【クロアチア 旅の最新事情】コロナ後のクロアチア ドゥブロヴニクやザグレブの最新事情

公開日 : 2022年10月03日
最終更新 :
ドゥブロヴニク旧市街の展望スポットと観光客
ドゥブロヴニク旧市街の展望スポットと観光客

紺碧に輝くアドリア海。夏のリゾートが大人気のクロアチア、ポスト・コロナの2022年夏は、コロナ前と変わらない風景が各地で見られ、欧米を中心としたリゾート客が開放的な夏休みを満喫しました。

一方、2023年1月からのユーロ導入などの影響もあり、物価は急騰、アジアを中心とした外国人労働者の姿も急増しています。

ウィズコロナが定着、クロアチアのコロナ対応

ウィズコロナが定着、クロアチアのコロナ対応
観光シーズン終盤の9月に入っても、観光客でにぎわうドゥブロヴニク旧市街

2022年夏のシーズンには、観光客が戻っていました。過去最高水準を記録したコロナ前の2019年とほぼ同水準まで回復、写真は人であふれている2022年9月のドゥブロヴニク旧市街。小さくてよくわからないかもしれませんが、マスク着用の人はほぼ皆無、カフェでもマスク無しで会話を楽しんでいるようでした。
なお、旧市街は晴れていましたが、この日の展望スポット、スルジ山はあいにくの薄曇り。タイトルの写真は晴天がいいなと思って、コロナ前のスルジ山からの眺望を選びました。取材日も観光客は同じように戻っていて、薄曇りとはいえ眺望を楽しんでいましたよ。

9月初旬、澄んだ青空に秋の気配が漂うザグレブの中心地イェラチッチ広場
9月初旬、澄んだ青空に秋の気配が漂うザグレブの中心地イェラチッチ広場

クロアチアは夏になるとバカンスシーズンになり、一般家庭でもアドリア海沿岸の町で過ごしたりします。海辺や郊外に別荘があるクロアチア家庭は珍しくなく、年金生活世代は夏中ずっと別荘、子どもはサマーキャンプのほか海辺のおじいちゃんおばあちゃん宅、親は2〜3週間の夏休みのほか毎週末を海辺で過ごすといった具合・・・なんてうらやましい! そういうこともあり、首都ザグレブの暑い夏は、観光客は増えますが、それでもかなり人が少ない感じです。かわいらしい色の建物が並ぶイェラチッチ広場も、日中はガランとしています。夕方になると外に並べられたカフェのテーブルに、人が集まってきて、アイスを食べながらおしゃべりに夢中になるのですが(それでも他のシーズンよりは空いていますし、観光客率が高いのです)。
このガランと人が減る夏を利用して、夏はトラム路線や道路の工事がよく行われます。

クロアチアのコロナ感染状況は、すっかりインフルエンザや夏風邪と同じ程度に感じられるようになっています。家族や友人も含め、身近な人たちもコロナ経験者続出ですが、ほとんどが、重い場合でも、数日発熱で寝込んだりする程度で、まったく珍しくなくなり、「コロナにかかった」と聞いても「ふーん、重症じゃないといいねぇ」くらいまで、すっかり日常化している状況です。当初騒がれていた味覚や疲労などの後遺症も、ほとんど聞かなくなりました。
毎日ニュースで流れていた新規感染者数やコロナ患者総数、入院患者数や死亡者数なども、夏前には停止され、コロナ感染者数を調べるには、わざわざ専門ウェブサイトに行かなければならないほどとなっています。

マスクなしでコロナ前と同じ風景のドラツ青果市場
マスクなしでコロナ前と同じ風景のドラツ青果市場

ザグレブの中心地にあるドラツ市場は、市民の胃袋を支えるところ。青空の青果市場、屋内には精肉やチーズなど、何でも揃います。ここに買い物に来る人も、売り子さんも、マスクは必要ありません。

国民のワクチン接種は、全人口の56%が接種済みの状況です。接種3回目も希望者のほとんどが終わっており、ハイリスク層は4回目、それ以外の一般層もそろそろ4回目接種するか、という雰囲気です。春夏には、消費期限切れで大量のワクチンが廃棄処分になったとニュースでも大きく取り上げられていました。

大学や省庁、病院や老人ホームなど公的機関に立ち入るのに必要だったワクチン接種証明や陰性証明も不要になり、以前は行列ができていた検査所の行列もすっかり姿を消しました。

ホテルのビュッフェ朝食、メディカル手袋もなくトングを利用
ホテルのビュッフェ朝食、メディカル手袋もなくトングを利用

ホテルのビュッフェも復活。トングも素手で使ってOKです。ホテルだけでなく、あらゆるコロナ関連規制は、ほぼ完全撤廃(病院や薬局、老人ホームへ立ち入る場合はマスク着用義務あり)。屋外はもちろん、建物内でもマスクをしている人はほとんど見かけることはありません。店内入口などに消毒液は設置されていますが、あまり使用されている様子もありません。

ナイトクラブやその他の各種イベントなども、コロナ前とまったく変わらない状況。バスやタクシー、船や高速船、飛行機などの公共交通機関もノーマスクで、ソーシャルディスタンスは完全に死語となっています。

コロナ前と同じ!クロアチアへの入国規制やフライトなどの状況

コロナ前と同じ!クロアチアへの入国規制やフライトなどの状況
スロヴェニアからクロアチアへ入国するバス

観光客などの入国制限は、ワクチン証明の有無にかかわらず、2022年5月からは完全撤廃。クロアチア入国にはコロナ前と同じルールが適用され、日本のパスポートを所持する旅行者は、出国時にパスポートの残存期間が90日間以上があれば、問題なくスムーズにクロアチアに入国できるようになっています。
各地の空港や、周辺各国との国境でも、特に混乱は起こっておらず、例年の夏のリゾートラッシュによる混雑や渋滞を除けば、問題なくスムーズに入出国が行われています。

夏のリゾート客で混雑するザグレブ空港
夏のリゾート客で混雑するザグレブ空港

クロアチアへのフライトも、LCCも含め、コロナ前と同じレベルを回復しています。
7月末の週末は、リゾート客の到着ラッシュ。その1日だけで、クロアチア各地から合計で250便以上のフライトが、ヨーロッパを中心に、70都市以上の都市に発着しました。コロナ後の最初のシーズンでしたが、クロアチアに8ヵ所ある国際空港では、通常の観光シーズン以上の混乱は特になかったようです。
クロアチア発着便のフライトの中では、マスクも不要です。

日本への帰国時にPCR陰性証明が必要な人(ワクチン3回接種証明のない人)は、各地の医療機関のほか、ホテルで予約をすると、ホテルに医療機関の人が来てくれる出張サービスが受けられます。費用的にも80€程度と、医療機関へ出向く場合とそれほど変わらないため、慣れない場所での移動の手間などを考えると、おすすめです(日曜日の検査は行っていない場合が多いので、注意しましょう)。

[2023年3月追記]
MySOSの取り扱いは、2023年1月13日をもって終了しました。日本入国のための検疫手続き(ファストトラック)は「Visit Japan Web」をご利用ください。
・URL: https://www.hco.mhlw.go.jp/

ペリェシャツ半島経由ならば、国境を超えずに往来できる
ペリェシャツ半島経由ならば、国境を超えずに往来できる

国境といえば、2022年クロアチアのトップニュースはペリェシャツ橋開通です。南部ダルマチア地方の海辺の一部は約10kmの幅で隣国ボスニア・ヘルツェゴビナが領有しており、クロアチアは国土が分かれています。つまりクロアチア第2の都市スプリットからクロアチアのトップ観光地ドゥブロヴニクへ陸路で移動するには、ボスニア・ヘルツェゴビナを通らねばなりません。夏のリゾートシーズンには国境のパスポートコントロールで、毎年渋滞が発生していました。この問題を解消するため、対岸に長く伸びるペリェシャツ半島に渡る橋が、長い建設工事を経て、ようやく完成。クロアチア悲願の陸路による国土連結が達成しました。

クロアチア観光業はコロナ前の過去最高水準まで回復

クロアチア観光業はコロナ前の過去最高水準まで回復
クロアチアのビーチで真っ赤に日焼けするリゾート客

アドリア海の海辺で夏の休暇を過ごすリゾート客の動向が、国の経済に大きな影響を及ぼすクロアチア。2022年の今年は1500万人の観光客がクロアチアを訪問しました。過去最高水準を記録したコロナ前の2019年の同時期に比べ、入国者数91%、宿泊者数96%を達成、コロナだけでなく、ウクライナ危機の影響もほぼ感じさせない結果となりました。
一方で、2019年まではよく見かけられた日本や中国、韓国からのツアー客をはじめ、アジアからの観光客は、今年はまだぐっと少ない印象でした。

再開発で整備が進み、きれいになったスプリットの港
再開発で整備が進み、きれいになったスプリットの港

2022年に顕著となってきて印象的なのが、クロアチアの国際化です。2013年にEU加盟を果たしたクロアチア。ドイツや北欧など、給与水準がクロアチアの2倍以上の国への労働者の出稼ぎ(移住)が徐々に加速、季節労働の観光業をはじめ、サービス業を中心とする労働者不足が近年社会問題化していました。
これを受け、近隣のセルビアやボスニア・ヘルツェゴヴィナからの外国人労働者は徐々に増えてきていましたが、今年に入って、レストランやカフェを中心に、アジア人労働者を見かけることも珍しくなくなってきました。
デジタルノマドビザ制度を利用して、クロアチアに移住する外国人も増えつつあり、社会の多様性が高まる傾向は好ましい一方、地元の情報に疎い観光業従事者も増え、情報が混乱するケースも見かけられるようになってきているようです。

首都ザグレブの教会やミュージアムは依然、地震の影響あり

首都ザグレブの教会やミュージアムは依然、地震の影響あり
地震後依然として立ち入りが制限されているザグレブの大聖堂

140年ぶりの大規模な地震に見舞われたクロアチアの首都ザグレブ。古い建築基準で建設された中心部の建物を中心に、大きな被害を受けました。ザグレブ大聖堂をはじめ、ミマラ博物館や考古学博物館、美術工芸博物館など歴史的な多くの公営のミュージアムは依然休業中です。これらは再開の見通しが立っていないところも多い状況です。中心部の公園に面した老舗のパラス・ホテルも大きな被害を受けてずっと休業していましたが、地震から2年を経て、最近やっと改築工事がはじまりました。
とはいえ、レストランやカフェ、民営のミュージアムなどは、多くが営業を再開しています。

2023年にはユーロ加盟、シェンゲン協定圏に加盟することが予定されているクロアチア。ますます便利になる一方で、観光化が加速することは必至、国際化とクロアチアらしさのバランスをどうとっていくのか、目が離せません。

旅のバイブル「地球の歩き方」ガイドブック

青く、深く、陽光きらめくアドリア海と沿岸の都市、そして島々が織り成す独特の景観が特長のクロアチア。山と緑に囲まれ、さまざまな水色を見せてくれる湖群や6000を越える鍾乳洞が自然の神秘を感じさせるスロヴェニア。そんなクロアチアとスロヴェニアを旅する魅力を余すところなく1冊に詰め込んだ必携のガイドブック。

※当記事は、2022年10月3日現在のものです

TEXT: 『地球の歩き方 A34 クロアチア/スロヴェニア』編集担当 どんぐり・はうす
(現地情報提供:Sayo Yamauchi, Yukiko Okudera)
PHOTO: 岩間幸司、Sayo Yamauchi, Yukiko Okudera

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。