歩いて巡るイタリア・アンコーナ! 観光スポット5か所を効率的に観てまわるおすすめルート(前編)

公開日 : 2018年09月22日
最終更新 :
高台からアンコーナ港北方面を望む。街並の赤茶色レンガが美しい
高台からアンコーナ港北方面を望む。街並の赤茶色レンガが美しい

イタリア人でさえも、あまり訪れたことがないと言われるイタリア・マルケ州のアンコーナ。その歴史は古く、紀元前にまで遡ります。ギリシャ語の”肘(古代ギリシャ語で Ἀγκών:"ankòn)が地名の由来となるアンコーナ(Ancona)は、紀元前387年にギリシャ人によって築かれました。港からすぐの高台には、街の顔となる白亜の大聖堂がそびえ立ち、海沿いから内陸部へと続く街には、そこかしこに歴史を感じる史跡や旧跡があります。実は隠れた観光地アンコーナを半日で、しかも徒歩で巡れるスポットを紹介します。

街と港を見下ろす高台にそびえ立つサン・チリアコ大聖堂

街と港を見下ろす高台にそびえ立つサン・チリアコ大聖堂
青空に生える白亜のサン・チリアコ大聖堂は街のシンボル的存在

まず、イタリア・アンコーナの地形的な説明を簡単にしましょう。日本からの観光客の多くは、観光バスをはじめ、飛行機、列車、船などを利用してアンコーナを訪れます。飛行機を利用する場合、アンコーナ空港からアンコーナの中心部であるチェントロ(Centro)までは、バスで約30分の道のりです。

列車を利用する場合、アンコーナ駅からバスを使ってチェントロへ行きます。なお、アンコーナ駅からチェントロまでは歩けない距離ではありませんが、人通りも少ないですから、日中はともかく日が落ちてからは、バスやタクシーでの移動をおすすめします。船を利用する場合、港がチェントロからすぐの場所にありますので、移動はとても簡単です。

サン・チリアコ大聖堂から見える景色、港を一望
サン・チリアコ大聖堂から見える景色、港を一望

アンコーナに到着するまでの道中、街を包み込むような大きな丘が見えてきます。その丘の上にドンと鎮座するのが、サン・チリアコ大聖堂(San Ciriaco)です。「サン」とは、イタリア語で聖人を意味し、チリアコ聖人を祀ったアンコーナを代表する教会になります。この高台には、もともとギリシャ人のアクロポリスがあり、そこにこの大聖堂が、1017年に建設されました。

夕闇に包まれるサン・チリアコ大聖堂
夕闇に包まれるサン・チリアコ大聖堂

イタリアの各都市には多くの教会がありますが、サン・チリアコ大聖堂の様相は、ほかではあまり例を見ません。様式は、ヴィサンチン様式とゴシック様式のミックス。内部も非常にシンプルな造りで、天井部分には木材が、壁面には白灰色の石材が施され、ほかの教会で見るような絢爛豪華な装いではありません。

だからと言って、淋しい雰囲気かというとまったくそうではなく、厳かで壮大なスケールを感じることができます。まさに質実剛健。アンコーナ人の資質を表しているかのようなイメージです。大聖堂の地下にあたる部分には、6世紀にあった教会の跡や、紀元前の神殿風建物跡も保存されています。

・街の始まりに当たるPiazza Kennedyからの距離:約900メートル
・丘を上がるため、徒歩で15分から20分程度かかります

2,000年前の古代の劇場(円形競技場)が残るカルデート公園

2,000年前の古代の劇場(円形競技場)が残るカルデート公園
公園の高台部分から見下ろした劇場(競技場)全体

サン・チリアコ大聖堂から丘をゆっくりと海沿いに上がって行くと、カルデート公園(Parco del Cardeto)と呼ばれる広さ35ヘクタールのアンコーナでもっとも大きな公園にたどり着きます。

カルデート公園の中には、今は使われていない古い灯台やユダヤ人の墓地などがあります。見どころは、何と言ってもこの海沿いの高台にある劇場(競技場)跡地です。海に面する形で作られ、現在でも修復作業が遅々と行われているようですが、気候のよい時期には、実際に利用されることもあるそうです。敷地内には、およそ2,000年前のモノではない椅子が備え付けられています。

ただ、2,000年前の造作だからといって大事に温存しておくだけではなく、実際にその当時に使われていたのと同じように現在でも利用するという考え方が、イタリアのよいところだなと思わずにはいられません。この公園への入場は無料。警備員もいませんし、自由に見学ができます。

サン・チリアコ大聖堂とアンコーナ湾
サン・チリアコ大聖堂とアンコーナ湾

カルデート公園が混み合うことはまずなく、いつもゆったりとした時間が流れています。サン・チリアコ大聖堂を見下ろすことができる高台にあり、アンコーナが誇るすばらしい景色をゆっくりと楽しめます。

古くから港湾都市として栄え、そのため、常に海側からの攻撃に備えていたアンコーナ。湾から突き出た形状でたたずむこの丘も、要塞としての役目を長く果たしており、現在でも軍事基地があるほどです。

公園内の高台からユダヤ人墓地の方向へと進むと、約1.5キロメートルで公園の東側にあるヴィア モンテネーロ(Via Montenero)へと出ます。

・街の始まりに当たるPiazza Kennedyからの距離:約750メートル
・第1ポイントのサン・チリアコ大聖堂から大聖堂側公園入口まで約350メートル、徒歩で5分程度

アドリア海を望む白亜の慰霊碑があるパセット地区

アドリア海を望む白亜の慰霊碑があるパセット地区
とにかく写真映えするフォルムの美しさ

カルデート公園を出て、東南方面へ歩を進めると、約30分で見えてくるのが、真っ白なモニュメント。アンコーナのチェントロからも徒歩でアクセスできます。このモニュメントの正式名称は、戦没者慰霊碑(Monumento ai caduti)です。戦争で命を落とした兵士達の慰霊のために、ムッソリーニ時代に建立されたものだそうです。ここでは、ひらけたアドリア海のすばらしい景色も堪能できます。

モニュメントの真下には海水浴場も
モニュメントの真下には海水浴場も

モニュメントの真下には、海水浴場があります。夏場になると、海へ向かう地元の人でにぎわうエリアでもあります。モニュメントのあるパセット地区(Pasetto)は、街や海への利便性がよく、古くから高級住宅街として栄え、歴史を感じる邸宅がずらりと建ち並びます。

木々が美しく並ぶヴィットリア通り
木々が美しく並ぶヴィットリア通り

パセット地区から街の中心部へは、美しい並木が1キロメートル以上も続くヴィットリア通り(Via Vittoria)をまっすぐと進んでいきます。道沿いに建ち並ぶ屋敷の様相も美しく、目を楽しませてくれます。

・街の始まりに当たるPiazza Kennedyからの距離:約2,200メートル
・第2ポイントのカルデート公園の東側出口から約1,600メートル、徒歩で25分程度

いかがでしたか。隠れた観光地イタリア・アンコーナを半日で、しかも徒歩で巡れるスポットを紹介しました。後編では、チェントロのメインストリート、通称ガリバルディ通りや、プレビシート広場を紹介します。

■【関連記事】歩いて巡るイタリア・アンコーナ! 観光スポット5か所を効率的に観てまわるおすすめルート(後編)('18/9/22公開)も要チェック!

筆者

イタリア特派員

丹羽 淳子

イタリア、アンコーナ県の海辺の町に住んでいます。毎日を気ままに過ごすことが堂に入ってきました。

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