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【世界の主要観光局に聞いたアフターコロナの観光のありかた】第1回 オーストラリア政府観光局 国内旅行を活性化させニュージーランドに次ぐトラベルバブル実施国を模索

2021年09月03日

アンドリュー・ホグ氏

国内外の旅行に関するニュースを徐々に目にする機会が増えてきました。この連載では、世界の主要観光局に自国のコロナの状況やその間の政治的な動き、旅行に関する施策を聞いていきます。第1回はオーストラリアです。

オーストラリアでは規模の異なるロックダウンや州境制限など、厳しいコロナ対策が日々報道されています。コロナ禍の現状やそのなかで行われる取り組みなど、ニュージーランドに次ぐトラベルバブル実施国を模索中のオーストラリアの“今”を伝えます。

話し手:オーストラリア政府観光局 アジア地区・航空担当 副局長 アンドリュー・ホグ氏(Andrew Hogg、Executive General Manager Eastern Markets and Aviation - Tourism Australia)

聞き手:地球の歩き方総合研究所

※インタビューは2021年7月6日に実施されました。そのため、現在の現地状況と異なる部分があることを予めご了承ください。また、文中、文末に一部、●月●日時点でと入れる状況補足をしています。

オーストラリアのコロナ感染の現状

ボンダイビーチ

Q1.それではまずオーストラリアでの新型コロナウイルスの影響をお聞かせください

オーストラリア国内では人々の行動を制限し、ウイルスの拡散を防ぐため、約1年前にロックダウンを行いました。とくに高齢者や基礎疾患があるような感染確率の高い人たちをまずは守りたかったのです。
とはいえ、この間も人々はビーチに行くことや屋外で運動をすることはできました。
私たちはPCR検査を無料で受けることができ、濃厚接触者調査とともに常に感染者との接触を減らす努力をしています。
現在、人々は州を越えて移動ができ、家族や友人を訪ねたり、ビーチに行ったりしています。(*1)

Q2.ロックダウン中のレストランやお店についてはいかがですか?

レストランではテイクアウトが許可されているので、多くの人が利用しています。
また人と人とのソーシャルディスタンスをきちんと確保することで、屋外の席での利用は可能ですし、シドニー近郊で有名なボンダイビーチではコーヒー片手に散歩も楽しめます。

ウルル(通称エアーズロック)

Q3.観光地への影響や現状はいかがですか?

毎年、海外から多くの旅行者がオーストラリアを訪れますが、現状、オーストラリアへの入国は許可されていないため、観光業は大打撃を受けています。
そこでオーストラリア政府観光局としては、「Holiday Here This Year」というキャンペーンを立ち上げ、オーストラリア国民に向けて、国内旅行を活性化させるプロモーション活動を行っています。
オーストラリア連邦政府は、観光業を支援する為に12億豪ドルの予算を投下し、その一部として2021年4月から7月に国内旅行用の航空運賃を約80万枚分半額で提供しました。多くのオーストラリア国民が国内旅行をし、観光による支出が増える事を目的としています。

Q4.ワクチン接種の状況はいかがですか?

ワクチン接種はオーストラリア全地域で開始されており、現時点(7月6日)では、1回接種者は30%をわずかに上回っています。(*2)
1.医療従事者、2.高齢者(養護施設や高齢者施設)を優先し、その後、年代ごとに若年層へと拡大しています。
難しいのは国全体の感染者数が比較的少ないため、接種への関心があまり強くないことですね。SNSなどで告知してもらうよう自撮り用の背景ボードなども接種会場には用意されています。

Q5.マスク着用に関して、ルールなどは設けられていますか?

スーパーや公共交通機関ではマスクを着用する必要があります。自宅や庭では不要です。
オフィスでは消毒液や検温チェックは継続されていて、手を洗うことも習慣化されていて、オーストラリア人にとってはマスクをつけることが新しい常識になりつつあると感じています。

コロナ禍での試みとアフターコロナの旅行

シドニー湾

Q6.コロナ後も続きそうなライフスタイルの変化はどういったものでしょうか?

いままで身近すぎて気が付かなかった「自国を旅すること」でしょうか。
地元のビーチに行ったり、キャンプをしたりという体験を改めてしており、「自国に目を向け、再発見する」ということを学んでいると思います。

Q7.オーストラリアと各国との国境再開に向けてのプランはいかがでしょうか?

ニュージーランドとのトラベルバブル(域内旅行)が開始され、一部制限はありますが両国間双方での自由な移動が可能になりました。最初は混乱もありましたが、いい方向に進む期待が持てるようになりました。トラベルバブルが始まったらその状態を常にチェックし、見届けていくことが必要です。(*3)
私たちはニュージーランドとの往来(トランスタスマン旅行)を年末までに100%に戻すことを望んでいます。
同時に次に再開ができる安全な国を模索しています。候補としては日本、シンガポール、中国、韓国などが挙げられていますが、それぞれの国の感染状況。感染対策、ワクチン接種状況、リスク管理などを常時チェックしています。(*4)
もちろん日本とはできるだけ早期に国境が再開できることを望んでいます。

With Love from Australia

Q8.今後の観光戦略・ロードマップはどうお考えですか?

私たちは「With Love from Australia」というキャンペーンで世界中に向け発信を続けています。これは「私たちは皆さんを愛しています。今は困難だとしてもいずれオーストラリアを訪れていただいた際には歓迎し、お目にかかれる日を楽しみにしています」という意味と共に「希望とまた再びお会いできるまでどうか安全にお過ごしください」というメッセージも含めています。

8D Escape

もう一つは高品質のオーディオを使用した8Dプログラムです。実際にその場にいるかのような、周囲の全方向から音が聞こえてくるように設計されたオーディオ・エフェクトで動画を見ることができます。
オーストラリア政府観光局ウェブサイトや公式YouTubeの「8D」動画をクリックすると
オーストラリアにしか生息しない動物であるクオッカの愛らしい動きや鯨の鳴き声、熱帯雨林の様子などを素晴らしい音で楽しむことができます。

©South Tourism Australian Commission

最近ではTABIPPOのトラベルフェスに参加したり、エルグルメなどのメディアを通じてオーストラリアの食やワインの魅力を発信しましたし、JALチャーターイベントも催行しました。いずれコロナが終息し安全が保障された際に再びオーストラリアの地を訪れていただくためのプロモーションです。
まだまだ皆さんが知らない新しい面をお見せし、旅への意欲を掻き立てる努力をし続けることが大切だと考えています。
また、私たちは50年という長きにわたり日本マーケットとの関係を築いてきました。旅行会社や航空会社を始めとする旅行業界との連携も継続して行ってまいります。

先住民文化を大切に

Q9.今後PRしたい新しいテーマはどういったことでしょうか?

今まで同様にオーストラリア特有の食やワインはキラーコンテンツであることは変わりません。レストランとしては小規模なブティックタイプに焦点を当てていきたいと考えています。
もうひとつはオーストラリアの先住民です。彼らの6万年前の文化は今でも大事に継承されています。ナショナル・リコンシリエーション・ウィーク(国民和解週間*)が7月に開催され、先住民との正しい道を歩み続けていくことを改めて確認しました。
*ナショナル・リコンシリエーション・ウィーク(National Reconciliation Week):先住民族を含むすべてのオーストラリア人の歴史や文化について学び・活動し、よりよい関係を築くための期間

Q10.ワーケーション先としてのオーストラリアについては?

オーストラリアには若い旅行者に焦点を当てたワーキングホリデープログラムがあり、多くの日本人にも活用されています。休日と滞在を融合したワーケーションは素晴らしいコンセプトで、今後発展させていければと考えています。

日本へのメッセージ

世界遺産のタスマニア州フレシネ国立公園

私たちは、オーストラリアという国を本当に誇りにしており、野生動物、食など豊かな自然の中で得られる心の安らぎを皆さんと共有できることを心から楽しみにしています。
私たちはとてもフレンドリーな国民なので滞在中はゆっくりと穏やかにお過ごしいただけることでしょう。
日本からは夜便に飛び乗って翌朝にはオーストラリアの地を踏むことができますので、翌日の昼にはビーチに立っているのではないでしょうか。なんといっても時差はほとんどありませんからね!
日本でもオーストラリアワインやステーキを入手できますが、オーストラリア内での美味しい食やワイン、ウィスキー、ジン、ビールを味わいにぜひお越しください。
例えば、シドニータワーのすぐ隣にあるスターシェフのルーク・マンガン氏が腕を振るう高級レストラン“グラスブラッセリー”では、厳選されたオーストラリアならではの食事、ワイン、サービス、ロケーションすべてを体感していただけます。

私たちは50年以上に渡り、日本市場に積極的に取り組んできました。今後も、日本から訪れる旅行者にオーストラリアの新しい側面を紹介していきたいと考えています。
一度訪れたことがある方もない方もぜひお越しください。私たちは両手を広げてお待ちしています。
私たちは観光によって、人と人との結びつきを強くするためにも他国の文化に触れ、体験してほしいと思っています。それはコロナ禍が終息しても変わりません。
私たちは皆さまとオーストラリアでお会いできることを心から楽しみにしています!

注:
(*1)シドニーおよび周辺地域でのロックダウンを2021年9月末まで実施中(一部規制緩和あり)
(*2)8月25日時点で2回接種者は31.6% (https://www.health.gov.au/sites/default/files/documents/2021/08/covid-19-vaccination-total-vaccine-doses_23.pdf 参照)
(*3)ニュージーランドとのトラベルバブルは、7月24日~9月末(予定)で一旦休止中
(*4)7月30日にオーストラリア政府は「オーストラリアでワクチン接種該当者の80%が2回ワクチンを接種した段階でNZ以外のトラベルバブルを開始」と発表

写真提供:オーストラリア政府観光局

■オーストラリアの観光情報
・オーストラリア政府観光局: https://www.australia.com/ja-jp

■地球の歩き方総合研究所
・URL: http://www.arukikata.co.jp/research/report01.html

※当記事は、2021年9月3日現在のものです

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