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レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年。シャンティイ城で解き明かされる『裸のモナリザ』の謎(フランス・シャンティイ)

2019年08月03日

『裸のモナリザ』展示の様子 ©Domaine de Chantilly

レオナルド・ダ・ヴィンチ没から500年となる2019年は、世界中のあちらこちらでダ・ヴィンチ関連の展覧会が計画されています。フランス・パリ北部にあるシャンティイ城では、所蔵する『裸のモナリザ』を巡る特別展を開催中です。会期は2019年10月6日(日)まで。

シャンティイ城

©Jérôme Houyvet - Domaine de Chantilly

シャンティイは、フランス・パリの北方にある地域で、城とそれを取り巻くシャンティイの森は7,800ヘクタールを超える広さです。長く貴族が所有してきた土地ですが、フランス革命時の被害が大きく、現存する城の大部分は、19世紀に入って再建されたものです。

シャンティイといえば、城に隣接する競馬場も国際的に有名で、シーズンには数多くのレースが開かれます。

また、フランスでシャンティイと言えば、クレーム・シャンティイを忘れてはなりません。これは、ホイップされた甘い生クリームのことです。なぜ、ホイップドクリームがシャンティイと呼ばれるのか。

どうやら、ホイップドクリームを生み出したとされるフランソワ・ヴァテルが、シャンティイ城の支配人であったためのようです。ただし、ホイップドクリームの生みの親と言われる人物は他にも何人かいるので、必ずしも真実ではないかもしれません。

謎の多いデッサン

Atelier de Léonard de Vinci, La Joconde nue, Chantilly, musée Condé, DE-32, ©RMN-Grand Palais domaine de Chantilly-Michel Urtado18-542566

池に優雅な姿を映して立つシャンティイ城には、コンデ美術館(le musée Condé)が入っています。このコンデ美術館が所有する一枚の下絵は、古くから謎めいたデッサンとして知られてきました。

下絵というのは、厚紙に描いた絵の線に沿って細かく穴をあけ、それをキャンバスなどに写しとって使うもので、言うなれば、絵の型紙のようなものです。

描かれているのは半裸の女性の上半身像で、ルーヴル美術館蔵するモナリザに似たポーズをとっています。

Donna Nuda ©The State Hermitage Museum, 2018

この下絵がシャンティイ城のコレクションに加わった当初、この絵は、エルミタージュ美術館の蔵する『裸体の女性(Donna Nuda)』画の下書きだと思われていました。また、当時は、エルミタージュの『裸体の女性』は、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品だと考えられていたのです。

けれども、その後、19世紀に入ってから、エルミタージュの『裸体の女性』は、どうやら工房の弟子による作品らしいということが、明らかになりました。シャンティイの『裸のモナリザ』と似た構図をもつ絵画はほかにも複数あり、いずれも『裸のモナリザ』という通称で知られています。

今回の特別展は、複数の『裸のモナリザ』とともに、シャンティイの下絵を型紙とした作品を初めて一堂に会して展示する画期的な催しです。

ピエロ・ディ・コジモ『シモネッタ・ベスプッチの肖像』1480年頃? ©RMN-Grand Palais (domaine de Chantilly) / Adrien Didierjean

そのなかには、15世紀半ば、フィレンツェ絶世の美女と謳われ、ボッティチェリやピエロ・ディ・コジモが、半裸像を描いたシモネッタ・ベスプッチ(Simonetta Vespucci)の作品なども含まれます。

21世紀の調査が明らかにしたレオナルド・ダ・ヴィンチとの関係

『裸のモナリザ』調査の説明展示 ©Domaine de Chantilly

今回の特別展に先立ち、フランス美術館修復研究センター(Centre de Recherche et de Restaurations des Musées de France)は、2017年秋、赤外線や紫外線カメラを用いてこの下絵の念入りな検査を行いました。それによって判明したことのポイントを並べておきましょう。

まず、この下絵のサイズは、幅56センチメートル×高74.8センチメートルと、現存するもののなかではかなり大きいものです。厚紙2枚を貼り合わせて使っています。どちらの厚紙にも、錨を円で囲った透かし模様が入っており、この模様から、この厚紙は15世紀の終わりにトスカーナ地方とイタリア北部で使用されていたものだとわかります。

下絵を描くのに使われたのは木炭で、ハイライトには鉛白が使われています。また、ハッチングの向きから、作者は、レオナルド・ダ・ヴィンチ同様左利きであったことが分かります。

顔や髪には、ぼかし効果が用いられていますが、これはもちろん、レオナルド・ダ・ヴィンチも得意としたテクニックです。

さらに、左腕や右手の親指、中指には、修正を重ねた跡が見つかりました。このことから、別な作品を模写したわけではなく、この下絵自体がオリジナルの作品であると分かりました。

『モナリザ』と手のデッサンを重ねてみると... ©Domaine de Chantilly

何よりも、『モナリザ』像と重ねてみると、一目瞭然なのが、絵の下部の線の一致です。手の部分は、ほぼそのまま、同じ線を描いているのです。

これらの検証により、専門家たちは、この下絵を描いたのがレオナルド・ダ・ヴィンチである可能性は高いと結論付けています。少なくとも、この下絵が、ダ・ヴィンチの工房で、別な作品の型紙として用いられたことは明らかになりました。

世界が認める稀代の天才レオナルド・ダ・ヴィンチが亡くなって500年。その足跡を辿りながら、謎を解いていく展示、ぜひワクワクしながらシャンティイで辿ってみてください。

■コンデ美術館(シャンティイ城内)
・住所:Chantilly, 60500
・最寄駅:フランス国鉄Chantilly-Gouvieux駅
・開館時間:10:00~18:00(庭園は20:00まで)、夏期(3月末から10月末まで)毎日開館
・URL:http://www.musee-conde.fr/

いかがでしたか。フランス・パリ北部にあるシャンティイ城で開催中の『裸のモナリザ』を巡る特別展を紹介しました。『裸のモナリザ』を眺めながら、ダ・ヴィンチの足跡を辿ってみませんか。

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