れているものは、アメリカではエコバッグ、ハワイならサーフボードやクッキー、バッグなどです。

その昔に訪れた国、思い出の街にオンラインで

その昔に訪れた国、思い出の街にオンラインで
思い出の街に訪れてみたい。写真はオーストラリアのメルボルン

編集部 
オンラインツアーの人気は今後も続いていくということでしょうか?

エイチ・アイ・エスさん
リアルな海外旅行が再開してもオンラインツアーが減ることはないでしょうね。そもそもリアルな海外旅行の在り方が、コロナ終息後では別ものに変わっているでしょう。今後は安心・安全なツアーを実施することはもちろん、旅行会社には衛生面に特化した情報提供を行う必要があると思います。その点オンラインなら、リアルタイムな現地情報をご提供できますし、旅行前の下見や予習としてさらに活用されていくでしょう。

編集部 
オンラインツアーの役割そのものも変化していくということですね。

エイチ・アイ・エスさん
その昔に訪れた思い出の地へまた行きたい、かつて駐在していたところに訪れたい、という方もいらっしゃいます。そうした場所へのリピートもオンラインツアーなら敷居が低く、実際に参加される方も少なくありません。

自然現象の感動を、家にいながら体験。写真はカナダのオーロラ
自然現象の感動を、家にいながら体験。写真はカナダのオーロラ

編集部 
この先のオンラインツアーの進化形を教えてください。

エイチ・アイ・エスさん
そうですね。例えばテクノロジーの導入により、より没入感が得られるものを目指すほか、テーマで集うコミュニティーの創出などを考えています。また、旅行者のご意見やクチコミなどを参考にしながら、オンラインでは未公開の国や地域、自然現象などのコンテンツの開発を、ぜひとも実現していきたいと思っています。

編集部
楽しみにしております。ありがとうございました。

お話をうかがった方
エイチ・アイ・エス本社
Online Experience本部
本部長
八幡正昭

エイチ・アイ・エスの八幡さん
エイチ・アイ・エスの八幡さん

今回、お話しをうかがってよくわかったのは、オンラインツアーは、それ自体でさまざまな体験ができ、また、実際に旅行にはハードルが高い国や、思い出の地に気軽にリピートする手段としても有効ということでした。アフターコロナの時代には海外旅行は、従来の旅行スタイルだけでなく、オンラインという別のチョイスも並行して行われるようになりそうですね。引き続き編集部では、リアルとオンラインの旅の進化形を探っていきます。

こちらもご覧ください
≫≫≫(関連記事)アフターコロナ時代の旅スタイル。オンラインツアーとその先の旅とは?<前編>~どこでもLIVE~の記事はこちら

取材記事:前原利行/構成:地球の歩き方編集部
画像提供:株式会社エイチ・アイ・エス/©istock

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筆者

地球の歩き方書籍編集部

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