「除菌・ウイルス対策のプロ」に聞いてきました!アフターコロナの旅スタイルとは?~海外・国内旅基本編~

公開日 : 2021年08月02日
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新型コロナウイルスをはじめとした感染症のリスクとどう向き合い、これからどのように旅をしたらよいのか? 「新しい生活様式」につづき、「新しい旅のスタイル」を模索するべく、編集部がその道のプロにインタビューし、アフターコロナ時代の旅スタイルをさぐっていきます。
今回は「おもてなしのプロが使う無臭除菌スプレー」をはじめとした商品の原料を扱う“除菌・ウイルス対策のプロ”株式会社島田商店の社長・嶋田淳さんにお話をうかがってきました。

菌とウイルスの違いを知ろう

菌とウイルスの違いを知ろう

編集部:第一弾では、まず基本編として、海外・国内旅行全般に関わる除菌・消毒の知識を授けていただきたいと思います。よろしくお願いします!

嶋田社長:よろしくお願いします! 早速ですが、僕らが日々接する病原体には、「菌」「ウイルス」の2種類が存在します。今は新型コロナウイルスが注目されていますが、旅先にはそれ以外にもさまざまな菌やウイルスがいますよね。それらにまとめて立ち向かう方法をお伝えしましょう。

編集部:確かにそうですね! とても心強いです。ところで、菌とウイルスにはどんな違いがあるのでしょうか?

嶋田社長:菌は、適切な環境下に置かれると自分で増殖できる生物。夏など、高温多湿の場所で栄養を得て活発に活動するものが多いです。一方、ウイルスは動物を介して増力するもので、生物として分類されません。空気に乗って漂う感染経路もありますので、冬など乾燥しているシーズンや場所において流行します。大きさも全然違うんですよ。菌が運動会で転がす大玉だとしたら、ウイルスはピンポン玉~石ころサイズですね。

編集部:それは知りませんでした! 季節や気候によって、注意すべき菌やウイルスは変わるわけですね。そんな多種多様な病原体から身を守るために、私たちが気をつけるべきことは何でしょうか?

嶋田社長:何よりも大事なのは、菌やウイルスを体に残さないことです。そのためには、こまめに手を洗うこと。それから、商業施設などの入口に設置されている消毒液は、ワンプッシュしっかりと使うこと。あれはね、量が足りないと消毒できないんですよ。手を洗えないときは、ハンドジェルや除菌・消毒シートを使いましょう。ウイルス自体は対策をきっちりすればさほど恐れる強敵ではないので、正しい方法で対策すれば不活化も可能です。

編集部:正しい消毒の知識をもつことが大切なのですね。やはり、菌やウイルスは手から口へ入るパターンが多いのでしょうか?

嶋田社長:そうですね。不特定多数の人が触るものを自分も触って、その手で何かを食べたり目をこすったり、というパターンが多いと思います。菌もウイルスも、自分の服や皮膚にただついているだけなら何も悪さはしません。体内に入り込んでしまうことが問題なんです。だから、目、鼻、口という粘膜を守ってください!

編集部:肝に銘じます!

機内や乗り物で気をつけるポイント

機内や乗り物で気をつけるポイント
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編集部:では、アフターコロナの旅を想定した質問です。まず、飛行機の中ではどんなことに気をつけるべきでしょうか?

嶋田社長:飛行機に乗るときは、加湿を忘れずに! 空気が乾燥している機内は、ウイルスが飛びやすい環境なんです。必ずマスクをして、少しずつでよいので水分を取り続けて、喉を乾燥から守ってください。あとは、トイレなど不特定多数の人が利用する場所を自分も触ったら、手洗いを忘れずに。僕も先日仕事で飛行機に乗りましたが、3人掛けの真ん中の席はすべて空けられていましたし、航空会社の対策が見て取れました。

編集部:では、日本や旅先で公共交通機関を利用する際にはどんなことに注意すればよいでしょうか?

嶋田社長:基本的にはどんな場所にも同じことが言えますね。つり革など、不特定多数の人が触る場所を触ったら手を洗う、もしくは消毒する。対象物を拭くよりも、自分が菌やウイルスを体内に取り込まないことが大事です。

編集部:日本であれ海外であれ、どんな場所でも基本的な心構えは変わらないのですね。

ホテル選びのアドバイス

ホテル選びのアドバイス
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編集部:それでは、宿はどうでしょう。衛生管理のプロの視点から、ホテル選びのアドバイスをいただけますか?

嶋田社長:混雑する場所や、歓楽街のホテルは避けたほうが無難です。また、感染の危険があるビュッフェ形式ではなく、オーダー形式の朝食を提供しているホテルがいいと思います。それから、ウイルスは乾燥を好むので、部屋を加湿できるかどうかも大きなポイント! 加湿器が客室に備えられているか、レンタルできるホテルならなおよし、ですね。

編集部:これからの旅は、宿選びの基準もがらりと変わりそうですね! それでは、実際のホテル滞在中にできる衛生管理術を教えていただけますか?

嶋田社長:ロビーにトイレがあるなら、部屋に入る前に手を洗うこと! あとはエレベーターのボタンやドアノブなど、不特定多数の人が触れる場所を触ったら、その都度手を洗うことですね。あっ、今思いつきましたが、日本からラップを持っていって、ドアノブやテレビのリモコンにぐるぐる巻いて使う、なども効果がありそうです。

編集部:ラップなら、どの家庭にもありますもんね! 参考になります。ホテルの場合、館内施設を利用することも多いと思いますが、注意すべきポイントはありますか?

嶋田社長:館内施設とはちょっと違いますが、気をつけたいのがタバコ。最近のホテルはどこも禁煙で、館内の一角に喫煙所が設けられていますよね。朝食のあとや、外出から戻ったとき、手を洗わずに一服して菌が口の中へ……!ということのないよう、愛煙家の方々はご注意を!

編集部:タバコは盲点でした……それこそ日頃からの心がけが大切ですね。

食事や観光は時間帯にも気を配って

食事や観光は時間帯にも気を配って
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編集部:さて、旅先ではやはり外食したくなるものですが、お店選びや食事の席で気をつけることはありますか?

嶋田社長:できるなら、食事は屋外で取ったほうが安全です。例えばベンチに並んで座れば、対面を避けて距離を取れますし。カフェやレストランを利用するなら、ピークタイムを避ける、テラス席を選ぶなどの配慮を。

編集部:食事の場では、ひと際注意が必要ですね。では、美術館、博物館など人が集まる屋内施設で気をつけることはありますか?

嶋田社長:屋内施設は、外でのアクティビティに比べて感染リスクが上がります。混雑する曜日や時間帯を避ける、同じ場所に長時間留まらない、誰でも触れる体験展示にはなるべく触らない、こまめに手を洗う、などに注意して楽しみたいですね。

海外での注意点

海外での注意点
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編集部:それでは、特に「海外」旅行において感染の可能性が高いのはどんなシチュエーションでしょうか?

嶋田社長:3つ挙げます。まずは、欧米を中心に見られるハグやキス。直接触れ合うので、当然感染リスクは高くなります。次にスポーツバー。日本でもそうですが、海外のスポーツバーの密集ぶり、大声、盛り上がりはすごいですから! 最後に屋台。水道が備わっていないと作る人も食べる人も手を洗えませんから衛生的ではないですよね……。
(※概して、このようなシーンには消毒しにくい・感染しやすい要素がある、という個人の見解です)

編集部:なるほど。人との触れ合いやローカル体験は旅の魅力ですが、注意が必要ですね。

嶋田社長:そうですね。それから、旅行中の支払いもできるだけクレジットカードを使うといいですよ。現金だと、お金を払うときのやりとりにも接触が発生しますし、そもそもお金そのものには不特定多数の菌がついていますから。我が家では、「お金を触ったら手を洗うこと!」と子供たちに教えています。

編集部:さすが衛生管理のプロ! ちなみに、旅行中のマスクの着用について何かアドバイスはありますか? 「毎日替える」は鉄則かと思うのですが。

嶋田社長:例えばアクティビティを楽しんだあと、土や泥に触れたあと、汗をかいたあとなどこまめに替えると菌の繁殖を防げますよ。暑い国に行くときは特に多めに用意するといいですね。

編集部:参考になります。それでは、旅を終えて帰宅するとき、注意すべきことはありますか? 例えば、帰国便の機内で着替える、帰着後空港でシャワーを浴びる、などは効果があるのでしょうか。

嶋田社長:う〜ん、それはあまり意味がないですね。着替えても菌が消えるわけではないし、こまめに手を洗っていればよい話なので。ひとつ気をつけることがあるとすれば、家に帰る前にスーツケースのタイヤについた泥を落とすこと。一つの例として泥や土に紛れて付着している菌類を落とすためです。ベビーカーなどのタイヤも同様ですね。

編集部:そうなのですね! これまであまり注意したことがなかったので、気をつけます。

おすすめ除菌グッズ

おすすめ除菌グッズ
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編集部:それでは最後に、嶋田社長おすすめの除菌・衛生管理グッズはありますか?

嶋田社長:繰り返しになりますが、何よりも大事なのはこまめな手洗いです。その上で除菌・衛生管理グッズを持っていくなら、成分に着目してもらいたいですね。聞き慣れないかもしれませんが、「PHMB(ポリヘキサメチレンビグアナイド)」という成分が入っているものがおすすめです。

編集部:PHMB!? まさに聞き慣れない名前です。

嶋田社長:PHMBは塩素やアルコールよりも高い除菌力をもちながら、低刺激なので、誰でも安心して使えるんですよ。例えば、うちの「おもてなしのプロが使う無臭除菌スプレー」という商品にも、このPHMBが入っています。臭いや脱色の心配がないのでいろいろなところに使えますし、引火性ではないので機内に持ち込むこともできます。

編集部:ぜひ試してみたいです。今は本当にいろんな除菌グッズが出ていますよね。

嶋田社長:そうですね。逆に、持っていてもあまり効果が期待できないのは、首からぶら下げるタイプの商品。狭い密閉空間では効果を発揮するかもしれませんが、外を歩き回ったらおしまいですよ。除菌・ウイルス対策の成分が風に乗ってどんどん逃げていきますから。

編集部:言われてみれば確かに……。除菌の心構えから、具体的な感染防止対策、おすすめの成分まで幅広く教えていただき、本当にありがとうございました!

お話をうかがったのはこのプロ

お話をうかがったのはこのプロ

株式会社島田商店 
東京本社 代表取締役社長 
嶋田淳

1976(昭和51)年東京生まれ。明治学院大学経営学科卒業後、ニューヨーク市立大学にて経営学を学ぶ。帰国後、株式会社島田商店に入社。主に基礎化学品を扱ってきた同社にて、応用化学品の製品化及び個人消費者向け事業を立ち上げ、並行して株式会社理創研を創業。現在は株式会社島田商店ほかグループ3社の代表を務め、大手ホテルチェーンや冠婚葬祭式場をはじめとした施設の消毒事業を推進するほか、除菌スプレーなどの商品開発にも力を入れている。海外渡航歴25年、仕事やプライベートで世界中を飛び回っている。

▸株式会社島田商店 http://www.shimada-shoten.co.jp/
▸株式会社理創研 http://www.risoken.co.jp/

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インタビューを通して、菌やウイルスを遠ざける方法はとてもシンプルであるとわかりました。除菌グッズを研究するより、物や空間を一生懸命消毒するより、とにかくこまめに手を洗うことが大切。まさに「自分の身は自分で守る」、旅人の心構えに通じるものがありますね。これから少しずつ国内外の移動制限が緩和され、また自由に地球を歩ける日々が戻ったとしても、そこはすでに「アフターコロナ」の新世界。楽しく安全に旅をするために、準備や心構え、現地での過ごし方をアップデートしていきましょう!

▸具体的な旅のシーンを想定し、除菌ノウハウや注意点をご紹介している沖縄旅行実践編も近日公開です!


地球の歩き方編集部 保理江ゆり

◆おことわり
本記事は、2020年7月に取材を行い、地球の歩き方ニュース&レポートに掲載した記事を再掲載しているものです。本記事でご紹介しているサービスや情報等は、今後変更される可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

※初回掲載:2020年07月17日

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