フィンランド旅行最新レポ!出入国情報や町なかの様子、新たな旅のスタイルとは?

公開日 : 2022年07月25日
最終更新 :
ムーミンの手荷物引換証がかわいいフィンエアーで成田から出発
ムーミンの手荷物引換証がかわいいフィンエアーで成田から出発

Visit Finland(フィンランド政府観光局)主催の現地視察で2022年6月26日~7月2日に首都ヘルシンキと第2の都市タンペレを旅してきました。ウィズコロナ時代の旅のハウツーをはじめ、本場のサウナ事情や先進的なサステナブル・ツーリズムの取り組みなど、最新のフィンランドを数回に分けてレポートします。

北極回りでいざフィンランドへ!

北極回りでいざフィンランドへ!
機内から見た森と湖の国フィンランド

フィンエアーFinnairの直行便で成田空港から首都ヘルシンキへ。日本からの搭乗時と機内では不織布マスクの着用が求められます。現在は1日1便運航で21:40発。一番近いヨーロッパとも言われているフィンランドへのフライトは、通常は9時間半ほどですが、ロシア領空を通れない現在、北極回りで約13時間。以前より多少時間がかかるとはいえ、北極回りという響きは旅好きの心をくすぐるものがあります(北極が見えるわけではないので実感はありませんが……)。所要時間は運航状況によって変わり、今回は予定より早い約11時間で到着しました。

マリメッコの枕カバーで機内からフィンランド気分
マリメッコの枕カバーで機内からフィンランド気分

日本の出入国関連で、事前に登録しておきたいアプリは「接種証明書」と「MySOS」。
フィンランドは2022年7月1日から新型コロナウイルスに関する入国規制(ワクチン接種証明書の所持等)を撤廃しましたが、日本帰国時の待機免除に必要となるため、接種済みでマイナンバーカードをお持ちの方は「接種証明書」アプリで英語と日本語の証明書を取得しておきましょう。マイナンバーカードがない場合は、住民票のある市町村の窓口で書面での交付を申請。ただし、日数を要する場合もあるので余裕をもって申請してください。「MySOS」は、接種証明や旅先での陰性証明書を登録・申請することで、帰国時にファストトラックが利用でき、スムーズに検疫を済ませることができます。

・接種証明書アプリ
https://www.digital.go.jp/policies/vaccinecert/
・MySOSアプリ https://teachme.jp/111284/manuals/13655051/

オリジナルカクテルと夕食のカツ丼
オリジナルカクテルと夕食のカツ丼

2013年からマリメッコとコラボしたアメニティを取り入れているフィンエアー。紙コップやペーパーナプキンもマリメッコで旅気分をぐんと押し上げてくれます。現在はまだ搭乗者数が少ないせいか、ミールは1種類。この日のディナーはカツ丼でした。ドリンクメニューは各種揃っていますが、フィンランドらしいブルーベリージュースや、アルコールなら新登場のフィンエアーオリジナルカクテル「Northern Blush」がおすすめ。ジンベースにリンゴンベリー(コケモモ)とオレンジピールが入った、ほんのり甘くすっきりテイストのカクテルです。

白夜のフィンランドに到着!ノーマスクの世界に降り立つ

白夜のフィンランドに到着!ノーマスクの世界に降り立つ
6月末、すでに明るい朝4時過ぎのヘルシンキ・ヴァンター空港

ヘルシンキ・ヴァンター空港に到着したのは現地時間の朝4時過ぎ。夜中でも太陽が沈まない「白夜」の夏は、南海岸に位置するヘルシンキでも夜22時過ぎまで明るく、その後マジックアワーのような青い空に変わったあと、すぐにまた太陽が照らし始めます。明るい日差しのなか、フィンランドを再訪できた喜びで胸がいっぱいになりながら入国審査へ。
入国審査では渡航目的や滞在日数を聞かれますが、係員によっては聞かれなかったりすることも。今回は、帰りのフライトチケットの提示や滞在予定のホテルや旅程など、かなり細かく確認されたので、eチケットの控えやホテル情報はすぐに出せるようにしておくといいでしょう。

屋台が並ぶマーケット広場も以前と変わらない賑わい
屋台が並ぶマーケット広場も以前と変わらない賑わい

空港からヘルシンキ市内へは車で約30分。バスや列車の運行も充実しています。ホテルに荷物を置いてさっそく町なかへ出てみると、行き交う人々はほぼノーマスク! レストランやショップの店員もマスクはしていません。コロナって何だっけ?と思わされるほど、以前のままの日常がありました。日本でのマスク生活に慣れすぎていたせいか、まるでパラレルワールドに迷い込んだかのような気分に……。でもこれがフィンランドをはじめ、ウィズコロナ政策のヨーロッパの現状。ただ、スーパーマーケットや一部レストラン・ショップの入口には日本同様アルコール消毒液が設置されているところもあり、感染対策への配慮は伺えました。列車のなかや高齢者でマスクをしている人をたまに見かけることもあったので、ゼロではありませんが、着用するか否かは各自の判断に任されているようです。

ヘルシンキ中心部のプール付きサウナ「アッラス・シー・プール」
ヘルシンキ中心部のプール付きサウナ「アッラス・シー・プール」

Visit Finlandの担当者によれば、アジア圏からの旅行者はまだ多くないようですが、EU圏内の旅行者数はほぼコロナ禍前と同程度に戻ってきているそう。特に夏のバカンスシーズンは人の往来も活発で、町なかのサウナやプールも大賑わい。暗く長い冬がすぐにやってくるフィンランドでは、短い夏の太陽は貴重なので、人々はサマーコテージで過ごしたり、屋外で食事をしたり、存分に日光浴を楽しみます。

スーパーマーケットの入口に設置されたアルコール消毒液
スーパーマーケットの入口に設置されたアルコール消毒液

今回取材中の感染対策としては、一般的ではありますが、日本からアルコールウエットティッシュを多めに持参し、特に食事前の消毒や手洗いはこまめに行っていました。また朝晩うがい薬で喉や鼻をうがいし、疲れていてもシャワーを浴びて汚れを落としてから寝る、といったことに気をつけて過ごしました。フィンランドでもイソジンのようなうがい薬は薬局で入手できますが、使い慣れたものを日本から持参したほうがいいでしょう。屋外で過ごす時間も多く、人との距離もそれなりにあるので、基本的な対策をしていれば特に危険に感じることはなかったというのが正直な感想です。

エコでサステナブルな旅のニューノーマルとは?

エコでサステナブルな旅のニューノーマルとは?
太陽光発電でオフグリッドの宿泊施設「マヤマヤ」

「森と湖の国」と呼ばれるフィンランドは国土の約75%が森林に覆われ、約18万8000個もの湖をもつ自然豊かな国。2035年までにカーボンニュートラルを目指すと発表し、観光面でも「サステナブル」という言葉が今ほど声高に叫ばれる以前から、サステナブル・ツーリズム(地域の環境を守る持続可能な観光)を推進してきました。ヘルシンキ市では、群島へ投資し、自然環境を保護しながら人気の観光地に成長させるプロジェクトを進めています。その一環として2021年夏にオープンしたレンタルキャビン「マヤマヤ(Maja Maja)」を訪問しました。

借景のような窓からの景色。2階建てで、ベッドは上階にある
借景のような窓からの景色。2階建てで、ベッドは上階にある

ヘルシンキ中心部から少し離れた海辺の岩場に立つ「マヤマヤ」は、太陽光発電を使用した、オフグリッド(電力会社の送電網につながっていない)の宿泊施設。水はクローズドループ方式で再利用できるようになっています。中に入ってみると思いのほかコンパクトなサイズですが、テーブルやソファは折り畳めて、壁面&床下収納があるなど、日本人の感性になじむミニマルなしつらえ。高品質のフィンランド木材を使用し、水辺が引き立つように落ち着いた黒色でまとめられています。ベランダのチェアに深く身を預けて、揺れるバルト海の水面を眺めているだけで心落ち着く時間が過ごせそう。宿は緑を抜けた先にあるので、たどり着くまで少し迷うかもしれませんが、それもまたプチぼうけんと思って訪ねてみてください。

■マヤマヤ(Maja Maja)
https://majamaja.com/
2泊から予約可能。レンタルは3月下旬~11月まで

サイクリングでヘルシンキ中央公園へ。ベリー摘みは7月中旬頃
サイクリングでヘルシンキ中央公園へ。ベリー摘みは7月中旬頃

自然との付き合い方が上手なフィンランドの人々は、自転車で森に出かけたり、湖で泳いだり、環境に負荷をかけない楽しみ方を知っています。北欧では自然享受権という、自然の恵みをみんなで楽しむ権利が法律で認められていて、その土地に敬意を払って行動すれば、森でのベリー摘みやきのこ狩りなど、旅行者でも楽しむことが許されています。ガイド付きでサイクリングをしてみたいなら、現地旅行会社のHELtoursなどを利用するとよいでしょう。

■ヘルツアーズ(HELtours)
https://www.heltours.com/

ヘルシンキの中心部にあるセカンドハンドショップ「flea」
ヘルシンキの中心部にあるセカンドハンドショップ「flea」

ヘルシンキの町なかでは最近セカンドハンドのお店が増えているそう。これもサステナブルな取り組みの流れで、マリメッコをはじめ人気ブランドのユーズドがお手頃価格で手に入ります。店内はおしゃれな若者で賑わっていました。

空のペットボトルはスーパーマーケットの回収ボックスへ
空のペットボトルはスーパーマーケットの回収ボックスへ

旅先では水の確保が重要ですが、意外と知られていないのが水道水。フィンランドは日本と同じく水道水を飲める国で、ミネラルウォーターよりも不純物が少なくおいしいとも言われています。実際、クセのない軟水で、現地でも水筒に水を入れて持ち歩いている人が多いよう。旅行者にとってもペットボトルの水を買うより経済的にもエコでおすすめです。

0.2ユーロの返金レシートで同額のキャンディをゲット
0.2ユーロの返金レシートで同額のキャンディをゲット

ペットボトルを購入した場合は、スーパーマーケットの出入口付近にある回収ボックスへ。空のボトルを入れると、ラベルに書いてある金額分のレシートが出てきます。それをレジで提示すると買い物分から値引きしてくれるので、ちょっぴり得した気分(換金も可能)。ゴミ箱に捨てるのではなくスーパーへ行きましょう。

出国前72時間以内のPCR検査をパスすれば帰国は簡単!

出国前72時間以内のPCR検査をパスすれば帰国は簡単!
タンペレのショッピングセンター内にあるAava

フィンランドでのPCR検査については、個人手配の場合はこちらのサイトに記載してある3つのリスト(フィンエアー提携のクリニック、9lives、Aava)のなかからクリニックを選んで予約します。https://www.visitfinland.com/ja/ryokou-zyouhou/covid-zyouhou/
費用はクリニックによって異なりますので、各リンク先のサイトでご確認ください。

今回は最終訪問地がタンペレだったため、帰国日の前日にタンペレ中心部の「Aava」で検査を受けました(Aavaはヘルシンキ・ヴァンター空港内にもあります)。鼻ぬぐいタイプで、朝9時頃受けて、結果が届いたのはなんと夜22時頃! 空港のAavaや9livesでは1時間弱で結果がわかるようですので、帰国日より前に空港に行く手間はあっても、結果判明までのドキドキする時間を考えれば、空港のクリニックで受けたほうが気持ちの面で負担が少ないかもしれません。

万一、陽性反応が出た場合は現地の医師の指示に従いましょう。2022年7月現在は、症状がなければ人との接触をなるべく避けながら外に出てもいいそうですが、隔離期間は医師の判断によるとのこと。また、ご自身が加入している海外旅行保険会社に連絡して相談を(保険には必ず入っておきましょう)。ホテルの手配やフライトの変更も行う必要があります。無症状の場合、偽陽性の可能性も考えられるため、念のため翌日再検査を受けてみることをおすすめします。日本から体温計や抗原検査キットを持参しておくのもいいでしょう。

成田空港の検疫前に審査済みのアプリ画面を見せて受け取る
成田空港の検疫前に審査済みのアプリ画面を見せて受け取る

陰性証明書を受け取ったら、現地出国前に「MySOS」のアプリに登録・審査を済ませておきましょう。フィンランドの空港では提示は求められませんが、日本帰国時に検疫所の前でアプリ画面を見せると青い紙を渡されます。それを入国審査官に提示することでスムーズに入国できました。飛行機を降りてからスーツケースを受け取るターンテーブルまで約20分ほど。旅行者にとっては帰国前の検査が最も気になる点ではありますが、それさえクリアすれば、入国の流れは思った以上に簡単でした。

夏のフィンランドの楽しみ方と注意点

夏のフィンランドの楽しみ方と注意点
夕焼けを見られるのは22:30頃の夏のヘルシンキ

前述のとおり、夏のフィンランドは22時を過ぎても明るく、レストランもその時間帯まで営業しているところが多くあります。ただ雑貨店など一般のショップはたいてい19時頃に閉まるので、ショッピングについては注意が必要。日の長い夏はついつい夜遅くまで活動してしまいがちですが、睡眠不足で疲れを溜めるのは避けたいもの。しっかり眠るためにも、アイマスクでカーテンから漏れる白夜の日差しを遮るのがおすすめです。

町のシンボル、ヘルシンキ大聖堂
町のシンボル、ヘルシンキ大聖堂

また滞在中は最高気温が30℃前後の日もありました。日焼け止めはもちろん、帽子、サングラスも忘れずに。朝晩は多少冷えるので羽織りものもあったほうがいいですが、今回はほぼ出番がないほど、夜まで気温の高い日が続きました。とはいえ、日本に比べれば湿気が少なくさわやかに過ごすことができます。

次回は本場フィンランドの最新サウナ事情をレポートします!

取材協力
Visit Finland(フィンランド政府観光局) https://www.visitfinland.com/ja/
ヘルシンキ観光局 https://www.myhelsinki.fi/
タンペレ観光局 https://visittampere.fi/

TEXT&PHOTO: 地球の歩き方出版編集室 由良暁世

※当記事は、2022年7月25日現在のものです

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2022年7月25日現在、国によってはいまだ観光目的の渡航が難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。

≫≫≫(関連記事)
・フィンランド旅行最新事情はこちら
・各国の海外旅行最新事情はこちら

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。