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【スペイン】美食の神髄は北スペインにあり!知られざる“エスパーニャ・ベルデ”へのグルメ旅

2021年12月21日

美食の地バスクといえばピンチョス!

長らく海外に行けない時期が続いているからこそ、遠く離れた異国の地で、これまでにない旅の経験がしたい、と多くの方が想いを募らせていることでしょう。でも、久しぶりの海外なので、行ったことのある国を再訪するほうが安心かな、と考える人は少なくないかもしれません。そこで、リピーターも満足できるちょっとディープなエリアを探索する旅を、地球の歩き方が提案します。今回はグリーンスペインと呼ばれ、緑豊かな大地の恵みと大西洋岸の海の幸を堪能できる北スペインの知られざる魅力をご紹介。記事の最後には、このエリアを実際に楽しむことのできるツアーのご案内も! どうぞ最後までお楽しみください。

スペイン随一の酪農王国アストゥリアスへ

アストゥリアス州の州都オビエド

情熱の国と呼ばれ、地中海の陽光や灼熱の大地のイメージがあるスペイン。実際、スペインを訪れた旅行者もそれを実感していると思います。ところが、スペイン北部にはそうした印象とは全く異なる地域が存在します。イベリア半島の北岸、大西洋のビスケー湾に沿って東西に連なる4つの州(ガリシア、アストゥリアス、カンタブリア、バスク)はエスパーニャ・ベルデと呼ばれ、西岸海洋性気候で降水量の多い、緑豊かな土地です。

近年は美食の地としてバスクがたいへん有名になりましたが、他のエリアはまだ知名度も低く、訪れる日本人も限定的です。しかし実は独特の自然と歴史に育まれ、また豊かな食文化をもつ魅力あふれる場所なのです。東西に連なるカンタブリア山脈が大西洋からの海風を遮るため一年を通じて降雨量が多く、夏でもあまり暑くならず過ごしやすい気候です。また、北に北大西洋海流という暖流が流れることで冬もさほど寒くはありません。半島中央のような夏暑く冬寒い場所や、南部の灼熱の夏に比べると、本当に過ごしやすく暮らしやすい土地なのです。そうしたグリーンスペインでも、今回はとくに緑豊かで歴史や文化にも独特の背景のあるアストゥリアス州を中心にその魅力をご紹介しましょう。

アストゥリアス州の世界遺産サンタマリア・デル・ナランコ教会

アストゥリアス州はかつて「アストゥリアス王国」と呼ばれ、イベリア半島へ進出したイスラム勢力を退け、レコンキスタの起点となった場所です。南と北とを隔てるカンタブリア山脈が天然の要害となり、イスラムの浸食を押しとどめキリスト教文化圏を守り抜きました。その証ともいえる古式なプレ・ロマネスク建造物が今も残されており世界遺産に認定されています。レコンキスタ終焉の地である南部グラナダに美麗なイスラム様式の建築が残されていることはよく知られるところですが、アストゥリアスのプレ・ロマネスク建造物はまさにこの対局にあるといえます。

その名も“ヨーロッパの頂” ロス・ピコス・デ・エウロパ国立公園

アストゥリアスがスペインでも独特の文化を形成したのは、前述のカンタブリア山脈の北側に位置するという地政学上の理由は大きく、そのなかほどには「ヨーロッパの頂」という名の「ロス・ピコス・デ・エウロパ国立公園」があります。スペインといえば乾燥したラ・マンチャの大地やオリーブ畑が延々と続くアンダルシアの光景が連想され、これぞスペインという印象をもたらしますが、グリーンスペインとも称される北スペインはそのイメージとは全く異なり、山岳部では氷河が形成した渓谷や湖、緑の草原などが広がり、その雄大さに圧倒されるはずです。

この緑豊かな山々では古くから酪農が営まれ、有数のチーズの産地となっています。スペインチーズといえばケソ・マンチェゴが有名ですが、これはスペイン中央のラ・マンチャ地方の産。原料も羊乳です。他方、アストゥリアスでは乳牛の放牧が盛んに行われ、地場チーズがなんと360種も生産されており、これはスペイン随一の豊富さです。このほかにも、山岳部に生息する高山の花々から採れるオーガニックで個性豊かな蜂蜜など、自然からの恵みに富んだ土地なのです。

オビエドの街なかで演奏するバグパイプの楽団

北スペインに古式なキリスト教建築が残されていることは前述しましたが、それをさらに遡るケルトの文化もこの地に継承されており、お祭りにはバグパイプが登場し街を練り歩きます。ケルト文化とバグパイプといえば、アイルランドやスコットランドを連想しますが、これがイベリア半島北部にも残っているのです。ケルト関連の地方との共通項は食文化にもあります。北スペインにはシードラと呼ばれる地酒がありますが、これはフランスのブルターニュ半島の「シードル」(英国ではサイダー)と同種のリンゴの発泡酒です。音楽や酒といった人々の生活に根付いた文化の継承は、アイルランドやブリテン島、ブルターニュ半島、そしてイベリア半島北部へと続く、大西洋岸のケルト文化の連続性を感じさせてくれます。

「プリミティボの道」に建つホタテ貝の道標

アストゥリアスの州都オビエドはまた、サンティアゴ巡礼の発祥の地ともいわれています。フランス方面からイベリア半島西北端の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼路はいくつかのルートがありますが、その最古の道といわれる「プリミティボの道」がオビエドを通っています。南からは古代ローマ時代からの交易路である「銀の道」がのびており、オビエドで交差しています。これをさらに北上すると大西洋岸にいたりますが、この海岸沿いにはサンティアゴ巡礼路の最北端ルートである「北の道」が東西に走っており、中世にはヨーロッパ中の巡礼者がこの地を往来していたのです。

サントーニャのレストランで供されるサーディンの焼物

北岸の巡礼路の話をしたら、海の幸にも触れないわけにはいきません。スペイン北部海岸沿いに住む人なら「スペイン最高の魚介類はカンタブリア海で採れたもの」と言うでしょう。穏やかな地中海とは違い大波がうねる大西洋で育った魚介類は高額で取引されています。魚介類が大好きなスペイン人のなかでも一番の人気メニューはパリリャダ・デ・マリスコス(海鮮BBQの意)で、新鮮なシーフードBBQが大皿に豪快に盛り付けられた姿は圧巻です。海岸線に点在する小さな漁村にあるレストランのテラス席に座って、カンタブリア海の絶景を眺めながら、ガリシア産のフルーティな白ワイン「アルバリーニョ」と一緒に楽しむことをおすすめします。

カンタブリア海で取れる絶品のアンチョビ

もうひとつ忘れてはいけないカンタブリア海を代表するグルメ食材といえばアンチョビです。その昔、シチリア島の漁師達が美味しいアンチョビを作るために最高のカタクチイワシ(アンチョビの材料)を探し求めてたどり着いたのがカンタブリア海であり、アンチョビの聖地といわれるカンタブリア州サントーニャ村ではこの地に移り住んだイタリア人の子孫たちが世界最高のアンチョビを製造しているそうです。地元で水揚げされた新鮮なカタクチイワシを素早くカットし塩漬けにして長期熟成します。熟成されたアンチョビはピンセットを使ってていねいに骨を抜き、オリーブオイルに浸して缶詰/瓶詰されて更なる熟成を行います。高級食材アンチョビは海の生ハムともいわれ、熟成をコントロールするためにスペインでは冷蔵保存が義務付けされる繊細な美食材です。日本では滅多にお目にかかれない貴重なアンチョビを味わっていただきたいものです。

レオンのバルではワインを頼むたびにおつまみがひと皿付いてくる!

こうした自然、歴史そして食などすべてにおいて新鮮な驚きに満ちた北スペインですが、昔日の繁栄は遠い昔のこととなり、現在は静かで緩やかな時間が流れています。アストゥリアスの州都オビエドはマドリードからは電車やバスで5~7時間はかかる距離にあるため、一般のツーリストのルートには組み入れられることは少なく、その魅力に触れる機会も限られていると思います。編集部では、マドリードからあえて陸路にてカンタブリア山脈を越えることで、荒涼としたカスティーリャ地方の台地とグリーンスペインの違い、その雄大さと意外性を発見していただく旅のルートをおすすめ。遠路のため途中、古都レオン(カスティーリャ・イ・レオン州)に1泊しましょう。この町は歴史的価値のみならず、「タパス」文化の中心地のひとつ。ワインを1杯たのむごとにタパスがひとつタダで付いてくるという、食いしん坊には天国のようなバル文化があり、グルメツアーのプロローグとしても気分が上がること間違いなしです。

珍しい牛の生ハム「セシーナ」

美食の町レオンを訪れる際にぜひとも食していただきたいのが「セシーナ」と呼ばれる牛肉の生ハムです。牛のモモ肉を塩漬けして、オークの木で燻製し、その後セラーで長期熟成させたセシーナは、レオンを代表する伝統的なグルメ食材です。長期熟成された高級セシーナはスペイングルメの雄、ハモン・イベリコ・デ・ベジョータ(最高級のイベリコ豚の生ハム)にも劣りません。同州産の赤ワイン「リベラ・デル・ドゥエロ」と合わせるのが地元っ子の粋な食べ方だそうです。日本では未だ知られていない牛の生ハムをぜひお試しあれ。

アルタミラ洞窟の壁画(レプリカ展示)。教科書でもおなじみ

アストゥリアス州からは大西洋岸を東へ進み、カンタブリア州、バスク州へと巡るルートをおすすめします。西のガリシア州に向かえば巡礼路の終着地サンティアゴ・デ・コンポステーラへ到達でき悩ましいところですが、これは「巡礼の旅」として次回の訪問にとっておきましょう。東へ向かう旅路には中世の面影を色濃く残す小さな町サンティリャーナ・デル・マル、グッゲンハイム美術館のあるバスク最大の都市ビルバオなど魅力的な町が点在し、旅のゴールは言わずと知れた美食の地サン・セバスティアン! 大西洋カンタブリア海に面したこのルートは、一般に知られるスペインとは全く異なる絶景が展開され、この国の変化に富んだ、あらたな魅力を知る絶好の機会となるでしょう。

道中、知られざる北スペイン3つのガウディ建築、あるいは先史時代の動物壁画で有名な「アルタミラ洞窟」に立ち寄ったりと、数多くの歴史・文化・芸術に触れることも欠かせません。先史時代からケルト、初期キリスト教文化、中世巡礼路、近代のモデルニスモ建築、そして現代美術建築などなど、本当に盛りだくさんで魅力的なエリアです。アタマもカラダもココロも(そしてもちろん胃袋も!)満たされまくりの旅。北スペインの魅力にどっぷりとハマってしまうこと間違いなしです。

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※当記事で紹介している内容は必ずしもすべてツアーに含まれているわけではありません。ツアー商品ご検討の際は、必ず行程の詳細をご確認ください

TEXT: 新井邦弘
PHOTO: iStock

※当記事は、2021年12月20日現在のものです

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2021年12月20日現在、国によってはいまだ観光目的の渡航が難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。

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