アレルギー対応も!洗練されたケーキ「マッド・アバウト・シュクレ」

公開日 : 2016年09月30日
最終更新 :
美しい砂糖細工の花が飾られたウェディングケーキ
美しい砂糖細工の花が飾られたウェディングケーキ

最近人気の美食エリアにたたずむショップハウスの一角。白を基調にした店を窓からのぞくと、美しくデコレーションされたケーキが目に付きます。
シンガポールの女性誌で、ベストウェディングケーキの1位と3位に選ばれたという、美しい砂糖細工のケーキたち。

右の青いケーキが地元女性誌で3位に選ばれたもの
右の青いケーキが地元女性誌で3位に選ばれたもの

こちらの女性パティシエ、レナ(Lena)さんは、銀行員の傍ら趣味としてケーキを焼いていましたが、ケーキ作りへの思いが高じて、フランスで修業し、パリのケーキ店シュガープラムケーキショップでデコレーションをしていたという本格派。レナさんの作るケーキは、見た目が美しいだけでなく、現在10歳になるレナさんの息子が、生まれた時から20種類あまりのアレルギーを持っていたことから、身体によいケーキをと、材料からこだわったケーキを作っています。事前にオーダーすれば、アレルギー対応のケーキも作ってもらえるそうです。ウェディングケーキなどのデコレーションの砂糖細工の部分は、保存しておきたいという人が多いために人工色素を使っていますが、お客さんが口にする部分は、すべて天然色素。フルーツのピュレなどを使っています。


「家族に提供するつもりで作っています」とレナさん
「家族に提供するつもりで作っています」とレナさん

「私のケーキは、ちょっと地味に見えるかもしれませんが、人工色素は体から排出されるのに10年かかるとも言われています。アレルギーの子どもを持つ一人の母親としても、本当に体に良いものを、お客様には口にしてもらいたいのです」とレナさん。小麦粉は無漂白のオーガニック、砂糖も精製されていないもの、使う量もも通常のケーキの30~60%と、甘さ控えめで、日本人の口にも合います。ショーケースに並んでいるのは、選び抜かれた5種類のケーキ。季節限定のケーキ、それに合わせてのティーペアリング(ケーキとセットでS$7.8、単品S$15)も楽しめます。

パッショネ(Passionne、S$12.8)
パッショネ(Passionne、S$12.8)

パッションフルーツとチーズクリーム、ショートペストリーの組み合わせ。
繊細な食感のショートペストリーと、フランス産のチーズのコク、パッションフルーツがすっきりとしたアクセント。サイドには香ばしいカカオニブが添えてあります。
こちらには、フルーティーなカンボジア産のマンゴー、人参、ブラッドオレンジなどの自然な甘い香りのお茶でまとめてあります。

ル・カロー(Le Caillou、S$11.8)
ル・カロー(Le Caillou、S$11.8)

フランス語で小石という意味。ピーカンナッツ、マンダリンオレンジ、ミルクチョコレートの組み合わせに、ほんのりカリブ海のラム酒を利かせています。フランス産のオーガニックの桃とアプリコットのお茶で、フルーティーさとほのかな酸味をプラス。

ココ・シトロン(Coco Citron、S$11.8)
ココ・シトロン(Coco Citron、S$11.8)

ココナッツムースにすっきりとしたレモンクリームを組み合わせた繊細な食感のムース。タルト生地の繊細さも特筆もの。上のキラキラとしたキャンディーが涼しげな印象です。
フランス産のリンゴ、スペインのブルージンジャー、マダガスカルのバニラ、カモミール、カンボジア産の蜂の巣。シンプルな味わいのケーキのアクセントになる、ほのかにスパイシーなお茶です。

サーク・デ・ガヴァーニ(Cirque de Gavarnie、S$12.8)
サーク・デ・ガヴァーニ(Cirque de Gavarnie、S$12.8)

サンザシにライチ、そしてワイルドオーツのムース、オート麦のサブレという組み合わせ。もっちりとしたオート麦の食感にサンザシの程よい酸味が加わり、どこかアジアを感じさせる優しい味で、個人的には一番気に入りました。
フランス産の野バラ、イングリッシュトフィー、アフリカ産のアーモンド、フレンチラベンダーという、花の香りにナッツ系のコクが加わったお茶と共に。
ケーキはどれも甘さ控えめで、とっても繊細な味わい。ぜひティーペアリングと共に楽しんでみてくださいね。

そして、「砂糖に夢中」というような意味の名前と飾られているケーキから、どうしてもケーキが中心のイメージがありますが、実はここの魅力は、同じく素材にこだわった料理の数々。

料理を担当するのは、22年間フランスに住んでいたという、レナさんの兄のエリック(Eric)さん。大手ホテルグループを経たのち独立し、1年半前にこのレストランをオープンするまでは、ホテルのコンサルタントとして働いていました。フランスに長年住む中で、フランス伝統の家庭料理を、友人の祖母や母から学んだといいます。できたての手作りの味を大切にするため、電子レンジを持たない家庭もいまだにあるというフランス。「本当にこだわりのある家では、パンを作るときも、小麦粉を買うのではなく、小麦の粒を確かめてから、それを粉にひいてもらうのです。家族に対してだからこそできる手の込んだ味を、お客様に提供したいと思っています」とエリックさんは言います。もちろん、化学調味料などは無添加。


たっぷりのボリュームに驚かされる
たっぷりのボリュームに驚かされる

料理に使う食材も、冷凍食品は一切使わず、自然のものか、オーガニック栽培のものばかり。「手間もコストもかかるけれど、私たちが出したいものは、家族に対して出すのと同じもの」と語ります。実際に、レナさんの息子も、学校の帰りに立ち寄って、ここで食事を食べて帰ることも多いのだとか。
例えば、天然サーモンのスモーク、エビのグリルのサラダ仕立て(Smoked Wild Salmon, Fresh Grilled Prawns, Greens, Vinaigrette of Calamansi & Organic Honey S$35)。エリックさんが自分でスモークしたという天然サーモン、新鮮な生のエビのグリルを、カラマンシーとオーガニックの蜂蜜ですっきりと仕上げています。滑らかな天然のサーモンは、しつこくないあっさりとした味わい。本当にシンプルな素材のみを丁寧に作っているのが感じられるサラダです。そして、おしゃれな外観に反して、3~4人でシェアできそうな、結構なボリュームに驚かされます。「僕の料理の基本は家庭料理。しっかりと食べていってもらいたい」と語ります。

ワインやお茶とのペアリングも楽しめる
ワインやお茶とのペアリングも楽しめる

また、料理とのペアリングを考えて提供されるワインも、ワイン畑を持つフランスの友人たちから直接買い付けたもので、メインはブルゴーニュとローヌ。グラスでいただけるハウスワインが、フランスの一流ワインというのも、友人との直接の取引だからできること。
お勧めのペアリングは、クロ・デ・カルトロン・アンジュー・ブラン(Clos des Quarterons Anjou Blanc、S$25/グラス)

たっぷりの野菜が溶け込んだスープは、滋味あふれる味
たっぷりの野菜が溶け込んだスープは、滋味あふれる味

本日の自家製スープ(S$14)は、ムルガタニー(mulligatawny)スープ。 鶏肉の優しい出汁に、米のとろみ、そしてほのかにクミンが効いたカレー味。ちょっとエスニックなこのスープは、フランスの家庭でも愛されている味なんだとか。大きいボウルで出てくるので、こちらも3~4人で分けられそう。

自然なフォワグラの味わいを堪能したい方にお勧め
自然なフォワグラの味わいを堪能したい方にお勧め

フランス産フォワグラのアーリオ・オーリオ(Linguine Aglio Olio, French Foie Gras、S$42)は、ガーリックの効いたパスタの中に、たっぷりとフォワグラが混ぜこまれた一品。フォワグラも、自然肥育のものを使っているそうで、そんな心配りもうれしい所。フォワグラの脂が自然なうまみとなってパスタに絡み、フォワグラ好きにはたまらない一品に仕上がっていました。

臭みのない新鮮な魚介類が使われている
臭みのない新鮮な魚介類が使われている

プロヴァンススタイルのシーフードシチュ(Fishermens Bourride, Provencal Style、S$42)は、イラン産の最高級のサフランが香る、自然な味わいのブイヤベース。卵黄でコクを加えたスープには、たっぷりの魚介の旨味が溶け込んでいます。

エリックさんの友人のワイナリーから届くワインたち
エリックさんの友人のワイナリーから届くワインたち
贅沢にブルゴーニュワインを使ったオックステールの煮込み
贅沢にブルゴーニュワインを使ったオックステールの煮込み

オックステールのブルゴーニュワインソース(Classic Slow-Cooked Oxtail, Burgundy Red Wine & Root、S$42)は、ブルゴーニュワインをたっぷりと使って煮込んだほろほろのオックステールで、ワインにぴったりの一皿。ワインも、ブルゴーニュを中心に、フランスの特級・一級畑のワインが揃っていて、料理はすべてペアリングを考えて作られているのもうれしいところ。

クリスマスにはブランデーケーキが人気、とエリックさん
クリスマスにはブランデーケーキが人気、とエリックさん

また、何といっても魅力なのが、温かい接客。もちろん、少ない人数でお店を切り盛りしているので、手が離せないときはありますが、元々ホテルのコンサルタントだったエリックさんらしく、適切なタイミングと距離感で声をかけていきます。
新しいスタッフが入って来た時に、エリックさんが伝えることはとてもシンプル。「自分の家に、大切な友達が遊びに来てくれた時と同じ気持ちでお客さんに接してほしい」。
ただいま、と言いたくなるような温かい雰囲気が魅力の場所です。

ハイティーなどもありますが、「ゲストが好きなものを好きなように選べるのが一番のサービス」と好きなものを選んでセットにするスタイル。

多くの客がリピーターで、名前で呼ばれます。そこで感じたのは、高級リゾートのポリシー。
従業員はゲストを名前で呼び、ゲストが望むことに合わせて、カスタムメイドしていく、ちょうどそんな雰囲気です。

おしゃれな店内ですが、ベビーチェアもあり、スタッフもお客さんも温かい雰囲気、そして、素材から選び抜いた、料理とケーキ。家族でお出かけしたいけれど、小さいお子さんがいて迷っている、子どもにはきちんとした材料で作られた料理を食べさせたい、という方にも、安心してお勧めできるレストランです。リクエストがあれば、事前にぜひ相談を。高級ホテルで培ったホスピタリティーで、きっと応えてくれるはずです。

白を基調とした外観もロマンティック
白を基調とした外観もロマンティック

【データ】
■ マッド・アバウト・シュクレ(Mad About Sucre)
営業時間:12:30~22:00(火曜~土曜)、12:30~17:00(日曜)
住所:27 Teo Hong Road, Singapore 088334
電話: +65 6221 3969
定休日:月曜
最寄駅:MRTオウトラムパーク駅徒歩約4分


筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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