【フランス最新情報】オミクロン株大流行中、ウィズコロナで歩みを進めるパリの町の今

公開日 : 2022年02月04日
最終更新 :
セーヌ川にかかる芸術橋とエッフェル塔
セーヌ川にかかる芸術橋とエッフェル塔

フランスでは2022年1月24日より、衛生パスからワクチンパスの切り替えが行われました。ワクチン未接種の場合、PCRまたは抗原検査での陰性証明では飲食店には入れず、ワクチン接種が必須になりました。現在フランス国内はオミクロン株による1日の新規感染者数が膨大な数に上っていますが、以前のような外出制限や飲食店の営業規制はありません。パリの最新事情をお伝えします。

飲食店などへの入店には定期的なワクチン接種が必須に

飲食店などへの入店には定期的なワクチン接種が必須に
パリ市内に設けられた予約なしで行える新型コロナ検査テント

これまでフランスでは、16歳以上がレストラン、バー、映画館、劇場、スタジアム、長距離鉄道(TGV)などを利用する際には、衛生パスが必要でした。衛生パスとは「ワクチン接種証明」「陰性証明」「治癒証明」のいずれかをもって衛生パスとして使用されていましたが、2022年1月24日からは「陰性証明」が衛生パスの要件から外れ、「ワクチン接種証明」「治癒証明」のみになりました。衛生パスからワクチンパスへの実質的な切り替えです。

今回のルール変更では、定められた期限内にブースター接種を行わないと、ワクチンパスの有効性を継続できません。現在(2022年2月3日時点)は前回接種から7ヵ月以内にブースター接種を実施することが、ワクチンパスの有効性が継続されるとみなされる条件です。しかし2022年2月15日以降は、この期間が4ヵ月以内に短縮されます。治癒証明については、新型コロナに罹患してから11日以降6ヵ月以内、2022年2月15日からは4ヵ月以内の人が対象です。

パリ市内のカフェでくつろぐ人々
パリ市内のカフェでくつろぐ人々

これら規定は、観光などでフランスを訪れる一時滞在の外国人にも当てはまります。そのため、ブースター接種の進み具合がフランスと比べて遅い日本からフランスへ来た際に、有効なワクチンパスを携行できないという事態も起こります。

旅行者向けのフランスのワクチンパスは、発行業務を行う町中の薬局で、その国のワクチン接種証明とパスポート、そして36ユーロの申請料金を払えば発行できます(一時滞在の外国人向けパスの場合、治癒証明は要件に入らず)。フランスで取得したパスは、EU加盟国およびその他一部のヨーロッパの国でも共通して使えます。

なお病院や介護施設など社会医療施設へのアクセスについては、ワクチン未接種であっても、24時間以内の実施された陰性証明を見せることでアクセス可能です。

屋外でのマスク着用義務は2月2日から解除へ

屋外でのマスク着用義務は2月2日から解除へ
地下鉄出入口にある「マスク着用義務」の表示

衛生パスがワクチンパスになったことで、ワクチン未接種者に対する制限は強くなりましたが、緩和も行われています。2021年12月31日から続いていた屋外でのマスク着用義務が、2022年2月2日より解かれます。

ただし、屋内公共スペースや公共交通機関では引き続きマスクの着用が必要です。劇場やスタジアムなどすべての文化・スポーツ施設における人数制限も、2022年2月2日よりマスク着用義務を引き続き義務付けることを条件に解除されます。さらに2022年2月16日からは、スタジアムや映画館、交通機関における飲食、カフェ・バーにおける立食が許可され、ディスコの営業が再開されます。

ワクチンパスなど衛生措置の根拠となる法律は2022年7月末まで維持される予定です。ただし、今後の感染状況次第ではワクチンパスも中断される可能性はあります。

新規感染者は多いが町の様子は変化せず

新規感染者は多いが町の様子は変化せず
週末のシャンゼリゼ大通りと凱旋門

フランスでは1日の新規感染者が50万人を越えた日もあるなど、一見すると大変な状況であるように想像してしまうこともありますが(もちろん「大変な状況」というのは一部側面では事実ですが)、現地での社会の様子は、そこまで大きな変化はありません。具体的な例を挙げると、以前のような大規模な行動制限は導入されていません。

ルーヴル美術館などパリ市内各所の観光地は、週末には多くの人で賑わいます。晴れた日には、リュクサンブール公園やチュイルリー公園、セーヌ河岸の遊歩道は多くのパリ市民が集います。デパートなども年明けのセールの時期であったことも関係して、たくさんの買い物客が訪れました。ただ、やはりコロナ禍以前と比べると、世界中から訪れる観光客が減った分、人は少ないです。

町中を歩いていると、フランス語以外の言語が聞こえてくることも増えてきました。特にヨーロッパ内からの観光客は、もっともコロナ対策の制限が厳しかった一時期と比べて、少しずつ戻りつつあるようです。

セールで賑わうギャラリー・ラファイエット・パリ・オスマン店
セールで賑わうギャラリー・ラファイエット・パリ・オスマン店

このまま今の状況が続くのか、それとも再び変異株が現れて、感染対策のため制限が強くなるのかまだまだ先は読めませんが、ウィズコロナで経済を回す生活が、ここフランスでは確実にスタンダードになってきています。

旅のバイブル「地球の歩き方」ガイドブック

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■URL: https://hon.gakken.jp/book/2080127200

※当記事は、2021年2月3日現在のものです

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2022年2月3日現在、国によってはいまだ観光目的の渡航が難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。

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筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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